英語では、Butterfly(蝶々)と Dragonfly(とんぼ)のどちらにも飛ぶという意味の「fly」が付く。バタフライは、バター色の黄色い蝶(モンキチョウ)が名づけの由来とのこと。ドラゴンフライは、まさに竜が飛ぶごとし。

 蝶と蛾の場合、翅を立てるか開いて止まるかで分けられる(例外もあるらしい)。英語では、蝶が「Butterfly」で、蛾が「Moth」。東宝映画の怪獣モスラは英語の「Moth」から名付けられたのだと思うが、あれが蛾ではなく超絶美しい蝶だとしたらモスラじゃなくバタラだったのかもしれない。

 トンボにも翅を閉じるのと、開いて止まるのがいる。閉じるのは前後の翅の形が同じ「イトトンボ」や「カワトンボ」などの均翅亜目(きんしあもく)。飛ぶ能力を高めるため前後の翅の形が異なり、重ねて立てることができず広げて止まる不均翅亜目(ふきんしあもく)には「シオカラトンボ」や「アカトンボ」「ヤンマ」などがいる。

 閉じるほうは腹部が細く弱々しい。まさに糸のようなイトトンボ。子供のころ神様トンボと呼んでいたが、なぜ神様なのか未だにわからずにいる。一方、広げて止まるトンボたちは腹部が太く全体にがっしりしていて、飛び方も力強い。

均翅亜目

不均翅亜目

 イメージとして、長渕剛が唄う「とんぼ」は不均翅亜目だと思う。痩せっぽちのイトトンボが「幸せのとんぼ」に見えないのは、私の勝手な思い込みなのかも。

 ♪ああ しあわせのとんぼよ どこへ お前はどこへ飛んで行く
 ♪ああ しあわせのとんぼが ほら 舌を出して 笑ってらあ

壊れたブランコ修理

 夏グミが赤く熟した。山荘のアチコチにグミの木があるが、どの木も今年は実なりが悪い。いつもなら摘んでジャムにするのだが、今年は鳥のエサ用にそのまま放置。昔、熊がグミの木を揺すっている姿が目撃され、猟友会が出動したことがある。それほど熊にとってはご馳走なのだろう。山奥では豊作であることを願っている。

夏グミの実

 山荘に唯一の遊具、ブランコが朽ちて壊れた。ツーバイシックス材で座板を作り両サイドに穴をあけ、現在のチェーンを外しロープに取り換え座板に通し結び目を作り固定する。という手立てで修繕を考えているのだが、抜歯塚供養の秋のお彼岸まで孫たちが来ることもなく、それまででいいかと重い腰が上がらずにいる。

壊れたブランコ

 今年も何度かフキを採ってキンピラやオヒタシ、みそ汁の具で頂いた。春の山菜は季節の変わり目を身体に順応させる栄養素、あくまで春の季節に頂くもの。7月に入ると、そろそろ山荘でのフキ採りは終わる。成長し過ぎたフキはスジが多く硬くて喰えたもんじゃない。同じ種類でも青いフキと赤いフキがあり、赤フキは不味いという先入観から採る対象にない。

ルバーブのような赤いフキ ルバーブのような赤いフキ

 今日たまたまルバーブみたいに真っ赤なフキを見つけたので、ネットで赤くなる理由を調べてみた。これといって納得できる説明はみつからなかったが、今まで茎だと思っていた部分が実は茎ではなく葉柄だということがわかった。つまり、普通の木でいえば枝と葉っぱを繋いでいるあの細い部分。フキの茎は地下にあって、地面から葉柄を伸ばして葉っぱに繋がっているとのこと。

 結局、赤い色素の正体と赤くなる理由は見つけられなかったが、きっとどこかの大学や研究所では解明されているのだろう。ただ推測でいえば、赤い色素はポリフェノールの一種アントシアニンだと思う。ほとんどの植物に含まれるポリフェノールは、光合成によってできる色素や苦味の成分であり、その中のアントシアニンはブドウやイチゴ、赤玉ねぎなどに含まれる赤や紫の色素。

 アントシアニンには紫外線を防ぐ作用があり、リンゴなど陽に当たると赤くなることから日当たりが良いと赤くなるのかなとも思ったが、日当たりが悪くても赤いフキは沢山ある。土壌の性質なのか、もともと遺伝子に違いがあるのか。私のアタマでは考えれば考えるほど、ますますわからなくなってくる。それにしても、こんなに赤いフキは珍しい。

ルバーブのような赤いフキ

 小雨に煙る昼下がり、今日も木こりに出かけた。多少の雨は暑さを和らげ涼しく作業がはかどる。高さ20メートルはあるトドマツを伐り倒すのだが、最近やっとチェンソーワークに慣れてきて思い通りの方向に倒すことができるようになった。伐倒方向を定め、受け口を調整し反対側から追い口を入れると地響きを立てて巨木が倒れる。まさに圧巻。寸分違わず狙い通りにいけば、まさに快感。

 伐倒後、太い枝はチェンソーで切り落とし細い枝は鉈で払い落す。払った枝を片付けてから、丸太を35センチで玉に切る。エンジン運搬機で何度も運んで軽トラに積みこむと一段落。

 ポツポツ降ったりやんだり、ずぶ濡れにならず作業を終えるころ陽が差してきた。雨上がりの日差しは空気が澄み切っているせいか、木々が輝き美しく見える。

雨上がりの日差し

田んぼの中のエゾシカ 帰り支度を済ませ山荘出口に向かうと、目の前の田んぼにエゾシカの姿。えー、それってマズイじゃん。「おーいこら、シカられるぞ!早く出れや」。ウチの山の周りには、延々と防獣電気柵が張り巡らされているというのに。カメラを向けていると、田んぼを抜け道路を横切り矢野沢林道入り口のほうへ。

 矢野沢林道に向かう道は、山荘に面しているが唯一電気柵が施設されていない一画。そこからなら鹿だろうと狐だろうと熊だろうと、キノコ泥棒やコイ泥棒でさえ誰でも自由に出入りできる。地主の私はといえば厚手の手袋で感電を恐れながら入り口の電気柵を外さなければ、クルマを乗り入れられないというのに。こんなに自由に鹿が行き来できるのなら、いったい何のための電気柵なのさ。過去に何度か誤って触れたことがある。「電気が走る痛み」なんて表現は優しすぎ、「鋭利な鈍器で思いっきりブン殴られたような痛み」にビックリして身体が固まってしまう。たぶんシカも何度か経験して学習したんだろう。秘密の通路から出入りしてもシカらないから、田んぼにだけは入らないで。そのうち撃たれたらカワイソウだべさ。

 結局、脱獄したエゾシカは山荘内に舞い戻り林の中を散策後、私に挨拶をして去っていった。

田んぼのエゾシカ 林の中のエゾシカ

エゾシカ

エゾシカ 私が来るのを待っていたかのように山荘入り口で、こちらを伺うエゾシカ。正面奥に見える。あまり大きな個体ではないので子供なのかも。キタキツネにしろエゾシカにしろ子供の頃は好奇心旺盛で、ある程度の距離を保ちながらも近くまで寄ってくる。 

 こいつらのせいで獣害にあうと腹が立つので、今では畑の作物は育てていない。もっぱら山菜狩りがメイン。今日の目当ては京ブキ。山荘内で京ブキが育つ場所は限られていて、猫のヒタイほどもない。その上、昨年笹刈り怠けたせいで京ブキ畑に笹が押し寄せ余計に狭くなってしまった。

 今年の京ブキは不作、収穫量が極端に少ない。これではキンピラにしてもすぐに底をついてしまうので、併せて細めの秋田ブキも狩ってきた。京ブキは根本が紅く、秋田ブキは紅くない。

京ブキ 秋田ブキ

 見た目で違いはわかるが、同じ太さのものを並べアップで比べてみると一目瞭然。茎の表面がツルッとしているのが京ブキ、毛羽だって筋が走っているのが秋田ブキ。

京ブキとラワンブキの比較

テマリカンボク(手毬肝木)

 テマリカンボク(手毬肝木)が満開。咲き始めは薄緑だが、満開になると「スノーボール」という名に相応しく真っ白になる。オオデマリと似ているが、葉の形が違うので区別できる。満開の花を撮影しようとカメラを近づけると、葉陰でカエルが休憩中。

 北海道のカエルは、エゾアカガエルとニホンアマガエルの2種のみ。アマガエルも茶色になることがあるが、アカガエルは緑にならない。アマガエルの指には吸盤があるがアカガエルにはない。また、アカガエルの背には隆条があるが、アマガエルの背にはない。などの特徴があり、ほとんど間違えることはない。休憩中のカエルは、ニホンアマガエル(Hyla japonica)。

 ちなみにエゾアカガエル(Rana pirica)の学名にある"pirica"は、アイヌ語のピリカ(美しい)。「美しいアカガエル」という意味だが、命名者の美的感覚は私のとは違うようだ。

ニホンアマガエル

 ニホンアマガエルの鳴き声は「ゲッゲッゲッゲッ」「クワックワックワッ」と表現される。鳴くのはすべてオス。♪かえるのうたがきこえてくるよ、クワッ クワッ クワッ クワッ ゲゲゲゲゲゲゲゲ クワッ クワッ クワッ♪ の輪唱曲「かえるのうた」の主人公はニホンアマガエルなのかも。

 繁殖期、夜の田んぼにカエルの大合唱がこだまするのは、オスがメスに自分をアピールするため。カエルは一般的に繁殖期の夜にしか鳴かないが、ニホンアマガエルは「雨蛙」の名のごとく雨が降りそうになると繁殖に関係なく昼でも鳴く。「雨鳴き(あまなき)」「レインコール」という。

哀愁のキタキツネ

 気温23度。日陰にいると涼しい風が渡り過ごしやすいが、陽に晒されて山仕事をしていると汗が吹き出してくる。木を伐り倒し、枝を払い玉切りにして運び出す。払った枝を一箇所に集め片付ける。単純な作業だが、結構ハードに体力を消耗する。水分補給のためレストハウスで休憩中、珍しいお客さんがやってきた。

「おじさん、なにしてるの?」
キタキツネ

「おっ、ひとりかい?」
「そうだけどさ」
キタキツネ

「おなかすいてるのかい?」
「すいてるよ」
キタキツネ

「そうか、おじさん、なんにもあげるもんないよ」
「なあんだ、じゃあいくね」
キタキツネ

という感じで去っていった。
キタキツネ

 今年生まれた子ギツネではないが、まだ若い。独り立ちして1〜2年というところだろうか。もう6月だというのに、冬毛が半分ほど残っている。ひょっとして「アノとき出逢った子」が顔を見せに来てくれたのかも。
キタキツネ

トドマツノキバチ

樹齢60年のカラマツ

樹齢60年のカラマツ 薪にするには、比重の大きな木がいい。同じ大きさでもズッシリ重いナラやクヌギのような広葉樹は、火持ちがよく長い時間燃えてくれる。スギやヒノキのような針葉樹は着火性はよいが、あまり火持ちがよくない。山荘にも広葉樹は生えているが、割合からすると圧倒的に針葉樹が多い。それも、ほとんどがカラマツやトドマツ。他にアカマツやエゾマツなどもあるが、山荘内で一番多い風倒木はトドマツ。したがって、玉切りにして薪にするのは、ほとんどがトドマツ。ヤニが豊富で乾燥させると火力は強いが、比較的早く燃え尽きてしまう。同じマツでもトドマツよりカラマツのほうが比重が大きく火持ちがいいので、たまにカラマツも伐採し玉切りにして運び出す。

 比較的細いのを伐ってきたが、年輪を数えると60本以上もある。樹齢60年を超える大樹、私が生まれて間もなく植林されたもの。薪にするには勿体無いと思うが、灯油を消費するよりエコになるかなと自分を納得させている。これ以上太いのも沢山あるが、さすがに薪割りが大変なので出来るだけ細いのを選んでいる。

トドマツノキバチ

 薪を運んでくると、いろんな虫が一緒にやってくる。最近、山でもよく見るが名も知らぬ虫。蜂らしいが体長6cmくらいでデカイ、結構不気味。ネットで調べると「ヒラアシキバチ」らしい。

 キバチやハバチの仲間は腰がくびれていないので、他の蜂とは区別できるとのこと。お尻にあるのは産卵管で、人を刺すことはなく木や茎に差し込んで産卵する。とりあえずは刺されることはなさそうなので一安心。

 幼虫が木をエサにするのが木蜂、葉をエサにするのが葉蜂。キバチは産卵管を使って木の内部に産卵し、孵化した幼虫は木の内部をエサにして育つ。キバチ科には針葉樹をエサにする「キバチ亜科」と広葉樹をエサにする「ヒラアシキバチ亜科」に分類されるとのことだが、松林から連れてきたコイツはどうみても針葉樹で育っているような気がする。よくよく見るとヒラアシキバチとは異なり、複眼と複眼の間が黒くなっているので「トドマツノキバチ」であることが判明。

 エノキで育つ「ヒラアシキバチ」、トドマツやカラマツで育つ「トドマツノキバチ」。似て非なるもの、昆虫の世界は奥が深い。

初孫の記念樹ミズナラの苗 初孫の記念樹ミズナラの幼木

孫の記念樹3本のハルニレ 孫が生まれるたび記念樹を植えている。スクスク成長するのを願っているので、途中で枯らすわけにいかず幼木のうちは養生しながら結構気を遣って育てている。初孫誕生に植えたのはミズナラ(ドングリの樹)。あんなに小さかった苗が、ここまで成長し一安心。大きなものは樹高35mにも達するというから、どこまで大きくなるか楽しみだが、その頃に私はこの世にいない。

 豊頃町の観光スポットにもなっているハルニレの大木は、推定樹齢約140年。2本の木が一体化して美しい形を作っているという。そこで我が家では時期が近かったこともあり2人目、3人目、4人目の分として、3本まとめてハルニレ(エルム)の苗を植えた。現在、それぞれに大きく育っているが将来、3本が一体化してより美しい樹形になることを期待している。

 5人目、6人目の記念樹は、林檎の木。実のなる木を育てて実際に孫達に食べもらいたいと目論んでいるが、はたして上手くいくのかどうか。まだ幼木なので管理が大変だが、今年は鹿に新芽を喰われることなく順調に育っている。

孫の記念樹リンゴの木 孫の記念樹リンゴの木

赤い蕾と白い花

 遠い昔、中学生の頃。吉永小百合が唄う「寒い朝」という曲が流行っていた。吉永小百合のデビュー曲。♪北風吹きぬくぅ 寒い朝もぉ 心ぉひとつでぇ 暖かくなるぅ♪。マヒナスターズの特徴的なバックコーラスは今でも耳に残っている。私はサユリストではないが「赤胴鈴之助」でデビューした吉永小百合の可憐な姿にトキメキ、「キューポラのある街」で不良にヤバイ薬を盛られ貞操の危機に陥るシーンには子供ながら正義感で憤りドキドキした。

 「♪寒い朝」は「赤い蕾と白い花」という日活青春映画の主題歌。浜田光夫との共演で高校3年生のクラスメート役を演じている。翌年、舟木一夫が「高校三年生」でデビュー。時代背景に高校3年生というのが青春時代の象徴のように扱われている。巣立ちゆく高校生には、進学するにしろ就職するにしろ意気揚々と明るい未来を切り開いてゆくイメージが溢れていたのだろう。高度経済成長を予感する良き時代の日本。

 蕾は赤く、咲くにつれ白くなり満開では真っ白「赤い蕾と白い花」。というのは、まるでエゾノコリンゴ。

エゾノコリンゴ紅いツボミ

ヒメリンゴの花 ヒメリンゴ白い花

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