ハンマーナイフモア

 長雨のせいで草を刈る暇が殆ど無かった。昔のぶどう畑が背の高さまで伸びた雑草に覆われているので、暑さに負けず草刈りに精を出す。こんな時、頼りになるのがハンマーナイフモア。ブルトーザのようなパワーで草を粉々に砕いていく。キャタピラが付いていて自走式。だからといってルンバのように勝手にキレイにしてくれるわけではないので、ハンドルを握りながらついていき方向転換などの操作をする。

雑草に覆われた広場

ハンマーナイフモア ハンマーナイフモア

 草を刈り進んでいくとグミの木が隠れていた。去年まで背が低くあまり実がつかない木だったが、雑草の上に真っ赤な実がぶら下がっている。草を掻き分けてみると結構実が付いている。今年はグミが不作で、まだジャムを口にしていないので有り難い。一時休憩でグミの実を摘む。

雑草に覆われた夏グミ 雑草に覆われた夏グミ

 あまりの暑さに休みながらの作業だが、2時間で半分ほどキレイになった。持参した2リットルの水が底をついてきたので今日の作業終了。これだけ効率よく草を刈れるのは、ハンマーナイフモアのおかげ。「刈馬王」と呼ばれるハンマーナイフモアは、運搬車「力丸君」、耕運機「ガッツ君」とともに頼れる山荘の働き者。

草刈り後の広場 草刈り後の広場

夏グミ

キツネの子別れ

 キタキツネは冬の間に発情期を迎え、わずか50日程度で春先に3~5匹の子供を出産する。5月を過ぎると子供たちは巣の外へ出て行動するようになり、母親の狩りを真似てネズミや昆虫など捕食する術を覚えていく。山荘で、この時期出会うのは、ほとんどが親子連れ。親は警戒して近づいてこないが、好奇心旺盛な子ギツネはクルマを停めると側に寄ってくる。

キタキツネの子ども

 人間でも動物でも幼いものが可愛く見えるのは、「弱いものは守らなければ」という気持ちが自然に湧いてくる仕組みのせいらしい。この仕組みは「生得的解発機構(生まれつき備わったもの)」によるもので、動物行動学では「ベビーシェマ」と呼ばれている。

 キタキツネの子供も同様、ジッと見つめられると「可愛いーっ!」と思わずにいられない。だからといって、人間の食べ物を与えてしまうと「雪の野花南山荘」で書いたように免疫力が低下して、ゆくゆくはダニが原因の「疥癬病」で無残な姿で最期を迎えてしまう。決して、野生のキツネに人間の食べ物を与えてはいけない。

 このように今の季節、親子で行動しているキツネたちだが、8月を過ぎると「子別れの儀式」を迎える。それまで優しかった母親が突然、躾の甘噛みやジャレ合いでなく本気で噛みつき子供を追い出しにかかる。まだ甘えたい子供たちは混乱するが、厳しく拒絶する親から離れて自立していく。この「子別れ」は親ギツネが自分の餌を確保するためと近親交配を避けるため、また子供を独り立ちさせるため、いわば「獅子は我が子を千尋の谷へ突き落とす」的に解釈されているが、果たしてキツネがそんなに理性的であるとは思えない。

 春に生まれた子どもたちも成長し、秋を迎える頃には親と同じくらいの大きさに近づいてくる。そうなると幼い子ギツネ時代の可愛さは失われ、ベビーシェマが働かなくなる。母キツネにしたら成長した我が子の姿を見て突然母性本能が吹っ飛んでしまう。急に警戒心や恐怖心を抱くようになり、自分のテリトリーにいる他者を追いだそうとするのではないだろうか。そうでなければ、いくら種を守るためとはいえ無慈悲に我が子に噛みつき真剣に戦うようなことはできないと思う。そこには我が子を愛するという心の欠片すら感じられない。結局、子供の成長による見掛け上の変化が引き金になる本能的な行動なのかも。

 今日、出会った3匹の親子連れにも、あと1〜2ヶ月もすると子別れの儀式が訪れる。つぶらな瞳の好奇心旺盛なアノ子も秋には独り立ちする。なんとか生き延びてほしいとベビーシェマを感じる私だが、雪が降りはじめる頃に痩せ細った小さなキツネに出逢うことになるかもしれない。

関連記事:哀愁のキタキツネ

栗の花と夏グミ

 同じ市内にあっても山荘の春と夏は遅れてやってくる。そんなに標高差はないはずだが、山の麓に位置するのが原因なのかも。本格的な夏の到来を告げる栗の花が咲き始め、夏グミの実が赤くなってきた。

栗の花

栗の花

 今年のグミは不作のよう。何年かに一度訪れる豊作の年は、枝がしなるほどたわわに実りジャムグミ酒にするのだが、今年は眺めて楽しむだけ。

夏グミ

夏グミ

夏グミ

 このところ長雨が続き、山荘の作業が停滞している。雨合羽で伐採や草刈りをするほどのヤル気もなく、日がな午後はダラダラと過ごしている。時間を持て余し、結局このブログをモバイルフレンドリーに構築しなおした。つまり、スマホでも見やすく表示できるということ。画面の大きさによって表示の仕方を変える。これをスタイルシートの書き換えで実現。久々にパソコンに集中し楽しい時間を過ごした。

薪の室内乾燥

 薪棚、何やら色が違う。通常、切り株の断面は白っぽいのが普通だが、オレンジ色。かなり水分を含んでいる。正体は、ケヤマハンノキ。白っぽく見えるのは、ニセアカシヤ(ハリエンジュ)とトドマツ。もともと風で倒れるのは、あまり樹形が広がらないトドマツやカラマツが多い。近間の風倒木は片付けてしまったので、あとは遠くまで遠征しなければならない。とてもじゃないが大変なので、近くの雑木を間伐目的で伐採している。といっても、この時期のトドマツはヤニが多く手袋や作業衣だけでなく、チェンソーやエンジン運搬機のハンドルなど触るものすべてがベタベタになるので敬遠。できるだけ広葉樹を伐っている。

ケヤマハンノキ

 そんな中、コシアブラだと思って伐り倒したのがオレンジ色の木。チェンソーで伐った瞬間の断面は白いが、みるみる酸化して赤くなっていく。あれぇ、コシアブラじゃないわ。春の三大珍味、ウド、タランボ、コシアブラ。コシアブラもこれほど大きくなってしまったら芽も摘めないからと切り倒したのだが、どうも違う木だったようだ。図鑑で調べたところ、葉の形からケヤマハンノキと判明。

ケヤマハンノキの葉

ケヤマハンノキの樹皮

 ハンノキ(榛の木)には、沢山の種類があるらしくケヤマハンノキの樹皮は灰褐色か灰白色でなめらか。どおりでコシアブラと間違えるはずだわ。葉の形や付き方を確認すればわかるはずだが、こんな高い木の場合、樹上の葉っぱまで見通せない。切り倒してはじめて枝についてる葉で確認。何よりも、伐採後間もなく切り口がオレンジ色に変色するのがハンノキ類の特徴とのこと。樺の仲間で、殺菌力が強く鳥インフルエンザの消毒などに効能があるらしい。下の写真は、伐採3週間後の切り株。

ケヤマハンノキの切り株

 ハンノキのアイヌ語の呼び名「ケネ」は血になる木という意味。アイヌはハンノキの枝を赤ん坊のおしゃぶりの材料にしたらしい。増血作用があって、しゃぶらせることで抵抗力を高めるという意味があったのだという。「♪この木なんの木、気になる木」が「♪この木ハンノキ、血になる木」というオチがついて解決。メデタシメデタシ。

 はんの木の それでも花の つもりかな 一茶

 「ハンノキの花」で画像検索してみると、小林一茶の想いが伝わるかも。

野花南山荘航空写真

 グーグルマップで山荘を検索してみた。こんな辺鄙なところまでストリートビューは来てないが、航空写真で位置関係がわかる。野花南駅市街地は、右上のほんの一部でほとんど水田が広がる地域。圃場整備というのか土地改良というのか、水田の大規模化が進んでいる。1枚の田んぼが3反から5反、中には1町歩(100m✕100mの広さ)に及ぶところもあるらしい。この全体図の下方中心部あたりが山荘のあるところ。

野花南航空写真

野花南航空写真

 たぶん、四角く囲った辺りが山荘の敷地。10町歩(約3万坪)あるが、普段、草を刈ったり木を伐ったりする活動範囲は右上角にあたる部分が中心。左半分がキノコの山。

野花南山荘付近航空写真

 上から見ると鬱蒼と木ばかり繁っていて、手入れされた山荘の美しさは伝わらないみたい。

野花南山荘航空写真

チェンソーを抜く方法

 草刈り、笹刈、畑の草取り、山菜採り、倒れた木を薪の長さに切り揃える玉切りなどなど。山荘ではヤルべきことが沢山ありすぎて忙しい。「ヤルべき」とは言うが、これで喰ってるわけじゃないのでヤラなくても困らない。だから毎日の仕事に計画性がなく、その日思ったことを片付けるだけ。広さ10町歩のうち、手を付けられるのはホンの一部。何をヤルにしても一人では限界がある。

 風で倒れた木がアチコチに残っていて、景観を損ねているのが気になる。地道に片付けるしかないが、これが結構重労働。ハウスから離れた現場で作業をするのだが、エンジン運搬車に必要な道具を乗せて行く。燃料、チェンソーオイル、鉈、マサカリなどなど。現場でトラブった時にアレがないコレがないと気づき、ハウスまで取りに戻るのは大変なので準備は抜かりなく。

木の伐採に必要なもの

 風で倒れて完全に横になっている木を一定の長さに切り揃えるのは楽な作業だが、隣の木にモタレ掛かり斜めに倒れている場合がヤッカイ。斜めになった木の下側が張って伸び、上側は圧縮されているので、まず圧縮力がかかっている上側に切れ目を入れ、次に下側を切っていく。切り抜かず途中で止めるつもりでチェンソーを入れていくのだが、油断するとチェンソーが挟まって抜けなくなってしまうことも。太い木であれば何トンもの荷重がかかっているので押しても引いてもビクともしない。このトラブルから脱出するには、アタマを使うしかない。切り口に斧や鉈の刃を差し込み、木槌で叩き込む。クサビ効果で切り口を広げチェンソーの刃が緩んだところで引っ張りだす。これでダメなら、もう1台のチェンソーを使い、挟まっている上の部分で切り倒す。当然、上からの荷重がなくなるので簡単に外れ一見落着。このため、エンジン運搬車には補助のチェンソーも積んでいく。

チェンソーが挟まって抜けない

トドマツの玉切り

 こうして、玉切りされた材はエンジン運搬車で運ばれ、軽トラに乘せられる。運搬車で一度に運べるのは、太い木であれば3本が限度。現場から軽トラまで何度も往復しなければならない。気温30度を超える今日のような日は、かなりツライ作業。たまたま今朝、軽トラを車検に出したのでハウスの広場に野積み。後日、自宅に運んで薪に割る予定。だったのが・・・

トドマツとカラマツの玉切り

 運搬作業中、携帯に「軽トラ、車検通らず」の連絡あり。4年前に中古で買ったスバルの営農サンバー「農道のポルシェ」、その時点ですでに20年前のクルマ。山荘帰りに寄った整備工場での説明では、下回りが錆びてフレームに割れがあり、様々なパイプがいつ破裂してもおかしくない状態。検査員も許可できないとのこと。専門家が言うのだからしょうがないということで廃車の手続き抹消届け。

 ヤッベェー!「現場トラブルに対処できるよう準備は抜かりなく」だったはずが、切り出し材が野積みのまま。自宅に運べなくなってしまった。ということは、新しい軽トラを仕入れなきゃならないのだろうが、ウーン...

働くよろこび

治水工事

 木々の葉は落ち、雑草が枯れる。見晴らしが良くなり景色が開ける、この季節の山荘は気分が落ち着く。急ぐこともなく、ゆっくりノンビリ冬ごもりの準備。記念樹などの養生に加え、池周りの治水対策が必要なことも。今年は1番上の池から2番目の池に注ぐ水路に落ち葉や泥が溜まり、脇から水が溢れてプチ洪水。やむなく脇に新たな水路を作り、別ルートで下流へ流す。

 作業に没頭していると楽しいが、完成してみると「建設的なこと」をしている気がしないのは何故だろう。

素人の護岸工事

 小さな田んぼくらいの池が棚田のように3段連なっている。それぞれの境界は幅広い畦道のようで、ハンマーナイフモアやエンジン運搬車の通り道になっている。時の流れとともに岸が侵食され、どんどん道幅が狭くなってくる。昨年、1番上と2段目の池の境界が決壊しそうになり護岸工事。今年は2段目と3段目の境が大きく侵食され、放置すると決壊の危険性大。落差が2メートルくらいあり決壊すると、ちょっとした滝の様相になるが放ってもおけないため護岸対策。

 昔、花壇の仕切りに埋めてあったブロックを掘り起こし池の岸辺に沈めてゆく計画。重機があるわけでなく、何十年も土中に埋まっていたブロックをスコップで掘り起こすのは重労働。こうして集めたブロックや石ころをエンジン運搬車で岸まで運び、沈めるの繰り返し。とはいえ古いブロックにも限りがあり、200個くらいで底をついてしまった。結局、新品のブロック100個と砕石砂利600kgを購入したが、まだまだ材料が足りないため工事中断。それでも、なんとか決壊が免れそうなところまで進んでいる。

 今日は、雪が積もるという予報なので休工。というより軽トラのタイヤ交換がまだなので出掛けられない。

池の侵食 護岸工事

護岸工事

風倒木ごっそり

倒木

 4月18日、北海道を襲った春の嵐。風速30m以上で吹き荒れた暴風のため、山荘にも大きな被害が及んだ。未だに全体を把握しきれないでいるが、おそらく百本単位で大木が薙ぎ倒されている。

玉切り 一般的に、根を張る範囲は枝が広がる範囲と同じらしい。山荘に植林されているのは、トドマツやカラマツがほとんど。樹齢30〜40年を超えると枝張りが狭い割りに樹高が高く、20メートル以上にもなる。足元を支える根張りが狭く、背だけ伸びた大木ほど踏ん張りがきかず風に弱い。文字通り根こそぎ倒れる。過去にも強風のため何本かの木が倒れることはあったが、一度にこれほど多く倒れたのは初めて。

 せっかくの美林化計画進行中、こんなにバッタバタと倒れると山は荒れ放題。なんとかしようにも特別な重機があるわけでなく、こまめに玉切りにして運び出すしかない。伐っては運び、自宅に持ち帰って薪を割る。商業地域に建つ自宅には、薪棚を置くにも庭がない。1階の空きスペースに積んで風を通し乾燥させているが、もうすぐ置き場所がなくなる。まだまだ、山荘には倒木があるというのに...

薪乾燥中 薪乾燥中

初秋

 

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