農道のキャデラック

 年式20数年前の「農道のポルシェ」、パワフルに働いていたが車検が通らないほど足回りにダメージ。山荘に来てから、わずか4年でリタイア新旧交代。新しい相棒は、いぶし銀のクリッパー。前車に比べて荷台とキャビンがかなり広く、全長全幅ともに10cmくらいは大きくなっている。

日産クリッパーNT100キャビン

日産クリッパーNT100 カタログには「ゆとりある広いキャビン。ゆったりとした気持ちになれる室内空間」とある。確かに20数年前の軽トラに比べると格段に快適。ダイハツ「ジャンボ」やスズキ「スーパーキャリー」のようにリクライニングシートのデカイキャビンも検討したが、そのせいで荷台が狭くなっては本末転倒。

 スタンダードタイプでも旧車に比して快適な居室空間。なんたって「ポルシェ農協スペシャル」にはなかったエアコンや間欠ワイパー、パワステまで装備されている。このゴージャスでユッタリとした乗り心地を例えるなら「農道のポルシェ」から「農道のキャデラック」に乗り換えた気分。

 ジャガーが壊れテラノが壊れ、エクストレイルに乗り換えて約1年。リッター13.4キロと燃費もそれなりで遠出に利用していた。ただ、普段の足となるのは車庫にも入れず横の空き地にコロがしてある軽トラ。自転車代わりで惜しげ無く、通勤に山仕事に重宝している。何より気に入っているのが、5速のマニュアルシフト。過去に所有したクルマでマニュアルシフトは初めてのこと。昔、教習所へ通ったとき以来。オートマに慣れきってしまった私にとって、この感覚は新鮮で楽しくトリコになってしまう。なんといっても自分が操ってるという自覚がある。ディーゼルのテラノはオートマだったが、アクセルを踏むとウルサイほどにエンジンが反応し、これまた自分の足の踏み具合に直結して動いているという感覚で楽しかった。

 あまりにも便利なので、近間や街中は軽トラで走り回っている。そんなとき、誰かに会うと必ず聞かれるのが「あれ、どうしたの?そんなクルマに乗って」。その都度「山で仕事をするため」と説明するが「似合わない」という言葉が返ってくる。別に誰がナニを云おうと気にする訳ではないが、少々オモシロクナイ。

 そんな折り、ネットで見つけたのがランクル70再販モデルのピックアップ。なんてったってトラックだし、マニュアルシフトだし、軽トラよりデカイし荷物も積めるしダブルキャブなので後部座席に2匹の娘達も乗れる。現代風の曲線を基調にしたデザインに逆らって角張っているところが格好イイ。これイイなと思いカタログを貰いに販売店に行ったのが3月初め。去年の8月から今年6月までの限定販売とのこと。今申し込まなければ手に入らないかもと、オドされスカされ心が動き清水の舞台から飛び降りた。



 エクストレイルを下取りに出し、我が家にやってきたランクル70ピックアップ。第一印象、デッデカイ!あまりにもデカく車庫に入らない。長さ5.3メートルは車庫に入れてもアタマが出っ張ってシャッターを下ろせない。しょうがないので横の空き地にコロがしてある。最小回転半径7.2メートル。極端に細い路地は曲がり切れないので、道を選んで走ることに。4000ccのエンジンはディーゼルではなくガソリン、それもなんとハイオク仕様。ガソリンが安価なアラブで走るのならともかく、カタログでは燃費リッター6.6キロ。省エネの時代、こんな贅沢なクルマはない。その上、1ナンバーのトラックは高速道路の料金区分が普通車ではなく中型車。割高な高速料金と今までの倍以上かかるガソリン代に家族の評判はすこぶる悪い。

 乗り心地は、当然トラック。路面の凹凸を拾いユッサユサ縦に揺れる。何よりも荷台の位置が高過ぎて、荷物が積みにくい。軽トラの場合、荷台のアオリは3方に開くがランクルは最後部だけというのも難あり。当初、このピックアップが来たら評判の悪い軽トラを手放すつもりでいたが、軽トラの便利さには叶わないので結局手元に置いてある。今や、私は2台のトラックオーナー。トラック野郎の仲間入り。

 新しいクルマを手に入れたワクワク感の中でガソリン代を気にしながら、この重たいトラックをマニュアルシフトで動かしていると楽しくてしょうがない。と同時に運送業でもない私が贅沢にガソリンを消費しているのは、とっても反社会的な行為に思えてくる。

山荘の新しい仲間たち

 

農道のポルシェ

 ついに念願の「ハンマーナイフモア」を購入。刈っても刈っても尽きることのない広大な山荘では、刈払機での作業に体力的な限界を感じてきた。特に炎天下に草刈り機を振り回していると、熱中症寸前という状態に陥ることしばし。自走式のハンマーナイフモアは、当たり前だが勝手に自走する。背の高い草や笹を刈りながら、粉々に砕いてしまうので後片付けも必要ないというスグレモノ。平地だけでなく斜面の笹も刈るため、車輪じゃなくクローラ(キャタピラ)タイプのモノにした。

 来週、モノが届くのだがトラック便で我が家に下ろされても、重さが150kgもあり自宅から野花南山荘まで運ぶ手段がないので運送会社の営業所留めにして貰った。知り合いに軽トラを借りるかレンターカーで都合をつけて山荘まで運ぼうと思ったが、これから度々移動しなければならないので結局、軽トラを買うことに。中古屋さんで見つけたのは、年式の割には走行距離が少ない掘り出し物。外見はそれなりに年代物だが、見た目はまあまあキレイ。値段も折り合いがついたので即決購入。

農道のポルシェ 「農道のポルシェ」と呼ばれるスバルサンバー。現在、スバルは軽自動車事業から撤退しているため現行のスバル軽トラはダイハツがOEM生産しているが、2012年以前はスバルの自社生産。日本で唯一のリアエンジン・リアドライブRR車サンバーを作っていた。RRといえばポルシェ911やフォルクスワーゲン・ビートルを思い浮かべるが、富士重工ではスバル360以降脈々とRR車を作り続けてきた。そんなスバルサンバーの中でも、特に農協専売車として「JAサンバートラック(営農サンバー)」が販売されていた。今回購入したのが約20年前のソレ。RRとはいえ、切り替えで4WDにもなるので冬道も安心。カタチから入る傾向にある私だが、これで晴れて農林業従事者の仲間入り。

 運ぶ手段の軽トラも用意できたし、あとはハンマーナイフモアの到着を待つばかり。さあ刈るぞぉー!

日曜左官屋

 昨年11月のこと、仕事を終えて家に帰ると何やら家の前が騒々しい。パトカーが停まり、大勢の人が集まり作業をしている。近づいてビックリ。今は使用してない診療所の玄関にクルマが突っ込んだらしい。幸いケガ人はなかった。家に入り、家内に聞くと「ドーンと音がして家が揺れた。地震かと思った」とのこと。ということは玄関脇の階段の壁に衝突してクルマが停まったようだ。警官立ち会いのもと被害状況を確認したが、車の当たった壁はカスリ傷程度。薄暗いこともあり、他の部分は明朝に確認することにしたが、朝起きたら一面の雪。見えないし寒いし、そのまま一冬越してしまった。その玄関は使ってないので雪かきもせず、冬の間は雪に埋もれたまま。

 雪が融けて、よく見ると衝突した壁ではなく反対側のタイルがボロボロ剥がれて落ちている。たぶん衝撃で応力が働いたのかもしれないが、直接ぶつかった壁ではないので今となっては事故との因果関係は分からない。いずれにしても格好が悪いだけでじゃなく崩れた壁から水が染みると、一層タイルが剥がれる恐れがある。久々に暖かな天気に恵まれた日曜日。早速、ホームセンターでセメントを仕入れ日曜大工ならぬ日曜左官屋さん。インスタントセメントといって20分で固まるらしい。剥がれたタイルの裏面にはモルタルがこびり付いていて、パズルのように元の位置にはめ込みながらでは時間がかかりすぎる。そんなことしてると固まってしまうので、ただ穴を埋めるだけにした。セメントで穴をふさぐのは、仕事柄得意なんです私。

 

チタニウムカーキ

 4月20日納車予定のエクストレイル。その頃の気候であれば夏タイヤで納車予定だったが、雪のちらつく4月5日、冬タイヤを履いてやってきた。フィーリングカップル5対5のようなドキドキ感で迎えた初対面の瞬間、目の前に現れたピカピカの新車の第一印象は「こんな色だっけ?」

エクストレイルチタニウムカーキ 私が発注したボディカラーは、写真のようなチタニウムカーキ。カタログでみると少し濃いめのウグイス色。そこはかとなく大人の落ち着きを感じさせるシックな色合いの緑色。のはずが、どうみても黒く見える。販売店に「黒くね?」というと「光の加減で黒っぽく見えますね」。そういうものかと納得し、初ドライブ。やっぱり新車の匂いはイイなあ。クルマは新しいに限るなあ。新しくない女房と一緒でも楽しいなあ。

 明けて週初め、すっかり晴れ上がりイイ天気。2ヶ月半もの間、JR通勤していた札幌への初ドライブ。サービスエリアで用を足し戻ってクルマを見たところ、こんなに天気が良く暖かな陽射しの中でもカタログの色には程遠い。どう見ても黒だよなあ?と思いつつ目的地に到着。会議が始まる前、仲間に声をかけられ「クルマ来たんですね。黒にしたんですね」「ちがうよ、ミドリだよ」「エー、黒ですよ」「暗いせいだよ」。気にしてるのにダメ押しされ、一気に気分がブルーに。というのも「白いクルマ」と「黒いクルマ」には乗らないというのが、私のコダワリ。私の生き方。マイ・ライフスタイル。死んでから黒い霊柩車で運ばれるのはしょうがないとして、生きてる内は絶対イヤ。チタニウムカーキは別料金が必要な特別塗装色なのに、寄りによって限りなく黒いなんて。

チタニウムカーキ チタニウムカーキ

 ところが最近、少しずつ色が変わってきたような気がする。離れてみると黒いには黒いが、どう見てもブラックではない。黒っぽいけど黒じゃない。じゃあ、何色?と聞かれても困るけど、ひょっとして陽に焼けると黒がミドリに変化するのかもしれない。そうか、一粒で2度美味しいアーモンドグリコのようなクルマだったのだ。いや、ちょっと待てよ。このまま陽に当たり続けると、ミドリを通り越して黄緑や黄色に変化して最後は白くなってしまうのか?それはそれで困るなあ。

ワクワクな日々

 自宅を出て5キロも走らないうちに突然、クルマのスピードが落ちてしまった。アクセルを踏んでも踏まなくても進む速さは変わらない。ブレーキさえ踏まなければ、いわゆるクリーピング現象でユックリ進む。「ヤッべェー!」これから札幌へ向かおうという矢先の出来事。携帯で整備工場へ電話するも搬送車は出払っているとのこと。しょうがないので行けるところまで行くわと、Uターンして自宅へ戻ることに。冬道の路地は両サイドに雪が迫り出し道幅1車線、すれ違いも追い越しもままならない。そんな道をチンタラ走る訳にもいかず、幅広いメインの国道をただひたすら歩くのと同じスピードでハザードランプを点滅しながらの走行。当然、後ろからクルマが追いつくわけで、反対車線にクルマが流れるうちは後続大渋滞。途切れると、迷惑そうな顔で追い越してゆく。初めのうちは、申し訳ないなあという気持ちとともに恥ずかしさも感じていたが「故障なんだからしょうがない」。天気が良く気持ちのイイ青空の下、このスピードに慣れてくると皆に注目されながらユックリ進む自分が、まるでパレードの最中にいる気分。「手でも振ってやろうかしら」と思えてくる。そんなクルマで5キロの道のりを小1時間かけて帰宅。結局、JRで出直したが大遅刻。

 翌日、修理工場の説明では「燃料を噴射するナントカが壊れていて、エンジンをバラしての部品交換とコンピュータの基盤を取り替える必要があり修理代30万」とのこと。壊れたジャガーを手放して以来、走る犬小屋からメインのクルマに格上げされた日産テラノ。酷使して走行距離12万キロ、相当ガタが来てるはず。これから際限なくメンテナンスに出費がかさみそうで、ここらが潮時と廃車を決断。

 ということは次のクルマを考える訳で、ジイさんとバアさん二人には軽自動車で充分なのだが2匹のボーダーコリーを乗せるとなるとそれなりの広さが必要。かといって、キャラバンやハイエースのようにデカイと乗り回しも悪く結局、ワゴンかSUVに絞られる。このクルマ選びと納車までの期間がなんとも楽しく幸せな時間。最終選考に勝ち残ったのは、日産エクストレイル。カタログを調べクルマ屋さんと相談しグレードやオプションを決めて注文したのだが、納車は4月20日過ぎとのこと。えーっそれって、消費税高くなるじゃん。と思ったらメーカーでの完成が3月末、その時点でナンバー登録するので支払時は消費税5%。それから船積みし北海道に着いてディーラーでオプション加工して納車。昨年暮れにフルモデルチェンジされたばかりで人気車種なのか、消費税増税前の駆け込み需要なのか。申し込んでから3ヶ月も待たされることになってしまった。

 いつものことだが、新しいクルマが納車されるまで毎日がワクワク。このワクワクが3ヶ月も続くのは嬉しいのだが、長過ぎるワクワクを持続できるかどうか不安になってしまう。

チタニウムカーキ

紅い花 - ちあき なおみ

 長年連れ添ってきたマイジャガーのエアサスペンションが壊れ、車高短(シャコタン)になってしまった。これ幸いにグラサンにツナギでブイブイ乗り回そうと思ったが、ほんのちょっとの路面の起伏でも底を擦って自走できないほど。整備工場へ運んだところ、部品交換で直るらしいが、他も傷んでいて4本全部のエアサス交換が必要かもと云う。聞くと、軽自動車が買えるほどの値段なので、この際引き取ってもらうことにした。

 死ぬまでに一度でイイからジャガーに乗りたい! 夢が叶った8年前、諸経費含めて千ん百万もの大枚をはたいたのだが、買い取り業者の提示金額、なんと20万円。高価買い取りというCMの割には、シミッタレた金額だが、壊れてるんだからシャーナイとアキラメて手放した。

 そんなわけで、今まで「走る犬小屋」だった日産テラノが、現在の私のアシになっている。今週すでに3回も札幌往復と大活躍。今や私の「走る応接間」にまで格上げされた。しかし、如何せん「走るオーディオルーム・ジャガー」の静寂さとは比較にならないくらいウルサイ。なんたってディーゼルエンジン。ブリブリバリバリ、音がスゴイ。そこで、街中ではやらないが、高速道路ではヘッドフォンで音楽を楽しんでいる。

 私のiphone musicフォルダには数百曲。ほとんどJazzとcountry。そんな中、2曲だけ歌謡曲が入っている。そのうちの1曲が「ちあきなおみ」の「紅い花」。これほどヘッドフォンが似合う曲はないと思う。

アズル

 ゴミを「ナゲル」、今朝は「シバレル」、手袋を「ハク」、パンツのゴムが「イヅイ」etc. 普通に使っている私だが、恥ずかしながら「アズル」という言葉が方言だと知ったのは最近のこと。というか、この歳になるまでアズルという言葉自体知らなかった。クルマがスタックする、スベって空回りすること。「いやあ、車がワダチにハマっちゃって、アズって動けないんだわ」と使われるらしい。

 雪に埋まって腹がつかえてタイヤが浮いてしまう「亀の子状態」やアイスバーンで滑って坂を上れないなど、よくあることだが、今まで普通に「ハマル」とか「スベル」と言っていた。別に都会ッ子の振りして格好つけてたわけじゃなく、ただ知らなかっただけ・・・

 今日は、風は強いが天気も良くメイとララを連れていつものように滝里ダム下流公園へドライブ。駐車場へ向かう道には吹きだまりができていて走りにくいが、なんたって四駆のテラノ。こんな雪くらい、ナンノソノと調子に乗ったのが運の尽き。アズってしまった。見た目に普通に積もった雪ならばヤワラカクいくらでも乗り越えていけるのだが、吹きだまりの雪は硬くシマッテいて腹がつかえると完全に亀の子状態。前にも後ろにも進まない。

 クルマの下の雪を取り除こうにも、スコップもスノーヘルパーも積んでおらず完全に立ち往生。やむなく携帯電話で息子にSOS。いやあ、こんなときにこそケータイの有り難みがわかるというもの。もしも家に置いてきたりしていたら、どこにも連絡が取れず、地吹雪の中を延々と歩いてダム事務所へ向かうか。誰か見つけてくれるまでクルマの中で一晩明かすか・・・

 先月、道から落ちたクルマの中で、愛犬の体温で一晩無事に過ごした話がニュースになった。メイとララ2匹居れば心強いが、新聞やTVのネタになるのは格好ワルイなあと思いながらノンビリ待つ。息子がスコップ持参で来てくれてクルマの下の雪を掘り起こし無事脱出。

 教訓:ケータイは、忘れずに持ち歩くこと(そっちかい?)

極上の秋の香り

 嬉しいことに毎年この時期になると、長野の知人からカリンが届く。一度、生で囓ったことがあるが果肉は固く渋くて酸っぱくて食べられなかった。蜂蜜に漬けたりカリン酒にすると、甘い香りが移って美味。風邪の薬にもなるようだ。だが、なによりもカリンの価値は、その芳香にある。言葉で表現するのは難しいがフルーティで甘く優しく清楚で品のある香りにウットリする。

 この香りは、玄関ではお客さんをモテなし、茶の間では2匹のボーダーコリーの様々な臭いを覆い隠して余りあり、枕元では気持ちよく夢の中へイザナってくれる。まさに、この時期にしか味わえない極上の秋の香りを楽しんでいる。特に狭い空間の中では一層、香りが引き立つのでクルマに1個乗せてある。以前、人工的な香りの芳香剤を使って、その甘ったるいイヤな香りに辟易して捨てて以来、クルマに香りを乗せたことはなかったが、自然そのもののカリンの香りでα波出っぱなし状態。


  すべての記事概要

  ラジオ録音盤

  リンク

CLUB ZENA

Powered by Movable Type 5.14-ja

  SSL証明書



  |  全記事一覧