ハナイグチ

ラクヨウキノコ

 雨が多く平均気温15℃以下、最低気温10℃前後になるとラクヨウキノコが一斉に出始める。それ以前にも単発的に見られるが採れる量はごくわずか。

 毎年、秋分の日に行う「抜歯塚供養」と「家族総出のラクヨウキノコ狩り」だが今年は間に合わず、1週間ほど遅れて大量発生がやってきた。

 他にも食べられるキノコは見つかるが、やはり「ラクヨウ」を見つけた時の喜びにはかなわない。同じラクヨウと呼ばれるキノコでも「褐色のヌメリイグチ」よりも「茶褐色のハナイグチ」は別格。「オンナキノコ」の女王様は気品に満ちている。

 味噌汁にする限り、ほとんど味に違いはないが、その容姿から見つけて嬉しいのは、ハナイグチ(オンナキノコの女王)>ヌメリイグチ(オンナキノコ)>シロヌメリイグチ(オトコキノコ)。

 今夜は、ラクヨウの味噌汁でタメ息をつくほどの幸せに浸る。

台風被害倒木

 もともと倒れていた木の上に、先日の台風で新たに倒れた木が重なっている。これを玉切りにして片付けなきゃいけないのだが、キノコの季節が終わるまでチェンソーはお預け。とはいえ、倒れた木は地上のキノコたちによって分解され、いずれ土に還る。そこがキノコの偉いところ。地球上の生態系を維持するのに貢献している。動物・植物の遺体から有機物を分解し無機物に還元。土へ戻った有限の無機物を動植物が合成し菌類が分解、これを繰り返し循環利用するので動物も植物も菌類も無限に命を繋いでゆくことができる。

 1億年前の白亜紀以前、地球上にキノコがいなかったせいで動植物の遺体は分解されず長い時間をかけて地下で石炭や石油に変わった。キノコが出現すると有機物が分解されてしまうため新たな化石燃料は作られず、いずれ化石燃料が消滅するという未来が待っている。

 現在、化石燃料からプラスティックが作られ、燃やすとダイオキシンや環境ホルモンという物質を発生するが、キノコには、その有毒物質を分解する能力があるらしい。キノコの働きは、化石燃料を作らせないばかりか化石燃料がもたらす有毒物質をも分解し地球上の環境保全の役割を担っている。まるで「風の谷のナウシカ」の腐海に生きる王蟲(オーム)のような存在。

 そんな貴重なキノコを食べてしまうなんて。と、ご批判もあろうかと思うが、ソレとコレは話が別。今日も山荘内を散策して秋のキノコをゲット。

タマゴタケ たまごたけ

秋のキノコ

 本日の収穫、巨大なタマゴタケ、アミタケ、ラクヨウのオトコキノコとオンナキノコ、アカモミタケ。タマゴタケはバター焼き、その他は味噌汁で頂く。いつものように家内は口にしないので、私だけの特別メニュー。

タマゴタケ タマゴタケのバター焼き

関連:持ちつ持たれつ

 午前3時、今まで経験したこともない揺れに目が覚め飛び起き、テレビで情報収集。道南震度6、札幌近辺震度5、この辺りは震度4、道東道北震度3。震度4でもこれほどヒドイ揺れとは、普段地震に縁のない地域で暮らす者にとっては未体験の驚き。外へ出て、ベランダに積んだ薪が崩れてないのを確認、家の中に被害がないのを確認し再度就寝。朝、目が覚め停電であることに気づいたが、どうしようもなく本日休診。幸い午後1時半に電気が復旧。断水もなく平常の生活に戻った。

 台風のため、しばらく出掛けなかった山荘。8月末に一度顔を出したラクヨウの様子を見に行った。涼しい気候のせいか例年より早く顔を出している。暑さが続き急に涼しくなる年は、一度に大量にでてくるが、今年は、まばらに少しづつの様子。それでも1回分の味噌汁の具には充分の量。今夜も「はあーっ」とタメ息が出るほど旨い幸せの味「ラクヨウの味噌汁」に舌づつみ。

ラクヨウキノコ

ラクヨウキノコ ラクヨウキノコ

ラクヨウキノコ

ヌメリスギタケモドキ

ヌメリスギタケモドキ

 雨のタイミングと気温の関係が合わず、今年はラクヨウ(ハナイグチ・ヌメリイグチ)不作の年。いつものように、ラクヨウの味噌汁を飲んで「ハアー、幸せだなあ。私は、きっとキノコから生まれてきたに違いない」と幻覚的タメ息をついたのは、たったの2回。保存食として冷凍するほどの量もなく今年は寂しい限り。今、思い返しても「4年前の大豊作」が夢のように思えてくる。「ま、こんな年もあるさ」と諦めながらも、しつこく山荘内を探しまわっているが、オンナキノコ(ハナイグチ)だけでなくオトコキノコ(シロヌメリイグチ)まで不作だから、しょうがない。

 昨夜、弱々しい雨が降っていたので淡い期待を胸に早起き。案の定、見つけたラクヨウはたった2個でガッカリ。それに引き換えアカモミタケは結構見つかる。ただ先日大量に採ってキンピラで頂いたばかりなのでパス。そんな時見つけたのが、ラクヨウの仲間キノボリイグチ。普通イグチは地面に生えるが、キノボリイグチは朽ちた木や倒れた木に生える。苔むした倒木に生えても、ほとんど地面に生えているようにしか見えない。今まで「木に登らないキノボリイグチ」にしか出会ったことがない。朽ちてない立木に生える典型的な姿は、まさに名は体を表す。カタチはラクヨウに似ているが、傘の表面にササクレがある。味は、ほとんどラクヨウと同じで幸せを感じる極上の旨さとか。ものの本によるとラクヨウより野性味あふれる味と書いてあるが、「味を言葉で表現できない私」にとって野性的な味というのがワカラナイ。

 図鑑によっては胃腸系中毒を起こすとも書いてあるので、あくまで自己責任で。

 ※2016/10/8「キノボリイグチ」として投稿しましたが、その後、「ヌメリスギタケモドキ」と判明しましたので訂正します。

アカモミタケとカラハツ

 ハツタケには、多くの仲間がある。シロハツ、クサハツ、クロハツやモドキ、ニセクロハツなどなど、名前に「ハツ」がつくキノコは数多い。秋のキノコシーズン初めに採れることから初茸と名付けられたらしい。名前がハツタケに似ていても、可食のものも毒キノコもある。

 ハツタケのカサは、淡い赤褐色・黄褐色で同心円状に模様がある。傷つけるとワイン色の乳液が出て、ゆっくり青緑色に変化するので古くなると全体に青緑色のシミがあるのが多い。このため「ロクショウ(緑青)」と呼ばれることも。カサの色が赤っぽく同心円状に模様があるアカハツも傷つくと青緑色に変色するのでわかりやすい。もっとわかりやすいのは、アカモミタケ。全体にオレンジ色で傷つくと赤い乳液を出すが、時間が経っても変色せず鮮やかな赤色のまま。柄には赤いクレーター状のアバタがある。キハツダケは全体に白っぽく、傷つくと白い乳液を出すが時間が経つと淡い青色に変色する。これらは、どれも美味なキノコだが人工栽培ができない。

 それぞれによく似たキノコもあるが、観察して特徴を抑えると間違えることはない。とはいえ、アカモミタケとカラハツのように離れたところからでは勘違いしそうになるものもある。左の写真はアカモミタケ、右はカラハツ。色合いはよく似ているが言葉ではなく、ジッと見つめていると違いが見えてくる。キノコ狩りにはこの感性が大事。経験を積むと、一目見た瞬間に以前食べたことがある安全なキノコを見分けられるようになる。ちなみにアカモミタケは大好きなキノコだが、カラハツは名前の通り辛くて食べられないらしい。本当に辛いかどうか試したことはないが。

アカモミタケカラハツ

アカモミタケカラハツ

アイシメジとアカモミタケのキンピラ

 季節ならではの旬の味、アイシメジとアカモミタケのキンピラ。茹でこぼしたアイシメジとアカモミタケを刻み、ごま油と酒、醤油と味醂で甘じょっぱく炒りつける。ご飯に混ぜるので、鷹の爪や煎り胡麻はなし。

 常備菜としてキンピラをよく作る。いつでも手に入るせいか当たり前すぎて「ゴボウと人参」や「レンコン」のキンピラに季節を感じることはないが、春には「ウドの皮」や「蕗」、秋になると「キノコ」が季節のキンピラの主役になる。養殖のマイタケやエリンギもキノコには違いなく、これはこれで美味しいのだが、やはりこの季節にしか味わえない山のキノコで旬を堪能したい。特に好きなのはアカモミタケ。ご飯のおかずや酒のツマミにもなるが、炊きたてご飯に混ぜてキノコご飯が絶品。炊き込みにするより旨いと思う。

ほろ苦いアイの想い出

アイシメジ

アイシメジ 一目見ると、シメジの仲間であることはわかるが、藍色でもないのにアイシメジ。愛らしいから、愛シメジというほど可愛いくもない。「黄色いキシメジ」と「灰色のシモフリシメジ」の中間の色合いなので、間という意味のアイノコからアイシメジというらしい。なんという安直な名付け方。

 カサの表面は、淡い黄色で中心から暗緑色の繊維状の模様があり中央はやや黒い。裏側のヒダは密で白く、周辺が黄色味を帯びている。柄は白いが黄色っぽい。いつもはラクヨウが終わる中秋の頃から出始めるが、今年は早めに顔を出している。

 歯ごたえがよく舌触りも悪くないが、少し苦味がある。この苦味に気づいたのは、肉や野菜と数種類のキノコで鍋を作った時。豚肉の旨味やキノコの出汁で濃厚なコクがあるのだが、ほのかに苦い。はじめは、ん?という感じで食べていたが、煮こむほどに苦さが増してきて結局、半分以上捨ててしまった。下処理をしなかったアイシメジが原因、やはり手を抜くとマズくなる。それからは必ず茹でこぼして、しばらく水にさらしてから使うようになった。炒め物や大根おろしあえ、鍋物の具として重宝している。

 採れる場所によって違うのか個体差なのかわからないが、茹でこぼさずに調理すると、とんでもなく苦いものに当たることがある。アイも優しく扱わなければ苦味を伴うということを経験から学んだ。

乾燥タマゴタケ

 より大きく育ててから食べようと企んで植木鉢に移植した「養殖タマゴタケ」、大きく育つどころか干からびてしまった。ベランダに置いてあった植木鉢。しばらく続いた雨のせいで、この程度で済んだが、カンカン日照りであれば一日でカンカラカンに乾いていたはず。どこでどう間違ったのかわからないが、タマゴタケ養殖計画は完全な失敗に終わってしまった。「やはり野に置け蓮華草」のごとく、深山にあって輝く美しさは人知に左右されないものなのだろう。

乾燥タマゴタケ

 今朝も雨のち晴れ、絶好のキノコ狩り日和。昨日はなかったはずの場所にも、ラクヨウが顔を出している。小一時間、散策しただけで写真の量をゲット。山荘には二つの山があり、奥の方が文字通りキノコの山。今回は足を踏み入れてないが、きっとモノスゴイ量のラクヨウが生えてるはず。ただ、熊に遭遇する可能性もあるので一人で分け入るのを躊躇している。

ハナイグチ・ヌメリイグチ シロヌメリイグチ

ハナイグチ

 恵みの雨が降り続いている。今年のラクヨウは、いつもより早め。雨合羽を着込んで完全防水でのラクヨウ探し。少々の雨は気になるどころか、かえって気持ちイイ。雨のせいで、ヌメリのあるキノコ達は輝いて見える。

 山荘内のラクヨウポイントはだいたい決まっているので、順に何箇所か巡るだけで出逢うことができる。いつもは、シロヌメリイグチ(オトコキノコ)が出始めると秋のキノコシーズン到来を告げるのだが、今年は逆のようでハナイグチ(オンナキノコ)が多く見つかる。ほとんど見向きもされないオトコキノコは、ハナイグチやヌメリイグチには容姿で劣るが、味はそんなに変わらない。だからといって、オンナキノコが手に入るときに、あえて採りたいとは思わない。私にとっては、ハナイグチやヌメリイグチが見つからない時のキープみたいなもの。やはり、何でも見た目って大事なんだなあ。

 写真、左がオンナキノコ、右がオトコキノコ。やはりオトコは無骨でオンナはキレイ。

オンナキノコ オトコキノコ

 関連 : 不人気なオトコキノコ

タメ息が出るキノコ

キヌガサタケ幼菌 大雨警報が一夜明け、足元が濡れているので笹狩りや山仕事はお休み。キノコ狩りには最高のシチュエーション。雨上がりに見つかる確率の高いハナビラタケを求めて山荘内を散策。結果的にハナビラタケは見つからなかったが、名も知らぬ多くのキノコたちと巡り逢うことができた。

 例のアレがスッポンタケなのかキヌガサタケなのか、わからぬまま1週間が過ぎた。そろそろ孵化するらしく、てっぺんの皮が破れ始めた。できれば「キノコの女王」と呼ばれるエレガントなキヌガサタケであってほしい。卵の頂上が裂け始めると、柄が伸びてレースのスカートをまとうまで数時間程度、柄は1分間に1〜4㎜、スカートは1〜3㎜伸びるという。ニョッキニョキ伸びる様子は、教育用動画の題材にも使われるらしい。私の場合、そのタイミングに立ち会うのは偶然しかないが、NHKスペシャルの動物カメラマンや昆虫カメラマンの「その瞬間」を待ち続ける忍耐力には改めて感心してしまう。

 左は、林内の地表に生えたキノコ。シメジ系統で見た目旨そうに見えるが種類を特定できないので採らずにパス。右の写真は、絶対に食べてはいけない猛毒キノコ。1本でも死ぬらしい。ドクツルタケなのかシロタマゴテングタケなのか判別できないが、いずれにしても、どちらも猛毒御三家の一員。

 シロタマゴテングタケ

 昨日の大雨のせいか、ラクヨウが顔を出し始めた。これまでにも季節外れのラクヨウが、たった1本だけで生えている姿を見ることはあったが、本格的に顔を出したのは今年初めてのこと。あまりにも小さく、明日まで待てば大きくなりそうだが「採れるうちに採る」の信念に従ってカゴに入れてきた。今年最初のラクヨウの味噌汁、出始めはいつも濃厚さに欠けるけど、それでもひと口飲み込むたびに、あまりの旨味に「はあーっ」とタメ息が出てしまう。タメ息をつきながら食事をするのは行儀悪いが、ひと口ごとに生きててよかったぁと思えるほどの幸せを感じるのは、やはり私がキノコから生まれたせいかも?

ラクヨウ

ラクヨウ ラクヨウ味噌汁

 散策していると、名を知らないキノコに出逢うことのほうが多い。なんとなくわかっても、似たキノコと鑑別できないものもある。「見つける喜び」と図鑑やインターネットで調べて「知る喜び」、スリルとサスペンスを乗り越え味わう「食べる喜び」。キノコ狩りの魅力はつきることなく毎回、新しい発見がある。左の写真はカワラタケ。蒸して乾燥して煎じると「キノコ茶」になる。副作用のない抗がん剤「クレスチン」の成分が抽出され、身体にイイらしく味も悪くないということなので、キノコ茶に挑戦してみようと採ってきた。右の写真はミヤマトンビマイ。マイタケの親戚のようなものだが、幼菌の柔らかいものは可食。まだ硬くなっていないものを見つけたので採ってきたが、果たしてどうやって食べようか検討中。それにしてもデカイ。

カワラタケ ミヤマトンビマイ

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