哀愁のキタキツネ

 気温23度。日陰にいると涼しい風が渡り過ごしやすいが、陽に晒されて山仕事をしていると汗が吹き出してくる。木を伐り倒し、枝を払い玉切りにして運び出す。払った枝を一箇所に集め片付ける。単純な作業だが、結構ハードに体力を消耗する。水分補給のためレストハウスで休憩中、珍しいお客さんがやってきた。

「おじさん、なにしてるの?」
キタキツネ

「おっ、ひとりかい?」
「そうだけどさ」
キタキツネ

「おなかすいてるのかい?」
「すいてるよ」
キタキツネ

「そうか、おじさん、なんにもあげるもんないよ」
「なあんだ、じゃあいくね」
キタキツネ

という感じで去っていった。
キタキツネ

 今年生まれた子ギツネではないが、まだ若い。独り立ちして1〜2年というところだろうか。もう6月だというのに、冬毛が半分ほど残っている。ひょっとして「アノとき出逢った子」が顔を見せに来てくれたのかも。
キタキツネ

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