笹を刈るのがこんなに楽しいなんて。すでに「ササガリーズ・ハイ(ランナーズ・ハイのようなもの)」の境地。今日も朝から汗を流す。どんどん森がキレイになる。今日もキレイにしてくれて有り難うと、森が私にご褒美をくれた。
8月初旬、山荘にやってきたハンマーナイフモア。酷暑の盆休み以来、炎天下でも時間さえあれば笹を刈っている。行事のない土日はもとより札幌へ出向かない平日の午後は、ほとんど山荘で過ごしている。この機械の本当の実力は草を刈ることにあらず、何がスゴイって背丈ほどに生い茂る笹藪に分け入ってブルドーザーのようにバリバリ刈り進み、笹だけでなく直径2センチくらいの雑木まで粉々にしてしまうところにある。この威力のおかげで、どんどん土地が開け山荘の美林化計画は着々と進んでいる。
お盆を1週間ほど過ぎた頃から急に気温が下がり、夜は涼しいというより肌寒く感じるようになってきた。2日間ほど雨が降ったので草刈りを中止した翌日、もしやと思い探してみると今年はじめてのラクヨウキノコをゲット。8月末に顔を出すハシリのラクヨウは、味は淡泊で濃厚さに欠けアッサリ味。それでも味噌汁を口に含むと「あー、旨い!」と自分がキノコから生まれてきたんじゃないかと思えるほど幸せな溜息をついてしまう。
気温が下がるこの季節、雨が上がると雨後のタケノコのように秋のキノコが顔を出す。早速、タマゴタケとハナビラタケを見つけた。「幻のキノコ」「免疫キノコの王者」と言われる「ハナビラタケ」が、なんと3株も。β-グルカンがアガリクスの3~4倍もあり、末期ガンの人が食べるとガンが消えたり小さくなったりするらしい。バターで炒めたり、炊き込みご飯が我が家の定番。食べきれない分は、冷凍保存で常備している。
それにしても炎天下の作業で1日5リットルものポカリスェットを必要としていた猛暑のお盆休みから、まだ2週間ちょっとしか経ってないというのにエゾノコリンゴや姫リンゴが色づく秋の気配が漂い始めた。暑さから解放され作業しやすくなったのはイイのだが、アチコチに顔を出すキノコまで刈ってしまいそうで悩ましい。本格的なラクヨウシーズン到来までに作業を急がねばと精を出す今日この頃。
山荘に雪虫が飛びはじめた。「雪虫を見つけると1週間か10日で初雪が降る」と云われ、子供の頃はワクワクしながら初雪を待ったもの。株式会社ウェザーニューズの発表によると、道内では雪虫大量発生から初雪までの日数を過去5年間で平均すると22日、1週間か10日という俗説より倍以上も遅い傾向にあるらしい。温暖化の影響なのだろうか。いずれにしても今日から22日後というと、10月末か遅くとも11月初めには初雪が降る。
昨日、テレビで「札幌の家族がキノコ中毒」というニュースを観た。自宅近くの林野でニセアセタケを採り、一家4人で朝食の味噌汁の具にして食べたところ、約2時間後、2人に発汗や手のしびれの症状が出たらしい。「種類はわからなかったが、食べられるキノコだと思った」と云うコメントがあったが、何のキノコかわからないのに食べられると判断した根拠が理解できない。私も似たようなもので、他人のことは云えないが少なくても種類を同定し大丈夫という結論が出なければ食べてはいけないのがキノコ採りの鉄則。写真は山荘で見つけたニセアセタケと思われるキノコ、そこら中に生えている。美味しそうに見えるが、見た目で判断してはいけない。「自分は大丈夫」と過信している私だが、ニュースに出るのは恥ずかしいので気をつけなくっちゃ。
ラクヨウの季節もそろそろ終わる頃だが、名残を惜しむかのように顔を出す可憐な姿を見つけた。食べちゃいたいくらい可愛いので、別に採ったアミタケと一緒に味噌汁の具にすることに。
天気の良い日は、キノコが見つからなくても、ただ森の中を歩くだけで楽しく気分がイイ。デイパックにキノコ図鑑と温かい番茶の魔法瓶を入れ、ポケットにカメラ、手にキノコカゴというスタイルでブラブラ歩く。林の中では開けたところを選んで進むが、ときには笹藪を掻き分けることもある。そんな時、偶然見つけたのが不思議な石碑?「抜歯塚」に並ぶ「鎮犬碑」のすぐ脇に立っていた。子供の頃から山荘に行ってるが「こんな所に、こんなものがあったなんて」まったく気づかなかった。
早速、草刈り機で周囲の笹を刈る。露わになった姿を見ても、何なのかわからない。触ってみると完全に石、押しても引いてもまったく動かない。まるで地面から生えている様子から樹木の化石のようにも見えるが、どこか人工物の気配もする。だからといって仏像であるとかモニュメントであるとも思えない。いったい誰が何のためにここに置いたのか、まったくの謎。こんなミステリーに出逢えるのも森の散歩の楽しみの一つ。
たまに暑い日もあるが、姫リンゴが色づく秋本番の野花南山荘。この季節になると、私の心とアタマの中はキノコのことでイッパイになる。キノコには様々な魅力があるが、なんといっても見つけたときの喜びに勝るものはない。もちろん食べられて美味に越したことはないが、それが毒キノコであっても可憐な姿や毒々しい姿にも心惹かれる。
今日も午後から仕事を抜け出し、山荘内を散策。アカモミタケを大量に見つけた。キノコ狩りはタイミングである。キノコは日ごとに成長するので小さな個体の場合、今日より明日の方が多く収穫できるのだが、人生、明日のことなど分からないので「採れるうちに採る」が座右の銘。林先生でなくても、いつ採るの?今でしょ!
アカモミタケに似たキノコにアカハツやハツタケがある。アカハツやハツタケの場合、傷つけると初めに橙黄色や暗赤色の乳液が出て時間が経つと青緑色に変わってくる。アカモミタケは、傷つけると鮮やかな朱紅色の乳液が出るが時間が経っても変色しない。これらは間違えようもないし、もし間違えてもどちらも可食なので問題ないが、形が似ていて傷つけても乳液が出ない場合は気をつけた方がいい。ひょっとして、身体中の末端が赤く腫れて1ヶ月も激痛が続くという「ドクササコ」のことがある。下の写真はドクササコの菌輪とドクササコ。
アカモミタケは味が良いキノコなので、ゴマ油で炒め、酒、味醂、醤油で炒りつけ濃い味のキンピラにする。これを炊き上がった炊飯器に放り込み、蓋をして10分ほど蒸らし、かき混ぜて茶碗に盛るとアカモミタケ混ぜご飯の出来上がり。タマゴタケのホイル焼き、ラクヨウキノコの味噌汁、今夜の夕餉は秋の香りの大饗宴。これにサンマの塩焼きでも添えればヤラセのように秋らしさ過剰演出になるが、私の採ったキノコはラクヨウ以外、一切口にしないという家内が用意した今夜のメインディッシュは焼き鳥。とはいっても北海道では豚肉とタマネギを串に差し、焼いてタレ味に仕上げる「精肉タレ味」。どこが鳥なの?という焼き鳥。これがまた旨いんだよなあ。ついつい食べ過ぎてしまう。まさに天高く私も肥ゆる秋。
今年も暑い夏だったが、お盆が過ぎると朝晩めっきり涼しい。気温が下がると秋のキノコたちの出番。 今年もラクヨウは豊作の予感。初物を味噌汁で頂いた。五官すべてで味わう秋の味覚、まさに幸せを感じる至福の時。
稚内に初雪が降り、中山峠は5センチの積雪。道内各地で氷点下となった昨日以来、寒い日が続いている。午後休診、雨ではあるが野花南へ出掛けた。山荘入り口にクルマを乗り入れると、鹿と目が合い急停車。フロントガラス越しの私を見つめるように、20メートル程先でジッと動かない。そっとクルマを降り、近づくも我関せずで草を食んでいる。人慣れしてるはずはなく、私に危険な雰囲気を感じないのかもしれない。カメラを構えながら、少しづつ近づく。5メートル程になると林の中へ逃げ、その場からジッとこちらの様子をうかがっている。あまり刺激してもカワイソウなので、私も無視して自分の仕事「キノコ狩り」に取りかかる。
一回り後、カゴの中のボリボリ。ボリボリもアタリ年で群生状態。雨の中で小さなキノコを採るには手間が掛かり、だんだん面倒になるのが贅沢な悩み。ほぼイッパイになったカゴをかかえて山荘に戻ると、広場では先ほどの鹿が食事中。これだけ草を食べてくれるなら、草刈りなんてしなくてもいいのにと思いながら再度、カメラを構えて近づくが、やはり限度は5メートル。自分に危険が及ばない距離を見切っているのだろう。いつもは遠くから眺めるだけだが、こんなに近づいたのは初めて。ほとんど毎日、山をうろついている私の姿を鹿もどこかで眺めていて、私を山の中の一つの景色として捉えているのかもしれない。
お初のキノコ「マクキヌガサタケ」。キノコの女王と呼ばれる「キヌガサタケ」よりもレースのスカートが短い。どちらもスッポンタケ科に属し、先日見つけたスッポンタケの幼菌は「マクキヌガサタケ」である可能性が高い。この写真にはないが、先日のプヨプヨした幼菌の一部が根本を覆いツボになっていた。先っぽの黒いグレバは虫が舐め取って黄色になっている。どちらかと云えば古くなったキノコだが、悪臭のグレバが無くなった分、食べてみようかなという気にさせられる。傘を取り、スポンジ状の柄とレース状の網を食べる。
先日の幼菌は、あまりにも見た目が気持ち悪く手が出なかったが、今回は歯触りを想像して旨そうに思える。塩水で虫出しのあと熱湯で茹でこぼし、中華スープで煮る。熱を加えると少し軟らかくなったが、だいたい想像どおりの味。これ自体に味はなく歯触りと味付けを楽しむもので不味くはない。本格中華料理に出てきたら、その味付けでコリコリした食感を楽しめそう。
それにしてもエライのは、このキノコの繁殖方法。たいていのキノコは、胞子を飛ばし風に乗せて子孫を増やすが、傘の表面の独特の臭いで虫や小動物をおびき寄せ、舐めさせて胞子を遠くへ運ばせ子孫を増やす。人間には、イヤな臭いも虫にとっては魅力的なのだろう。生き延びるためのシタタカな知恵は進化の証。
昨夜の夕飯に頂いた「カラカサタケ」、間違いなく本物だったらしい。体調に変化なく過ごしている。フライは揚げたてが一番と云うが、油っぽくフワフワで味もなく旨くはなかった。結局、食べたのは一枚で残りは冷蔵庫。一夜明けて、今夜の夕食に冷めたフライを頂いたら結構イケた。もともと冷めた茄子のフライが大好物。というのも、ウチの隣がパン屋さん。このパン屋さんの自家製パン粉は、目が細かく粒が小さい。皮を剥いた茄子を薄くスライスし、このパン粉でフライにする。皮を剥くのがポイント。揚がった茄子はトロトロに火が通り、まるでフライの皮だけが残った状態になる。これが冷めると皮がシットリして余計旨くなる。と、ここまで書いたが、この茄子のフライは隣のパン屋さんが作るモノ。たまに、お裾分けに頂く。以前、これを商品として売り出したらと進言したが、その気はないらしい。ウチで作ってもこの味にならないのは、ドーナツなど大量に揚げた油を使うせいだろうか。
もうかれこれ20年以上も前の話になるが、このパン屋さんのヒット商品に「イカバーガー」というのがあった。肉を使わずイカだけで作ったハンバーグをバンズで挟んだもの。ソースはマヨネーズ系。ウチの家族も大好物で、一人2個づつ一度に10個のまとめ買い。今でもときどき想い出し懐かしく「イカバーガー」が話題になる。また、テレビの県民ショーで有名になる遥か昔、私が子供の頃から「ようかんパン」を作り続けている。毎朝焼き上がる食パンも絶品だが、なんといってもこの街を代表する銘菓「どりこの饅頭」が看板商品。普段意識することもなかったが、大正元年創業のパン屋さんが歴史を刻む背景には数々のヒット商品の存在があったようだ。
冷めたフライの話から話題が逸れたが、今夜の夕飯。冷めたカラカサタケのフライ、キハツダケとアカモミタケのキンピラ、ボリボリとアイシメジとニセアブラシメジと豚肉とネギの鍋物。なによりも、100%混じりっけなしの魚沼産コシヒカリの新米。ご飯が旨すぎて食べ過ぎてしまう。これではキノコダイエットも効果半減。
週末から地元を留守にしていたため、野花南散策は久しぶり。少しずつ秋が進みラクヨウも終わりの時期を迎え、これから晩秋のキノコが森を賑わす。今日も多くの見知らぬキノコ達と出逢い、数少ない知識と図鑑を頼りに名前を探す迷走の旅へ出かけた。どんなことでも初体験は気持ちイイに決まってるが、見知らぬキノコを初めて口にする場合でも、そう云い切れるかどうか。充分な調査と慎重な覚悟と少しの勇気が必要。
今日一番の収穫は、地面にそびえ立つ巨大なキノコ。なんと傘の直径26センチ、高さ30センチ。「デカッ!」というのが第一印象。次にキタのが「喰いごたえある」というイメージ。カゴと比べると巨大さが一目瞭然。家に帰り図鑑で調べたが特定できず。「大きいキノコ、巨大キノコ」をキーワードに検索の結果、いくつかの候補に絞られた。「オオオニテングタケ?」「猛毒のフクロツルタケ?」「カラカサタケ?」「ドクカラカサタケ?」、インターネットの不確かな情報でも数多くの画像を見比べていくと、それなりに違いが見えてくる。決め手となったキーワードは「柄のまわりにあるツバが上下に可動する」。やってみると、実際にビラビラする膜状のツバが指輪のように上下に移動する。この段階で最も可能性が高いのは「カラカサタケ」。
wikipediaによると「従来から食用とされる。天ぷら、炒め物、きのこ汁等加熱した上で利用されるが、生食は消化器系の中毒を起こす。蕁麻疹、下痢、アレルギーを起こすこともある。無味、無臭」。なあーんだ喰えるじゃん。ノミネートされた他のモノは、すべて毒キノコ。「よし、カラカサタケに決定!」。プラス思考というか、自分に都合のイイように話を持っていこうとする傾向がある私。「なんとしても喰ってみたい」という気持ちが無意識に働き、判断をミスリードしている可能性もあるが「ま、いいでしょ」。
ただ、ひとつ心配なのは「ドクカラカサタケ」。別名を「コカラカサタケ」といい、カラカサタケほど大きくはならないとあるが、「大きいコカラカサタケ」は「小さいカラカサタケ」より大きいはずで、あまり当てにならない。傘の裏ヒダは白く、見た目に区別できないが傷つけると赤変するので判別できると書いてある。この点はクリアしてるのでOKとは思うが、万一間違っても嘔吐や下痢の胃腸系中毒なので遺言を書くまでもないだろう。真夜中の下痢なら、野花南産ポルチーニの「単なる喰い過ぎ」で経験済み。
一抹の不安を残しつつも喰えるとなれば早速、下準備。柄と傘を切り離し塩水につけて虫出し。それにしてもデカイ!開ききった傘は、トウキビを茹でる直径30センチの大きな鍋いっぱいを埋め尽くす。柄は細かく刻んで冷凍、ハンバーグなどに混ぜて使う予定。今夜のメインディッシュは「カラカサタケのフライ」。傘を8分の1にカットして豚カツの要領で揚げる。見た目は魚のフライそのもの。熱々のフライにトンカツソースをかけてナイフを入れる。サクッとした触感のあと、スッと切れるが切り口はつぶれてしまう。熱々の一切れを口に運ぶと、ん?何かに似てる。これは、まるで茄子のフライだ。中身がトロトロで、フライの衣だけの食感。キノコの味?よくわからない。ほとんど味がない。ソース味のフライの衣を食べてるようだ。期待したほどのモノじゃなかったが、とりあえず食べられるキノコを見つけたことに満足。たぶん、バターで炒めたりシチューで煮込んだ方が美味しいかも知れない。食後2時間経ったが、タップリ油を吸った衣のせいで胃が重く感じる以外、体調に変化なし。
「旨いべぇ!食べてみれや」と函館タナベの社長のように声をかけても、例によって「まだ、死にたくないもん」と横目で眺める家内。体型が示すとおり、実は大の揚げ物好き。自分のためには豚肉の豚カツを用意してある。外食でもないのに家にいながら夫婦別々のメニューを頂くようになれば、人生もそろそろ秋。実り多い秋となればよいが...
せっかくの連休最後の月曜日、ゆっくり朝寝をしようとタクラんだが「休日は早起き」の習慣には逆らえず。外を見ると、天高くイイ天気。こんな日に家でキノコ図鑑を眺めて過ごすのはアホらしいということで結局、本日もキノコ狩り。愛用のデイパックを背負ってブーニーハットをかぶり、長靴を履いて手にはキノコカゴ。今の季節、森の中を歩くのは気持ちイイ。ただ歩くだけでも気持ちがイイのに「発見する喜び、知る喜び、食べる喜び」というキノコ狩りの三つの楽しみまで満喫できる。とりあえず、見つけたラクヨウをカゴに入れながら探索していると珍しいキノコに出逢った。
写真を撮って、家に戻り図鑑で調べると「ノボリリュウタケ」というらしい。「鞍の形をした脳のようなキノコ」と書いてある。クラのカタチの脳って、そんな脳があるのか?「優れた食菌で、味には癖がなく加熱すると歯切れが良くなる。西洋料理におすすめのキノコ」ともあり、食べられるのに採ってこなかったことを後悔。きっと、ハナビラタケのような食感だろうなと想像してヨダレを垂らしている。
もう一つの珍しいキノコ。地面にジャガイモが埋まっているような状態で見つけた。触ってみるとプニョプニョしている。根元から掘ってみると、まるでジャガイモそっくり。そういえばジャガイモタケというのを図鑑で見たことがあるので持ち帰った。調べるとジャガイモタケなのか、ニカワショウロタケなのか、シラタマタケなのか、だんだんわからなくなる。
インターネットで画像を検索。ジャガ・・・、ニカワ・・・、シラタマ・・・、それぞれの断面が載っているが、いずれの中身も気持ち悪そうなものがグニャグニャ詰まっている。これを見てしまうと切ってみたいとは思わないが、切り口を確認しないことには特定できないのも確かなわけで、結構、勇気がいる。だんだん想像は膨らみ、切った瞬間、中に詰まったグレバと呼ばれる胞子が飛び散り家の中が大変なことになるんじゃないだろうかなどとタメライつつ恐る恐るプニョプニョの物体を真っ二つに切ってみた。
うん?ネット画像とは大違い。ナンダアこれは。恐竜のタマゴ?そこで、もう一度ネットで検索すると「スッポンタケ」の幼菌と判明。その上、スッポンタケは食べられるらしく「中華料理の材料として使われるキノコ」だそうだ。ただ、成長したスッポンタケの頭の黒い部分には、グレバという悪臭を放つ物質がついているので、これを洗い流さないと料理できないとのこと。また、幼菌は悪臭がないので茹でて皮を剥いてドレッシングで頂くと書いてある。
なんたって「発見する喜び、知る喜び、食べる喜び」の三つがキノコ狩りの楽しみと吹聴している手前、喰わないわけにはいかない。ナマの状態では、まわりのプルプルゼリーが果肉のようで旨そう。まるでフルーツだ。かぶりついてみたいが、そこはやはりキノコなので、どんな目に遭うかわからない。早速、茹でてみた。鍋の中で引っ繰り返したら、見た目は完全に皮付きジャガイモ。
茹でたあと水で冷やし、適当な大きさに切り分け皿に並べニオイを嗅ぐ。悪臭ではないが、ジャガイモの皮のような、焼き茄子のような、土臭いような、今までの経験にはない。このニオイは、ポン酢かドレッシングでごまかせると思うが、見た目がどうもなあ。箸で持ち上げると、まわりのヌルヌルゼリーから黒い目玉のような部分がポニョーンと垂れ落ちてくるように思える。結局、私の好奇心は見た目の気持ち悪さに打ち勝つことができずギブアップ。いつか、本格中華料理でスッポンタケを味わってみたいなあ。どんな味がするんだろう。
日曜日は、朝早く目が覚める。夕べは雨で今朝は晴れ。私同様にラクヨウ好きの弟が、息子を連れて札幌からやってくる。ウチの息子夫婦も揃って、団体でのラクヨウ狩り。いつもは一人寂しくだが、これだけ大勢になれば熊が出たって心強い。とは云っても太刀打ちできるはずもないのだが。そういえば、熊に襲われたときの保険に入ってたかな。あちこちに「熊出没注意」の看板がある北海道では、熊保険「GKベア」は道民の常識?
野花南山荘には、低いマンジュウ山が二つ連なっている。普段、手入れをしている手前の山が、私のテリトリー。奥の山の麓には、熊捕獲用のワナが仕掛けられているので、なかなか一人では入りにくい。ただ、キノコの量はかなり多く、ウチでは「キノコの山」と呼んでいる。
本日めでたくラクヨウ探索探検隊が結成されたので、当然、奥の山に入る。気温が一気に下がり、今まで出たくても出れなかったラクヨウ達が、ここに来て一斉に顔を出したようだ。こんなに沢山のラクヨウの群生は見たことがない。たぶん、生まれて初めての出来事。ひょっとしたら、もう死ぬまで見ることはできないかも知れない。それほど多くのラクヨウを目の前にして、探検隊員全員興奮のルツボ。採っても採っても、あるわあるわ。なんかさあ「今日が人生最高の日」なんて云ったら、「たかが、キノコで?」と怒られそうなんだけど、これは、きっと森が私にかけた「キノコマジック?」。森の中に飛び交う幻覚作用を及ぼす毒キノコの胞子を大量に吸い込んだせいかも。
奥の山へ入る手前で見つけたオトコキノコをカゴに入れて持ち歩いていたが、あまりのラクヨウの多さに即、捨ててしまった。「味は変わらないので不人気のままでいてくれ」と云っていた私だが、やはり汚いより美しいキノコの方がイイ。ゴメンナサイ、オトコキノコさん。
結局、カゴや袋イッパイに採ったラクヨウは、重さ約12kg。近くのスーパーでは、100グラム500円くらいらしいが、弟の話では札幌のデパートでは800円で売っていたとのこと。ということは、1キロ8千円だから12キロで9万6千円。たった3時間で約10万円分も拾ってきたことになる。とはいうものの、お金には換算できない収穫の喜びにこそ価値がある。今日も山の神様に感謝の楽しい秋の一日を過ごした。
まだまだ採り残しがある。一人で熊に出逢うのはイヤなので、明日はどうしようっかなあ。