不人気なオトコキノコ

 ラクヨウが出はじめたタイミングで連休とは超ラッキー。午後休診の土曜日、早速山荘へ。どんより曇った空、適当に湿り気もあり気温17度。絶好のキノコ狩り日和り。今日はタップリ時間もあるので、ジックリ写真を撮ろうとタマゴタケとアカモミタケをローアングルで撮影。

タマゴタケ アカモミタケ

ヌメリイグチ いつもの探索ルートを歩いていると、ラクヨウの群生。正式にはラクヨウとは「ハナイグチ」のことだが、この辺りでは「ヌメリイグチ」もラクヨウと呼ぶ。ハナイグチはカラマツの外生菌根なので、カラマツ以外の林には出ないが、ヌメリイグチは他の松林でも発生する。ともに子実体(キノコ)発生の適温は、10~18℃で今の季節が盛り。今年は、暑かった夏のせいで半月ほどズレてしまったようだ。

 正真正銘のラクヨウ、ハナイグチの傘の色は濃い茶色だが、ヌメリイグチの傘は写真のように明るい茶色。傘の裏は、どちらも黄色のスポンジ状で誰が見ても間違えようがなく、キノコ狩り初心者でも安心して採ることができる。この2つを総称してラクヨウと呼ぶが、ハナイグチは別名「オンナキノコ」とも呼ばれる。対して「オトコキノコ」とは、同じくカラマツ林にだけ出る「シロヌメリイグチ」のこと。ラクヨウとは呼ばれず、人気のないキノコである。傘の色はハナイグチやヌメリイグチのように鮮やかではなく、くすんだ灰色がかった茶色。裏側はスポンジ状だが、黄色くなく灰褐色。ラクヨウに比べ見た目が汚いので、ほとんど見向きもされず採り残されている。味に関しては、私の経験から云うとハナイグチもヌメリイグチもシロヌメリイグチも全く変わらない。どちらかというと「オトコキノコ」のほうが出る量が多く、これが旨いキノコだというのは皆にナイショにしておきたい。

 本日の戦利品。左(シロヌメリイグチ・キハツダケ) / 右(ハナイグチ・ヌメリイグチ・タマゴタケ)
オトコキノコ オンナキノコ

キハツダケ 保存用に下ごしらえした状態。上の真ん中と右は「シロヌメリイグチ」、右下が「ハナイグチ」、下の真ん中が「ヌメリイグチ」、左下が「キハツダケ」。

 なかでも、直径20cm程もあるキハツダケ、その姿は遠くからでも目立つが近づかないと、よく似ている「シロハツ」なのか「ケシロハツ」なのか「ツチカブリ」なのか「キハツダケ」なのかわからない。キハツダケ以外のどれも有毒だが、見分け方は意外に簡単。ヒダを傷つけると白い乳液が出て、しばらくすると淡い青色に変色する。他のものは、乳液が出るのもあるが変色しない。普通の「ハツタケ」が傷つくと紅い乳液が出て緑色に変色するのに似ている。

 この青い色素は、熱を加えると消えてしまう。キハツダケは歯触りがよく、炒めるのに適している。今夜は、細く切ったキハツダケとアカモミタケをゴマ油で炒め、醤油とミリンと酒で味付けし、温かいご飯に混ぜて「キノコの混ぜご飯」を頂いた。これは、なかなかイケル。もちろん、オトコキノコの味噌汁もドンブリでタップリ。色の汚いシロヌメリイグチは、熱を加えると傘の色がキレイな茶色に変わる。これも知らない人には教えたくないナイショの話。あとは、豚もやしキムチ炒めと漬け物で今夜も幸せな夕食。ご馳走様でした。願わくは、このままいつまでも「オトコキノコ」が不人気のままでいて欲しい。

 

誰にでも伝わる幸せの味

 午後から2時間ほど空き時間ができたので、仕事を抜け出し山荘へ。ここ何年かキノコを探しているが、毎年決まって同じ場所に同じキノコが出る確率が高い。必然的にラクヨウを探すときも、まず最初は「ここ」という場所がある。いわば、私の秘密のラクヨウ畑。一昨日見たときは、全く気配なし。こんなに寒くなっても出ないなんて、今年は凶作と諦めていた。

ラクヨウキノコ ところが、なんと!キノコの神様は私を見捨ててはいなかった。例の秘密の畑、2日前とは大違い。今まで出れなかった分、一気に大放出。ココにもアソコにもラクヨウだらけ。舞茸ではないけれど、踊り出したくなるほどの大感激。待ちに待ったラクヨウちゃんとのご対面。まるでフィーリングカップル5対5の赤い糸で結ばれた時のような天にも昇る想い。

 早速今夜は、ラクヨウの味噌汁を頂いた。やっぱり「はあー、旨いなあ!」という声が出てしまう。なんで、こんなに旨いんだろう。世の中、いろんな旨いものがあるけれど、幸せを感じる旨さというのは、これしかないと思う。キノコの出汁の味噌汁に大根おろしを入れただけのシンプルなもの。今年も味わうことができたので、寿命が5年ほど延びたような気がする。

 左下の写真が、本日の授かり物。ラクヨウにシロヌメリイグチ、ニセアブラシメジにタマゴタケ。今夜の夕飯は、ハナビラタケの炊き込みご飯とタマゴタケ入りの卵焼き、ラクヨウの味噌汁に塩鮭と漬け物。味噌汁をドンブリ2杯も頂いた。ほとんど山の恵みで生かされている。山の神とキノコの神様に感謝。

ラクヨウキノコ ラクヨウキノコ

 いつものことだが、家内は私の採ってきたキノコは一切口にしない。だから、炊き込みご飯も卵焼きも私だけのメニュー。ところが、ラクヨウだけは大好物。今夜もドンブリにタップリの味噌汁を飲んでは「はあー、美味しいねぇ!」と声に出していた。やはり、幸せの味は誰でも感じるようだ。

キノコから生まれた私

 例年であれば、野花南山荘ではラクヨウが終わってから秋のシメジ類が出はじめるのだが、今年はラクヨウの姿を一度も見ることもなく、ニセアブラシメジやアイシメジが顔を出し始めた。異常な気候は、夏グミの不作だけにとどまらずキノコ界にも影響を及ぼしているようだ。キノコフリークの私は、そういう自然をありのままに受け入れるしかなく、与えられた恵みに感謝しつつ昼休みにイソイソとキノコ狩りに出掛ける。

ニセアブラシメジ もうすでに気温が下がり始めた影響で、そこら中にキノコが生えている。私の数少ない知識と経験では、名前がわかるのは100分の1にも満たない。食べられるのか食べられないのか不明のキノコを横目で眺めながら、愛しのラクヨウを探しまわるが、結局、途中で出逢った顔見知りのキノコ達だけを連れて帰ってくる。それでも、キノコ狩りは楽しい。街中で落ちてるお金を探して下を向いて歩くと変な人だが、山の中で地面を見つめて歩いても誰も何とも思わない。お金を拾うよりも価値のあるキノコに巡り会う可能性だってある。これから雪が積もるまでの2ヶ月半は、毎日ワクワクの楽しい日々。本日の収穫、ニセアブラシメジとアイシメジ。

 先日、友人と「今年は、ラクヨウ出ないねぇ。ラクヨウの味噌汁呑んだとき、"はあー"と、思わず声が出るほど幸せな気持ちになるよな」と話していたら、「やっぱり、ウナギ食べたときのように幸せですか?」と聞かれた。うーん、同じ幸せなんだが、これは、ちょっと違うんだよな。ラクヨウの時は、「私は、キノコから生まれたんじゃないかしら」と思えるが、ウナギの時は「ウナギから生まれた」なんて思いたくもないもの。

疑わしきは食せず

 先週は、慶事に続き歯塚供養。忙しくも楽しい日々を過ごし、可愛い孫にメロメロにトロケてしまっていた。「可愛い」という言葉だけでは言い尽くせないほどの愛の対象に感じるのは、竹内久美子の本に書いてあるセルフィッシュ・ジーン(利己的遺伝子)のなせる業なのだろうか。とにかく理屈抜きにメンコイ。どんなことでも云うことを聞いてあげたくなってしまうのは、ジジババが甘すぎるせいかしら。そんな愛すべき孫も東京へ帰り、ジイジとバアバは寂しい日々を送っている。

 彼岸を境に涼しくなりラクヨウキノコが出そうな気配だが、雑事に追われ出掛けられずストレスが溜まるばかり。やっと、この土曜日、札幌へ出掛ける前のほんの少しの時間にキノコを探しに山荘へ出掛けた。暑さは過ぎてしまったというのに、まだラクヨウの姿は確認できない。今年は気候のせいか、キノコ界にも変動が起きているのかもしれない。そんな中での本日の収穫、巨大なタマゴタケとアカモミタケ。どちらも旨いキノコだが、ラクヨウの味噌汁にはかなわない。ひょっとして、今年はラクヨウを口にできずに冬を迎えてしまうのだろうか。ラクヨウの味噌汁を飲んだ瞬間、自分はキノコから生まれてきたんじゃないかしらと勘違いするほどの幸せを感じることができないなんて、そんなの寂し過ぎる。

 先日見つけたゴルフボールのようなキノコの正体が判明。同じカタチの幼菌と、その横で大きく育ったキノコを見つけて「おー、これだ!」。おもわず声が出た。つくづく、あの時食べなくてヨカッタあ。なんと、テングタケ。あのベニテングタケと同じ旨味成分のイボテン酸を持つが、毒はかなり強い。下痢や嘔吐、幻覚にとどまらず、最悪の場合は意識不明に陥るらしい。あの旨そうな香りの誘惑に負けていたら、今頃私はブログを書けるような状態ではなかったと思う。やはり「疑わしきは食せず」がキノコ狩りの鉄則。それにしても「ジス・イズ・ザ・キノコ」という惚れ惚れする姿形には見とれてしまう。

テングタケ テングタケ

デス・エンジェル?

焼き肉ハウス野花南山荘 9月も半ばというのに観測史上、もっとも遅い真夏日だったらしい。炎天下の土曜日昼過ぎ、山荘へ出かけてはみたが、あまりの暑さに草を刈る気にもなれない。そこで、「カフェ野花南山荘」を「焼き肉ハウス野花南山荘」に劇的ビフォーアフター。

 というのも今週末、毎年恒例の「抜歯塚供養」。供養の後は、精進落としにバーベキュー。もちろん野外でのBBQだが、雨天の場合の準備も必要なので屋内会場を設営。貨車の中は狭いとはいえ、久々の大掃除。身体を動かすだけで汗が噴き出す暑さの中、用意した2リットルの冷水ステンボトルはすぐに飲み干してしまった。汗だくでの重労働の結果、なんとか焼き肉ハウスがオープン。奥の座卓を入れると、総勢15人くらいは余裕でOKの状態。

 明けて日曜は雨模様の湿った日、一気に草刈り始動。刈った草と跳ね返った泥で全身ドロドロになり、クタクタで帰宅。結局、土日2日間はキノコを探す暇もなかった。連休の今日月曜日、今年最初のラクヨウをゲットしようと出かけたが全く見当たらず。やはり気温が高すぎるせいか、いつもより遅れているみたい。来週あたりに出始めてくれると、BBQと一緒にラクヨウの味噌汁が味わえるのを期待。

 林の中を散策していると奇妙なキノコを見つけた。まるでゴルフボールそのもの。地表に真っ白な頭を出しているので、掘り起こしてみた。なんとそれは、まるで「無いよりマシな白ナントカ」そっくりのカタチ。臭いを嗅いでみたが、なんとなくマツタケの香りがするようなしないような。

ゴルフボールのようなキノコ ゴルフボールのようなキノコ

 家に持ち帰り、図鑑で調べたがよくわからない。あまりにも幼菌過ぎて、この先どのように成長していくのかが予想できない。スライスしてみたが、これがシロマツタケなのかナガエノスギタケなのか、はたまたドクツルタケなのか全く不明。ただ、香りはマツタケのような気がするので薄くスライスして干してみた。これがドクツルタケであれば、食べるとほとんど死ぬらしい。デス・エンジェル「死の天使」と呼ばれ、猛毒キノコ御三家の一つだそうだ。

 今週末、我が家の慶事で両家の謝辞を述べる手前、もしものことがあるとマズいので、今はただ眺めて鑑賞するだけ。とりあえずは、微かなマツタケの香りを楽しんでいる。

不注意の代償

 先々週頂いた美味なる野花南産ポルチーニ、食後5時間経っても体調に変化なく、もしやと危ぶんでいたドクヤマドリではなかったらしい。美味しいものを頂いて幸せな気分でベッドに入ったのだが、朝の4時頃、お腹が痛くて目が覚めた。トイレに行くとクダっていたが、用を済ますとスッキリと治まった。キノコの毒のせいかしら?と思ったが、どうも症状が違うようで、ただの食べ過ぎだということに思い当たった。というのも、レシピ通りに作ったクリームペンネは2人前。私を信用してない家内は全く口にしないので、一人で2人前を平らげてしまったのがマズかった。もともと硬めに茹でたペンネを、旨い旨いとあまり噛まずに呑み込んでしまったことに原因があるようだ。結局、毒がなくても食べ過ぎは身体に毒ということ。

sony DSC-TX10 翌々日、暑い日差しの中で山荘の草刈り。あまりの暑さに耐えきれず作業を中止して帰ってきた。作業用のツナギは汗でビッショリ。即、洗濯機に放り込まれた。その夜、カメラを探したが見つからず。ひょっとしてツナギのポケット?と家内に聞いてみると「そういえば、洗濯機でゴトゴト音がしてた」と云う。確かめてみると、1時間近く全自動洗濯機で洗われ脱水されたデジカメが出てきた。幸いに私のデジカメは完全防水。水深5メートルの水中撮影もOKというスグレモノ。耐衝撃性も1.5メートルの高さから落としても大丈夫という「イナバの物置」みたいに頑丈なヤツ。とはいえ、洗濯機の中でガツンガツンとアチコチにぶつかっていたようでレンズカバーがめくれてグンニャリひん曲がっている。しかし、機能的には全く問題なく、撮るのも観るのもOK。さすが、サイバーショットTX10。ただ、レンズカバーを取り替えなければ、レンズはカバーされないわけで、やむなく修理に出した。買って1年にも満たないが、原因が原因なだけに保証の対象外。修理代11,760円、実にもったいない。これだけあれば、何回うな重が食べられたことか。誠に悔しい限りだが、不注意の代償にしては高過ぎね?写真は交換済みレンズカバーの部品。

 1週間が過ぎ、暑い日差しもかげり週末にかけて久々の雨に恵まれた。この季節、雨が降るとキノコが顔を出すんじゃないかと心ここにあらずの心境になってしまう。今日も夕方、山荘へ出かけた。秋の夕暮れは早くあたりはすでに薄暗いせいで、なかなかキノコは見つけにくい。特に、ラクヨウを探しに行ったのだが、まだ時期的に早いようだ。そんな中で本日一番の収穫、ハナビラタケ。「幻のキノコ」「免疫キノコの王者」。ヨーロッパでは「カリフラワーマッシュルーム」、特にフランスでは「モリーユ・デ・パン」と呼ばれる。アガリスク以上に癌に効くというキノコ。最近、栽培可能になったそうだが、やはり天然物の価値は高い。いつもは、バターで炒めたり乾燥してから炊き込みご飯にするのだが、今年は冷凍してみた。なんたって、スゴク身体にイイと云うことなので「ファイト・イッパーツ!」というときに喰ってやる。

ハナビラタケ ハナビラタケ

ヤマドリタケモドキ ヤマドリタケモドキ

 カンカン照りの猛暑だった今週月曜日。スライスした「野花南産ポルチーニ」は、午前中だけでカラカラに乾いてしまった。濃厚な旨味を感じさせる独特な香りが漂うが、なんたって人生初のポルチーニ茸。果たして、この香りが本物なのか?味わったとしてもホンマモンの味なのか?どうかがわからない。

 もしドクヤマドリであれば、ほんの少しの量でも5時間ほどで下痢、腹痛、嘔吐、発熱などがおきるという。未だに「ヤマドリタケモドキ」なのか「ドクヤマドリ」なのか確たる自信が持てない。しかし今さら、これがドクヤマドリであったとしても喰わずに死ねるか!と思わせるほど旨そうな香りがする。

ポルチーニのクリームペンネ  今週は過密スケジュール。月火水木と毎晩出掛けなければならないため、万が一ドクヤマドリであった場合、どの日に食べてもヤバイことになる。やっと今夜金曜の夕食に口にすることができた。どう料理するのが一番旨いか。やはりポルチーニはイタリアンということで、クリームペンネで味わうことに。乾燥ポルチーニを水で戻し、バターで炒めてから戻し汁を加えて煮詰める。そこに生クリームを注ぎ、コンソメで味付けてソースが完成。茹でたペンネを入れ、粉チーズと黒胡椒を振りかけソースを絡ませる。見た目は、完全にイタリアン。これなら「ドン・アルフォンソ」に出しても恥ずかしくない?と思えるような出来栄え。あいにく赤ワインを切らしていたので、ビールで頂く。

なんだあ!この深い味わいは!

 これは旨い。魚の干物のような生臭さは完全に消え、コクと旨味成分だけが凝縮された味。なんとも表現できない香りが鼻から抜ける。ポルチーニ初体験なので本物かどうかわからないが、とにかく旨い。もう本物かどうかなんてどうでもよくて、考えることさえ無意味に思えてしまう。

 こんな旨いものを一人占めするのは悪いと思い「旨いぞお、食べてみ」と家内に勧めるが、「まだ、死にたくないから」と絶対に口にしない。やっぱり、私の採ったキノコは信用できないようだ。というか、私自身を信用していないふしがある。夕飯を終えたのが7時半。今、9時半を過ぎたところだが体調に変化なし。あと3時間ほどでドクヤマドリだったのかどうかが判明する。

毒キノコの幻覚作用

 トキメキの季節がやってくる。キノコのことを考えると、居ても立ってもいられないので横になってキノコ図鑑を眺めている。今年初めてのキノコ狩り。というか、どんな具合かしらと山荘へ下見に出かけた。なんと今年最初のゲットが、あの美味なる「タマゴタケ」。傘が開いて大きくなって食べ応えありそう。

タマゴタケ タマゴタケ

 ラクヨウは時期的に早いが、裏が管孔(スポンジ状)になっているイグチ系のキノコを見つけた。ヤマドリタケモドキのように見えるが、ヤマイグチかドクヤマドリということもあるので持ち帰って図鑑で調べることに。図鑑で見比べ、インターネットで調べる。「たぶんこれだろう」という結論に達するが、あくまで「たぶん」の域は出ない。あとは実食で確認することに。まさに命がけのトライアル。久々にワクワクする興奮。

ヤマドリタケモドキ ヤマドリタケモドキ

 もし、これがヤマドリタケモドキであれば、フレンチで云うところの「セップ茸」、イタリアンでは「ポルチーニ茸」、ヨーロッパのマツタケと呼ばれる「キノコの王様」「香りの女王様」。とりあえず、スライスして干してみた。外で天日にあてていたら雨が降ってきたので部屋干しに変えたが、これが臭いのなんの。部屋中、魚の干物のようなスルメのような動物性の強い匂いが充満。当然、家族からはヒンシュクもの。ここまで香りが強いと料理に使うのも躊躇してしまいそうだが、これが旨味成分だとすると、かなり濃厚な出汁が期待できそう。どちらにしても野花南産ポルチーニの乾物を味わうのは、少し先になりそう。

ヤマドリタケモドキ タマゴタケ味噌汁

 タマゴタケは早速、味噌汁にして頂いた。タマゴタケの黄色い色素が落ちて、まるでカボチャの味噌汁のような色になる。滋味溢れる旨味成分が口中から脳天まで広がり「はあー、幸せだなあ!」という気分にさせてくれる。ラクヨウキノコの味噌汁にも匹敵するほど旨い。味がどうのこうのというより、言葉に尽くせぬ安らぎと充足感に満たされる。まるで母なる大地に抱かれているよう。やはり、私はキノコから生まれてきたのかも。

 と思って調べてみたら、タマゴタケの色やカタチは、あの派手な色彩の毒キノコ・ベニテングタケによく似ている。どちらも同じテングタケ属。ベニテングタケに含まれる毒成分のイボテン酸は非常に強い旨味成分(味の素のグルタミン酸ソーダの約16倍)であり、幻覚作用をおこすという。同じ属のタマゴタケにも強い旨味成分と幻覚を起こす物質が入っているのだろうか。そのせいで私は、幸せな気分でいられるのかもしれない。それとも、誤ってベニテングタケを食べて、単に幻覚を見ただけなのだろうか。

エリンギは山のアワビ

 

 戦後一番遅いと云われた初雪で外は冷え冷えだが、我が家のキノコ部屋は温室のようにヌクヌク。今日の収穫はエリンギとシイタケ。輪切りにしたエリンギとシイタケをガーリック・バターで炒め、仕上げにチョコッと醤油を垂らす。焦がしバターが香ばしくエリンギの歯触りは、まるで水で戻した干しアワビ。これは酒が進む。昨夜は、山荘の冷凍キノコがタップリ入ったキノコ汁だったし、毎日毎晩、我が家は、酒池肉林のキノコ大収穫祭の日々

とらぬ狸の

 我が家に来てから4日目のシイタケ菌床。どんどん出てきて成長も早い。ざっと数えると大小あわせて50個くらいはありそう。家内に聞いたところ、スーパーでは5~6個入って150円くらいとのこと。1,050円で買った菌床、もうすでに元が取れてしまった。今出てる分の収穫が終わって少しすると、また同じくらい出るとして、これが5~6回続くと、なんと9,000円分のシイタケが採取できる。1,000円の投資で8,000円の利益とは、近年まれにみる高配当...

 ていうか、そんなにシイタケばかり喰ってたら飽きるべなあ。

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