私たちが暮らしていく上で、知らなくても良いことは沢山ある。別に知ったからといってナニが変わるということもないが、知ることによって世の中の見方が変わることもある。そんな話を一つ。
大雑把にいうと、生物界は「植物・動物・菌類」の3つに分類される。この他、藻やアメーバのような原生生物と細菌を加え5つに分けることもあるが、とりあえずワカリヤスク3つで話を進めよう。概念的に植物・動物は理解しやすいと思うが、菌類とはキノコ・カビ・酵母のようなモノをいう。
「植物」は、光合成によって二酸化炭素を利用してデンプンなどの有機物をつくる。他の生物は、この有機物を利用して生きている。こう考えるとオオモトは二酸化炭素だが、地球上の二酸化炭素の量には限りがあり、もし補給されなければ250~300年で使い尽くされてしまう。
ところが現実には、二酸化炭素の量は減少しない。これは「動物」が、酸素呼吸をして二酸化炭素を放出しているからだと考えがちだが、これだけでは「植物」が利用する二酸化炭素の量を賄うことはできない。そのほとんどは「菌類」が有機物を無機物である二酸化炭素に還元する働きによって得られているのである。
したがって「動物」は、二酸化炭素を出すことよりも、食物を消化吸収し排泄することで、有機物を細かく砕き「菌類」が働きやすい環境をつくることで大きな役割を果たしている。
このように生物界は、植物・動物・菌類の3者によって構成され、地球規模で物質循環を行う生態系がつくられている。この物質循環は、地球上における有限の物質を無限に利用する道を開いたものであり、生物界繁栄の基盤といえる。
なんとも壮大な自然の営みだ。これからは感謝の念を抱いてキノコを食べることにしよう。