美味なる毒キノコ

 ツキヨタケでは?とおそるおそる食したキノコ。いまだに生きているところをみると正真正銘のムキタケであったらしい。味のない椎茸のような歯触りで別にどうってこともなく、命をかけてまで試す価値はなかったと声を大にして言っておこう。

 ところで、世の中には大変美味な毒キノコがあるらしい。「ベニテングタケ」。あのスーパーマリオに出てくる赤いキノコ。野花南でもよく見かけるが、あのキノコの毒成分は「イボテン酸」という非常に強い旨味成分で「味の素のグルタミン酸ソーダ」の約16倍の旨味だそうだ。バターで炒めて醤油を垂らして喰ったら最高に旨いべなあ。少し食べるくらいなら深刻な中毒症状を起こさないというが、毒キノコには違いなく、吐いたり下痢したり幻覚を見るらしい。

 大変美味という話と中毒、うーん!悩むところだ・・・

 雪が積もる前に「滝里ダム下流公園」でメイとララの散歩。というより広大なドッグランを貸し切り状態。

命をかけた試食

 この時期の野花南山荘は、根雪になるまで降った雪が融けてグチャグチャになる。雨具をつけて走り回るメイとララ。

 桜の木の幹に「ムキタケ」を見つけた。表面の皮が簡単に剥けるのが特徴。よく似たキノコに「ツキヨタケ」という毒キノコがあるが、こちらは皮が剥きにくく割ると根元に黒い部分があり区別できるらしい。採って帰り図鑑で調べた。どう見ても「ムキタケ」としか思えない。食べてみればわかることなので、明日の味噌汁の実にする予定。これが万が一「ツキヨタケ」であるなら入院するくらい腹が痛くなり最悪の場合、死に至るとのこと。日本の毒キノコ中毒例の半数以上がツキヨタケによるものと聞くと、なんか自信なくなるなあ。

 

 今日も一生懸命働いたあ!といっても本業ではなく、ん?どっちが本業なんだ。

 畑が終わり冬を迎えるこの季節、山では笹が枯れ雑草も朽ちてしまう。これから私は「林業」で忙しくなる。カラマツやトドマツ林には、笹が生えたり雑木が勢力を広げる。これを刈るのが「下刈り」。また、松の根元の「枝払い」をしなければ、まっすぐ勢いよく成長しない。美しい林の姿で春を迎えるには、雪が積もる前に作業を済ませなきゃ。

 細い雑木は、強靱な刃がついた草払い機で一気に刈っていく。枝払いの必須アイテムは「ナタ」。ナタを腰にぶら下げて歩いていると、立ち木が語りかけてくる「ナタでココを切ってね」。ナタデココ...

 ただ、どちらも太いモノを相手にするにはノコギリの出番となるが、これが重労働。寒い外での作業でも汗だくになってしまう。今、一番欲しいモノはと聞かれたら、即「チェンソー」と答える。ジェイソンのごとく「ウィーン・ウィーン」言わせて切りまくってやる。そうか、今週は「13日の金曜日」だ。買ってくるかなあ。ホームセンターでは、13日の金曜日にはチェンソーが飛ぶように売れるとか?そんな訳ないか。

 現在、左の写真の状態だが、目指すところは右の写真。でもなあ、こういう作業はヤッタだけ報われるから楽しい。

 

 結局、医業・農業・林業、どれが私の本職?あっ、もう一つあったな。ブロガー!ん?しょせんカネにならないのは本業じゃないか。

 そういえば前回書き忘れたが、このキノコ、足で踏んづけるとホワッとケムリが出てくる。「ホコリタケ」という名だが、私は「テッチャンタケ」と呼んでいる。なんでかってか?言えねぇ言えねぇ...

ドクササコ?

 土曜日に一つのイベントを終えた。充実した一日だったが、少々疲れ気味。明けて日曜昼過ぎに家に帰り、気晴らしに野花南を散策。どうしても目線は足下でキノコを探してしまう。落ち葉でフカフカの地面を歩いていると気持ちがイイ。

 

 香りが土臭くボリボリのようなモノを見つけたので、採ってきて図鑑で調べてみた。ナラタケかキシメジかカヤタケの一種かもと期待したのだが、結局わからず捨てることに・・・

 もしこれが、ドクササコであれば大変なことになる。ドクササコは最強の毒キノコ。消化器に中毒症状をおこすことはなく、また食べて直ぐに症状は出ないが、3日から1週間くらいで手足の先や鼻やアソコなど身体の末端部分がヤケドをしたように赤く腫れ、激痛が1ヶ月以上続くという。モルヒネでさえ効かないほどの痛みで治療法はないらしい。そんなモノを食べた日にゃ、死んだ方がマシだと思うに違いない。

 でもなあ、何だったのかわからないのは悔しいが、試してみるだけの勇気はないよなあ・・・

人面キノコ・スケキヨ

 季節のイベントも無事終わり、野花南へ出かけた。すっかり秋も終わりの様相。モミジが落ち始め、赤い絨毯が敷き詰められている。

紅葉の絨毯 紅葉の絨毯

紅葉の絨毯 紅葉の絨毯

 熟した宿り木の種のベタつきを指で体感してみる。

ヤドリギの種

 ムラサキシメジが、そこら中に出ている。藤色の傘が美しい晩秋のキノコ。コイツが落葉の下から顔を出すようになると,キノコ狩りシーズンも終わりに近い。そんな中、人面キノコを見つけた。これもムラサキシメジなのだが、どこから見ても人の顔。上品な味なので味噌汁ではなく、お吸い物にする。早速、今夜頂いた。旨かったなあ。

人面キノコ 

 この季節の夕暮れは早い。4時半だというのに空には月が。夜の長い季節が始まる...

持ちつ持たれつ

 私たちが暮らしていく上で、知らなくても良いことは沢山ある。別に知ったからといってナニが変わるということもないが、知ることによって世の中の見方が変わることもある。そんな話を一つ。

 大雑把にいうと、生物界は「植物・動物・菌類」の3つに分類される。この他、藻やアメーバのような原生生物と細菌を加え5つに分けることもあるが、とりあえずワカリヤスク3つで話を進めよう。概念的に植物・動物は理解しやすいと思うが、菌類とはキノコ・カビ・酵母のようなモノをいう。

 「植物」は、光合成によって二酸化炭素を利用してデンプンなどの有機物をつくる。他の生物は、この有機物を利用して生きている。こう考えるとオオモトは二酸化炭素だが、地球上の二酸化炭素の量には限りがあり、もし補給されなければ250~300年で使い尽くされてしまう。

 ところが現実には、二酸化炭素の量は減少しない。これは「動物」が、酸素呼吸をして二酸化炭素を放出しているからだと考えがちだが、これだけでは「植物」が利用する二酸化炭素の量を賄うことはできない。そのほとんどは「菌類」が有機物を無機物である二酸化炭素に還元する働きによって得られているのである。

 したがって「動物」は、二酸化炭素を出すことよりも、食物を消化吸収し排泄することで、有機物を細かく砕き「菌類」が働きやすい環境をつくることで大きな役割を果たしている。

 このように生物界は、植物・動物・菌類の3者によって構成され、地球規模で物質循環を行う生態系がつくられている。この物質循環は、地球上における有限の物質を無限に利用する道を開いたものであり、生物界繁栄の基盤といえる。

 なんとも壮大な自然の営みだ。これからは感謝の念を抱いてキノコを食べることにしよう。

 Tシャツの首と胴回りにゴムを通し尻尾の部分に穴を開け、安上がりの「ひっつき虫」対策万全のスタイルになったメイとララだが...

ボーダーコリー

ボーダーコリー ボーダーコリー

 山荘に着き、これで安心と目を離していたら、いつの間にか何処で脱いだのか完全なヌード状態で「ひっつき虫」だらけ。その辺を駆け回っているうちに脱げてしまったらしい。

ひっつき虫 ひっつき虫

 この「ひっつき虫」は、キンミズヒキの実。夏には黄色の花を咲かせるバラ科の植物。熨斗袋につける「水引」に似ていることから名付けられたのだが「金色の水引」とは縁起がイイ。花の咲く時期に採り天日に干したものは、口内炎・止血剤・抗菌・消炎・鎮痛に効果のある「龍牙草」や「仙鶴草」の名で漢方薬として用いられる。お風呂に入れると疲労回復の効果があるらしいが、我が家の24時間風呂では無理。

キンミズヒキ キンミズヒキ

 道端には、短い秋を惜しむかのようにアカマンマ(イヌタデ)が咲き乱れている。このアカマンマも赤飯を連想するイイ名前だ。昔、子供達のオママゴトには欠かせない花だった。

アカマンマ

 本格的な紅葉はこれからだが山道には確実に秋の気配が漂っている。そろそろラクヨウシーズンも終わりを迎える。今日もたくさん収穫し味噌汁を頂いた。秋の恵みに感謝!

ラクヨウ

 太平洋側を通り過ぎた台風のせいで雨が続いていた。晴れ間が見えてきた午後から、心は早くも野花南山荘のキノコ狩り。心ココニアラズの心境で素早く診療を済ませ速攻で出掛けた。

 雨上がりは「雨後の竹の子」のごとく、そこらじゅうラクヨウキノコだらけと期待して行ったのだがアトカタもない。私が山に入る前に誰かが根こそぎ採っていったらしい。クヤシーイ!キノコ泥棒だあ!勝手に人の敷地に入りやがって1本残らず採っていったようだ。

 しょうがないので、いつもより深く分け入って探したが、マッタク見つからない。こりゃダメだとアキラメ、暗くなりかけた山道をトボトボと帰り始めたら、笹ヤブの向こうに何か異様な物体が見える。白いような黄色いようなウサギのような固まり。なんだろう?と近づいてみると「ナンダコリャア!」

 最初は、マイタケだと思った。「ヤッター!」とオモワズ踊り出しそうになったが、よくよくみるとマイタケにしては色が明るすぎる。

ハナビラタケ

 暗いのでフラッシュを焚いてみる・・・

ハナビラタケ

 30センチはあろうかという巨大なキノコを採ってきた。食べれるんかなあ、毒キノコかなあと不安と期待をかかえ家に帰りキノコ図鑑で調べてみた。

な・な・な・なんと!

 「幻のキノコ」「次世代のキノコ」「免疫キノコの王者」と言われる「ハナビラタケ」だということがわかった。図鑑によると、葉ボタン状で30cmにもなる巨大なキノコ。ヨーロッパでは「カリフラワーマッシュルーム」、特にフランスでは「モリーユ・デ・パン」と呼ばれ人気があるらしい。

 早速、インターネットで調べてみると、最近、健康食品として人気が高く、栽培モノの加工品でもエライ高価な値段で売られているらしい。健康を維持するβ-グルカンという成分が、アガリクスの3~4倍も含まれ、このキノコ特有のβ1-3Dグルカンの含有量が100g中43.6gと驚異的に多いらしい。ナンノコッチャと思ったら「末期ガンの患者10名にハナビラタケ製品を摂取させたところ、6名のガンが縮小し、そのうち2名のガンは消えた」という記事を読んで驚いた。その上、天然モノは「知る人ぞ知る幻のキノコ」と言われるくらい貴重なモノらしい。

 ウーン、スゴイモノを見つけてしまった・・・

ハナビラタケ

 まずは、喰わねば!ホントに毒じゃないんだろうなあ、似て非なるモノなんてこたぁないだろうなあ。喰っても死なねぇだろうなあ。濃い塩水に浸し、虫出しのあと水洗い。まずは試しにバターで炒めてみる。最初黄白色だったキノコが熱を加えると少し黒ずんできた。見た目は豚ホルモンの煮込みのようだ。

ハナビラタケ

 私が食べて30分後に何ともなかったら、自分も食べるというツレナイ家内の目の前で恐々ひと口。ん?旨い!味はクセが無く歯触りが良く、食感はコリコリ・シャキシャキ。キクラゲとマイタケの中間みたい。野性的なマイタケの香りがする。これは、ぜひキノコご飯にしなければ!ということで、タップリ入れてご飯を炊いた。

ハナビラタケ

 旨かったなあ!こんな幸せは久しぶりだあ。って、つい最近もラクヨウキノコの味噌汁を飲んで幸せだあと言ってたはずだが。食べ終わって3時間は経過したが、特に身体に異常は現れない。毒キノコじゃなかったみたい。正真正銘のハナビラタケ。1.2キロはあったからなあ、天然モノだから買うとしたら1万円は下らないかも。

 明日は、β1-3Dグルカンとかいうモンのおかげで元気に過ごせそうだ。偶然だとはいえ、キノコ泥棒に感謝!

きのこの山

 昨夜からの大雨は、午前中まで降り続き昼には上がった。こんな日はキノコ狩りに最適。この時期の野花南山荘は、キノコの宝庫。特に雨上がりには、そこらじゅうに顔を出す。いつも草を刈る広場や池や畑や抜歯塚の周りでも散策しながら見つけることができる。

落葉きのこ

山荘にはお椀を伏せたような低い山が2つ並んでいる。普段、手入れをするのは手前の山裾だけだが、あまり足を踏み入れない奥の山はカラマツ林なので、落葉キノコの時期だけ中へ入る。そこらじゅうキノコだらけだ。今夜もラクヨウの味噌汁を頂いた。満足満足!

落葉きのこ ラクヨウキノコ

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