野花南ではグミが熟してきた。今のところ熊が下りてこないところをみると山の中でも豊作のようだ。赤く熟した実を摘んでグミ酒にした。
このように果実をお酒に漬けたものは一般的に果実酒と呼ばれるが、酒税法では家庭で「ホワイトリカー」などに漬けたものはリキュールと呼ぶ。酒税法でいう果実酒とはワイン等であり、家庭で造る「いわゆる果実酒」とは違う。酒税法は法律なので、いろいろな決まりがあり違反すると罰金刑・懲役刑となる。ちなみに10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられる。
甲類焼酎には20度・25度・35度がある。通常、家庭で果実酒を造る場合、35度を使う。これは、アルコール度数が高いと果実の成分抽出が早くなることとカビの発生をおさえるため(果実から出た水分でアルコール度数が低くなる)だが、理由はこれだけではない。
家庭で造る場合であっても20度以上の酒類でなければ果実を入れてリキュールを作ってはいけないと酒税法に定められている。低い度数で作った場合、自然にアルコール発酵が進み自宅でお酒を醸造したことになるからだ。20度以上あれば酵母が活動しないためアルコールを自家製造することにはならない。要するに既存の強いお酒に何かを混ぜるのはイイが、自分でアルコール醸造するのはダメということ。
例えば、20度に満たない日本酒などに果実や果汁を漬けたら罰金・懲役が待っている。このため梅酒用の日本酒として20度以上のものが用意されている。ちなみに20度以下のお酒でも果汁を混ぜるとカクテルになるが、これはOK。カクテルは飲む直前に混ぜるので違法にならないが、造り置きした場合は「みなし製造」となり違法となる。
意外と知られてないが、自宅でブドウやヤマブドウを焼酎などに漬けることも禁止されている。他に穀類(米・麦・あわ・とうもろこし・こうりゃん・きび・ひえ・でんぷん又はこれらのこうじ)も同じで、自分で呑むためであっても罰金・懲役の対象となる。
実は私、搾ったままのブドウ果汁を密閉ビンに入れたまま何年も放置してある。昔々、野花南でブドウを栽培していた頃、余ったブドウをもてあまし、ジュースを搾りコルク栓のビンに保存したところ、なんと微発泡のロゼワインになっていたことがある。これに味をシメタ私は同じように2~3本瓶詰めし何年も置いていた。いつだったか特別な日に1本の封を切ったのだが、これが、ただの甘いブドウジュース。コルクじゃなく全く呼吸のできない密閉フタにしたのが原因のようだ。おかげで血糖値が上がった。それでも密造酒醸造で逮捕されるよりましか。