音色の違いを聴きわける

 Wes Montgomery がピックを使わず親指1本で奏でる「Gibson L5」。私の一番好きなジャズ・ギタリスト「ウェス・モンゴメリー」の愛器。あの音色に憧れて、いつの日か手にしてみたいと夢見てる。お気に入りのアルバムは、なんといっても「フルハウス」。何度聴いても血湧き肉躍る興奮のルツボ。レコードに針を落とした瞬間、もうそこはクラブ・ツボ。そこには熱気溢れるライブハウスの聴衆と化した自分が居る。マイレコードコレクション中、10本の指に数えられる名盤。同じウェスでもA&M移籍後の「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のようなイージーリスニングも嫌いではないが、やはりウェスはハードバップが輝いている。

 「フルハウス」では、ギブソンの「L5」を弾いているが、もう1枚の名盤「インクレディブル・ジャズ・ギター」では「ES-175」が使われたらしい。柔らかくサスティーンがあり丸い音色がする。L5とES-175、どちらの音が好みか。というより「インクレディブル」のピアノはトミー・フラナガンで、「フルハウス」のピアノがウィントン・ケリー。ウィントン・フリークの私としては、フルハウスのほうに思い入れが強い。

 時代とともに素材が変わり、同じ型番でも音色が違うので比較は難しいが「L5」と「ES-175」を比較できるビデオを見つけた。左がL5で、右がES-175。どちらの音色が好みですか?曲は、Blue Bossa.

待ちうたは色っぽく

 会議など人の集まる場所で、突然携帯電話の着信音が鳴り響き、一瞬、誰もが自分かしら?と訝ってしまう。まわりから迷惑そうな視線を浴び、気まずい思いをしながら着信音を消すという風景。普通に電子音であれば、それで済む話だが、たまに居るんだよな「ド演歌を着メロにしてる奴」。突然、大音量で三味線の音が鳴り渡り「何だ?何が始まったんだ?」と、驚くこともある。

 どんなジャンルの曲であれ、他人の趣味をとやかくいう気はないが、せめて自分に聞こえる程度の音量で充分。これ見よがしに人に聴かせようと音量レベルをMaxにするのは止めてほしいもの。という私自身もスマホに着メロを設定している。iphoneの場合、iTuneを使うと簡単に着メロを作ることができる。曲のどの部分でも40秒以内にカットすると着メロになる。

Wynton Kelly "Make the Man Love Me"

 ユッタリと美しいこの曲が、私の着メロ。流れるメロディの美しさに、おもわず聞き惚れてしまい電話に出たくなくなる。その上、音量を低く設定しているため、少しでも騒がしい環境では着信があったことすらわからない。何のための着メロ?と云われてもしょうがないが、結果的に電話に出ないで済むようになっている。そんな自分勝手な私だが、相手にも気持ちよくなってほしいと「待ちうた」を設定している。

 Beegie Adair の "Fly Me To The Moon" と"Sweet Memories"、Chris Botti の "First Noel" の3曲がランダムで呼び出し音になる。本当は、"I'm A Fool To Want You" か "When I Fall In Love" あたりを、ぜひ聴いてほしいのだが、残念ながら「待ちうた」は自分で作ることができない。

 以前の携帯では、Lee Morgan の "I Remember Clifford" が流れていた。電話をかけてきた人に「クラブに居るみたい」と云われたことがある。まさに夜の雰囲気を醸し出していたようだ。気持ちよくなりたい暇な人は、私の携帯にかけてみ...

紅い花 - ちあき なおみ

 長年連れ添ってきたマイジャガーのエアサスペンションが壊れ、車高短(シャコタン)になってしまった。これ幸いにグラサンにツナギでブイブイ乗り回そうと思ったが、ほんのちょっとの路面の起伏でも底を擦って自走できないほど。整備工場へ運んだところ、部品交換で直るらしいが、他も傷んでいて4本全部のエアサス交換が必要かもと云う。聞くと、軽自動車が買えるほどの値段なので、この際引き取ってもらうことにした。

 死ぬまでに一度でイイからジャガーに乗りたい! 夢が叶った8年前、諸経費含めて千ん百万もの大枚をはたいたのだが、買い取り業者の提示金額、なんと20万円。高価買い取りというCMの割には、シミッタレた金額だが、壊れてるんだからシャーナイとアキラメて手放した。

 そんなわけで、今まで「走る犬小屋」だった日産テラノが、現在の私のアシになっている。今週すでに3回も札幌往復と大活躍。今や私の「走る応接間」にまで格上げされた。しかし、如何せん「走るオーディオルーム・ジャガー」の静寂さとは比較にならないくらいウルサイ。なんたってディーゼルエンジン。ブリブリバリバリ、音がスゴイ。そこで、街中ではやらないが、高速道路ではヘッドフォンで音楽を楽しんでいる。

 私のiphone musicフォルダには数百曲。ほとんどJazzとcountry。そんな中、2曲だけ歌謡曲が入っている。そのうちの1曲が「ちあきなおみ」の「紅い花」。これほどヘッドフォンが似合う曲はないと思う。

コーンブレッド

 今年もあと1日。家の中は正月を迎える準備で忙しい。後片付け大掃除も終わり、あとはご馳走づくりだけなので、もう私の出る幕はない。玄米漬けでも出そうかなとベランダの樽を覗くと大雪に覆われ、そこにたどり着くまでが大変そうなのでパス。

 何かしてないと落ち着かず、昼食にコーンブレッドを焼く。コーンミールで焼いたパンは、ほのかにトウモロコシの香りがして、まさにアメリカの味。ひと口噛むと「大草原の小さな家」が脳裏をかすめる。トム・ハンクスの映画「グリーンマイル」では、服役中のジョン・コーフィがコーンブレッドのカケラをネズミのMr.ジングルスにもおすそ分けするシーンが。

 

 コーンブレッドで食欲が満たされたら、どうしても Lee Morgan の「Cornbread」が聴きたくなり、それから午後は Jazz三昧。Lee Morgan のジャズロックにはまるとヤメられない止まらないで「Sidewinder」や「Candy」「Rumproller」にノリノリ♪

    

 結局、このカテゴリーから抜け出せず、Lee Morgan の「Sweet Honey Bee」に行き着く。この曲といえば、なんといっても元祖デューク・ピアソン。メインテーマを吹くジェームス・スポールディングのフルートが印象的。それにしても何という色気のない手抜きな感じのジャケットなんだろう。

 ここまで、ズーッとファンキーなジャズロックを聴き続けてくると、この歳でもヒップホップが素直に受け入れられるようになるから不思議だ。ていうかオリジナルよりいいじゃん♪

枯葉 - Miles Davis

Somethin' Else / Cannonball Adderley (1958)

 Cannonball Adderley (as)
 Miles Davis (tp)
 Art Blakey (ds)
 Sam Jones (b)
 Hank Jones (p)

 レーベル契約の関係でアダレイのリーダー名義になっているが、実際のリーダーはマイルス。1958年の録音だから、マイルスの「マイルストーンズ」「ポーギーとベス」「カインド・オブ・ブルー」あたりの録音にアダレイが参加していた時期。

 モダンジャズ史上に残る名盤の1枚。このアルバムのA面3曲目「Somethin' Else」は、最近まで私の携帯の着メロになっていたが、やはり針を落として最初にかかるアーマッド・ジャマールのイントロをパクった「枯葉」が、特に印象深い。このアルバムを聴いて好きになれないのならジャズに縁がなかったものとあきらめた方がイイ。

 もとはシャンソンだが、「枯葉」ほど多くのプレーヤーに演奏された曲は思い浮かばない。ラジオでディスクジョッキーをしていた3年半に流したヴァージョンは数知れない。想い出す限り書き出してみるが、マイ・フェヴァリットは、なんといってもウィントン・ケリー、次にアダレイのこの演奏、そしてカーティス・フラーと続く・・・

 ART PEPPER
 BILL EVANS
 BOKKER ERVIN
 CANNONBALL ADDERLEY
 CHET BAKER
 CHICK COREA
 CURTIS FULLER
 DENNIS MALCELLINO
 EUGEN CICERO
 FRANK MORGAN
 HOLLY TAYLOR & ERIC PETER
 KENNY DORHAM
 MANHATTAN JAZZ ORCHESTRA
 MANHATTAN JAZZ QUINTET
 MANHATTAN PROJECTS
 MCCOY TYNER
 MILES DAVIS
 MILES DAVIS & SONNY STITT
 NATALIE COLE
 OSCAR PETERSON & DIZZY GILLESPIE
 PATTI PAGE
 PIM JACOBS
 SALENA JONES
 SARAH VAUGHAN
 SCOTT HAMILTON
 STANLEY JORDAN
 SUPERBLUE 2
 SUPER JAZZ TRIO
 WYNTON KELLY
 WYNTON MARSALIS
 日野 皓正
 笠井 紀美子

 ジャズだけでなくポップスとしても多くのプレーヤーに演奏されている。クラプトンもなかなか渋い・・・

ARIETIS - Freddie Hubbard

"READY FOR FREDDIE" / FREDDIE HUBBARD
 FREDDIE HUBBARD (TP)
 WAYNE SHORTER (TS)
 BERNARD McKINNEY (EUPH)
 McCOY TYNER (P)
 ART DAVIS (B)
 ELVIN JONES (DS)

 今年は雪が遅かったせいか、ある日突然、冬が来たように感じる。毎年寒くなる時期には、Piano Jazzが恋しくなり徐々にハード・バップへとノメリ込んでゆくのだが、今年は一気に熱いJazzに浸っている。我が家のマッキンとアルテックも快調に飛ばしている。

 「Arietis」、フレディ・ハバードのBlue Note4作目 "Ready For Freddie" のA面1曲目。この3ヶ月前にコルトレーンの "OLE" に参加、そこで競演したバックミュージシャン全員を引き連れ、ウェイン・ショーターとの初コラボ。1961の録音だから、ちょうどジャズメッセンジャーズに参加しはじめた頃。

 フレディ・ハバードは、ブルーノート、アトランティック、CTIなどに多くの作品を残している。60年代のハード・バップ、70年からのCTIレーベル、その後のハービー・ハンコックとのV.S.O.P結成と移り変わるが、やはり輝いているのは60年代だと思う。

The Look Of Love - Diana Krall

 イアン・フレミングの小説「007シリーズ」最初の作品は、カジノ・ロワイヤル。過去に2度映画化されているが、1967年版はドタバタ喜劇のため、映画としての「007シリーズ」には含まれていない。当然、ショーン・コネリーもロジャー・ムーアも出てないが、オーソン・ウェルズ、デボラ・カー、ピーター・セラーズなど名優が並ぶ。なんといっても、バート・バカラックの音楽がイイ。なかでも珠玉の名曲は、"The Look of Love"(愛の面影)。ダスティ・スプリングフィールドが歌ってアカデミー賞にノミネート。翌年にはセルジオ・メンデスの歌がヒットした。

 この曲のマイ・ベストは、なんといっても "ダイアナ・クラール"。

 2006年版カジノ・ロワイヤルは、映画「007シリーズ」21番目の作品。ボンド役にはダニエル・クレイグ。主題曲にクリス・コーネルが起用され、"You Know My Name"を歌った。映画は面白かったが、この曲は、あまり流行らなかったなあ。

Sea Side Woman Blues

 昨日、ラジオで前川清が唄うこの曲を聴いた。サザンの曲をカバーする前川清に違和感がなかったのは、この曲の演歌っぽい雰囲気のせいかもしれない。

 演歌に限らず、日本語の唄の歌詞には惚れ惚れするモノがある。「わがままはオトコの罪、それを許さないのはオンナの罪♪」なんてのを聴くと「そうだ、そうだ!」と声援を送りたくなってくるし、「後ろから前からどうぞ♪」なんてのを聴くと「そうかい、それじゃお言葉に甘えて」と、一歩前へ出たくなってしまうモノまである。

 そして、この曲にもアルアル。2番の歌詞のアタマ。

 ♪ "愛"という字は真心(まごころ)で
 ♪ "恋"という字にゃ下心(したごころ)

 たしかに「愛」という字を分解すると、相手の「心」を「受」け入れると書き、「恋」という字は「亦(また)」の下に「心」と書く。恋というのは、相手を欲しいと求め合う気持ちなのだから下心なくして語れないが、文字でいうこの「亦」は「股」ではなく「亦とない」という使われ方をするので「亦とない心=二つとない心」という美しくも正しい純粋な下心になるようだ。(そんなモノぁ見たことがない)

 マタも含めて相手のスベテを欲しいと願う下心。なんたって、純粋であろうがなかろうが、下心は「トキメキ」エネルギーのミナモト。いつまでも持ち続けていたいと思っている。で、今は、何にトキメイているかといえば、やっぱりキノコかなあ。

 キノコの魅力に取り憑かれてしまった私は、暇さえあればキノコ図鑑を眺めて暮らしている。

恋は愚かというけれど

I'm A Fool To Want You

 秋になると無性に聴きたくなる1曲。インストではトランペットがよく似合うが、やはりピカイチは "Donald Byrd"。ヴォーカルの本家本元はシナトラだけど、"Billie Holiday" にはかなわない。

 タイトルを直訳すると「私は君を欲しがる愚か者」。まったく味気なく聴いてみようという気にもならない。誰が訳したかワカラナイが「恋は愚かというけれど」という邦題。なんて色気のある訳だろう。

 実は、携帯の「待ちうた」にこの曲を使おうと探してみたが見つからず、結局、今は "Lee Morgan" の "I remember Clifford"になっている。早くして亡くなったクリフォード・ブラウンを偲んでベニー・ゴルソンが作曲した "namara" 美しい曲。なるべく電話に出ず、いつまでも聴いていて欲しいと思うのだが、待ちうたにウットリしたあげく私の声が聞こえてガッカリさせると困るので、即行で着信ボタンを押している。どんな曲か聴いてみたければ、私の携帯に電話してみ。

Donald Byrd

Billie Holiday

Art Farmer

Lee Morgan

Frank Sinatra

スウィングガールズ

 今日もまた観てしまった。「スウィングガールズ」。もうこれで何度目だろう。この映画を観ると必ず、鼻の奥がツンとして目頭が熱くなる。別に悲しい映画ではないのだが、女子高生達が吹き替えなしでビッグバンドジャズ演奏するシーンにグッとくる。役者とはいえ、ここまで旨く演奏できるようになるということに感動するのだろう。

 デクスター・ゴードン主演の「ラウンド・ミッドナイト」、チャーリー・パーカーの「バード」、バド・パウエルをモデルにした「ラウンド・ミッドナイト」、子供の頃に学校の引率で観た「グレン・ミラー物語」などなどJazz関連の映画はずいぶん観てきたが「スウィングガールズ」ほど楽しい映画はない。

 子供の頃から好きだった映画「愛情物語」。この映画で「ショパンのノクターン」を知った。音楽も素晴らしいのだが、ラストシーンでは必ず泣く。映画と音楽は絶対に切り離せない要素だが、特に「海の上のピアニスト」のエンディングテーマ「ロスト・ボーイズ・コーリング」は、何度聴いても感動する。エンリオ・モリコーネの作曲だが、ピンクフロイドのロジャー・ウォータースが歌い、ヴァン・ヘイレンのエディがギターを弾く。世の中にこんな美しい曲があるのかしらと思えてしまう。これ絶対オススメ!

海の上のピアニスト


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