道歯では月に一度、理事会があり、その日だけ夕食が用意される。毎回弁当だが、その時によって「幕の内」であったり「助六寿司」であったり手をかえ品をかえ、事務局が苦労しているのだろう。いつも美味しく頂いている。

 昨日の理事会、開会前いつものように食事が用意されている部屋へ行き、食べようとすると、初めて見る包装の弁当。「何が入ってるのかな」とふたを開けたところ、ナント「うな重」ではないか。マイ・ファースト・インプレッション。「エー、誰か私のブログを読んで、気を使ってくれたのかな」。なんたって、先日「鰻が大好き」と書いたばかり。

 嬉しくなって齧りついたのだが、これが冷えていて鰻もご飯も硬いのなんの。ま、鰻には違いないので味はともあれ何度も噛みしめ全部頂いた。途中、「そういえば事務局に電子レンジあったよな」と想い出した時には、もう残りわずか。冷えたそのままを平らげた。今まで経験したことのないマイ・ファースト・ワーストテイスト。

 F森副会長に「食べるならチンしたほうがイイよ」と忠告。あとで聞いたら「温めないほうがよかった。油がスゴクて」とのこと。それもそのはず、私がブログに書いたとおり蒸さずに焼いた蒲焼。きっと、他の理事者にも評判が悪かったんだろうな。別室で I 理事に囁かれた。「先生がブログに書いたから鰻だったんじゃないの?」

 でも、理事会弁当のわずかな予算内で「蒸さずに焼くうな重」をメニューに選び、業者に無理を言って(業者さんの努力の後がうかがえる。半身にした鰻をまた半分に開いて拡げ、見た目に蒲焼の形を再現していたのだから。表現がわかりにくいかもしれないが3枚におろした身をまた2枚におろし、結局6枚おろしの鰻。あの技術はたいしたもんだ)注文してくれた事務局の方々の暖かい配慮に心が温められました。ただでさえ、ウナギを食べると精神的に落ちつき優しくなれる私にとって、味はともあれ人の優しさが心にしみる「最高のお弁当」でした。気を使って指示してくれたナガエさん、ありがとう。

 P.S. ついでに言っておきますが、じつは私、饅頭コワイ・すき焼きコワイ・ステーキコワイ・焼肉コワイ・特上生寿司コワイ...

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キンキ 子供の頃から、我が家で一番のご馳走といえば「釣りキンキを蒸したもの」だった。大きな皿に1匹丸まんまを乗せ、蒸し器で蒸しただけのもの。これが一人に1匹づつあたるのだから、なんとも贅沢な気分にさせてくれる料理だ。なんたって「釣りキンキ」。今、買うと大きなもので1匹5千円は下らないだろうが、昔でも安くはなかったろう。だからこそ「今夜は蒸しキンキ!」とオフクロが言うと「おーっ!」と歓声が上がったものだ。

 この「蒸しキンキ」にソースをかけて食べるのが、我が家の慣わし。大人はウスターソース、子供はトンカツソース。これが「なんとも言えんくらい旨い!」

 我が家自慢のご馳走ということで、あるところでこの話をした。ところがなんと皆、引いてしまい、「えーっ!」という反応。「なんで、蒸しキンキにソースなのよ」、「キンキを蒸したら醤油だろうが」とか「ポン酢だよ」と馬鹿にされる始末。そこで、「馬鹿言え、あんな旨いもんないぞ。なんていうか、まるで卵の黄身のように濃厚でマッタリちゅうか、サッパリちゅうか、何とも言えん味がするんだ」と反論したが、悔しいことに「じゃあ、卵食べればイイっしょ」と言われてしまった。

 ずうっと子供の頃から、我が家のご馳走だと何の迷いもなく信じていた私にとって、これほど大きなショックはなかった。それ以来、もうこの話は人前ですることもなく何年か経ったある日、「卵を食べれば...」と、ほざいたニックキ男が、私に1枚の新聞の切抜きをくれた。「あれ、あのときのキンキの話、新聞に載ってたよ」

 そこには、「網走地方ではキンキをお湯で煮て「湯煮」という。ウスターソースをかけて食べるのが漁師風」と載ってるではないか。

 えーっ、我が家のご馳走は「一般人が口にできない漁師料理だったのだ」と鼻高々。 汚名返上。名誉挽回。最高裁で逆転勝訴。無罪放免。っていうくらいの嬉しさ。嬉しいことがあると、誰かに話したくなる私。当時、FMラジオのDJだったこともあり、公共の電波を使って番組の中で披露してしまった。その反響は、仲間との酒の席での話とは比べようもならないくらいのブーイング。「アンタの舌はヘンだ」「気持ち悪い」「お前の食生活に疑問を感じる」などなど。

 その後、ある場所でこのイキサツが話題になり、「まっ、いろんな人いるよ。私の知り合いで焼き茄子にソースをかけて食べる人もいるくらいだもの。焼き茄子には生姜醤油だよね」という私に、「そうなの?俺は、焼き茄子にはコショーだけど...」という人に出会った。

 人それぞれなんだなあ。

素焼きの焙烙で煎茶を焙じる 我が家では、素焼きの焙烙(ほうろく)で煎茶を焙じて飲んでいる。炒りたてのほうじ茶の香りは、やはり格別。焙煎にかかる時間は、ほんの数分なので、毎回飲む直前に焙じている。そのときの気分によって、浅く煎ったり深く煎ったり。そのとき、部屋中に昔のお茶屋さんの前を通りかかった時のような香ばしい匂いが漂い、いっときの幸せを感じる。

 匂いといえば、犯罪ともいえる匂いがある。街を歩いていると風向きによっては遠くからでも強烈な匂いが漂い、その匂いを嗅ぐと私は、ついフラフラと引き寄せられてしまうか、その時の腹具合というか懐具合によっては、逃げるように離れることにしている。あれは反則というか、凶器というか、まるで犯罪だ。ケムに巻かれるという言葉は、まさにあのこと。

 鰻屋さんは、どうして意図的に強力な換気扇を使ってまで蒲焼の匂いを外に振りまくのか。店の周辺は、蒲焼の匂いで公害状態。あれこそ職権乱用以外の何物でもない。匂いだけでは、生唾ゴクゴク頭がクラクラ状態になってしまう。「鰻を焼く匂いだけで飯が一杯喰える」と言う人がいるが、匂いだけでは、これ以上ないっていうくらい欲求不満に陥ってしまう。

鰻重 じつは私、毎日でも「うな重」「うな丼」が食べたい。世の中にこんな旨いものがあるかしら。と思えるくらい大好き。そのうえ、どういう訳か、鰻を食べると、その日一日、精神的に落ち着く。ユッタリとした気分になり、とても優しい気持ちになるから不思議だ。きっとウナギに含まれるナニかの成分が、そうさせるのかもしれない。嘘か誠か試してみたい人は、ぜひ、私に「うな重の松」をご馳走してみてくれませんか。

 生まれて初めて鰻を食べたのは大学生になってから。子供の頃、我が家では大人の食べるものであって、子供の口には入らないものと決まっていた。初めて食べたのは小さな蒲焼が一切れだけ乗った500円の「うな丼」。40年も前のことだが、あの当時でさえ格安だったこと、汚れた雰囲気の店だったことは忘れない。

 ただ、味を覚えたのが名古屋という土地柄のせいか、蒸さずに焼く関西風に慣れてしまい、道内では名店と名高い店でも、どうにも皮も身も柔らかく感じてしまう。しかし、私の中の日本人としてのDNAが、あの濃厚なタレの味を求め、焦げたタレの匂いに誘惑され続けている。

 あー、まさにあの匂いは犯罪だあ。

 先週末、秋田へ行った折、ホテルの売店で「秋田名物きりたんぽ鍋セット」を土産に送り、本日届き早速、家内と二人で大宴会。旨かったあ。もうお腹いっぱい、お酒もきいてイイ心持ちですぅ。

きりちんぽ 秋田といえば「きりたんぽ」。ところが少し前に「秋田名物きりちんぽ」なるものがデビュー。いわゆる「まりもっこり」の二番煎じのようなもの。マスコット商品下部に小さく付いている突起が「きりちんぽ」部分で「エロかわいい」とのこと?

 製造元では携帯ストラップ用のグッズとして販売する予定だったが、あまりのネーミングに電話やメールで非難ごうごう。そのため販売中止になったそうです。

 まっ、当然といえば当然という気もしないではないが具体的には何がマズかったのかな?「ちんぽ」がいけなかったのか、それとも「きりちんぽ」の「ちんぽ」のカタチがいけなかったのか。いや、きっと痛そうな名前がマズかったんじゃないの。そりゃあ痛いよ、切られたら。

 最近、缶詰って食べなくなりました。きっと冷凍技術が発達したこと、それにもまして冷蔵庫が普及したことが原因なんでしょうか。やはり、生活が豊かになったせいなんでしょう。子供の頃、風邪で寝込んだときしか食べることができなかった「みかんの缶詰」「桃の缶詰」は、今、想い出してもごちそうでした。「さんまの蒲焼」「鮭タケ」「牛肉の大和煮」大好物でした。今でもスーパーに並んでいるところを見ると、結構売れているんですかね。なつかしいなと思っては見ても、それじゃ買って食べてみようという気にならないのは、どうしてなんでしょう。たぶん、あの頃ほどおいしく感じないだろうなと思えてしまう。贅沢になったのかもしれません。

 それでも「オイルサーディン」だけは常備している。これだけは欠かしたことがない。今は、缶きりのいらないプルトップですが、少し持ち上げオイルを流してフタをあけ、そのままコンロにかけ、ジュージューと脂が出るまで焼く。醤油をチョイと垂らして出来上がり。これがたまらなく合うんです。ビールに、ウィスキーに、日本酒に最高のつまみ!このつまみのために酒を呑むっていう感じ。ところが、同じオイル漬けでも「シーチキン」ではダメ。あのモサモサした感じを飲み下すために、しょうがなく酒を呑んでるみたいで。

 「オイルサーディン」と「アサヒプレミアム熟選」、これさえあれば云うことなしの晩餐なのです。

 最近、ようやくカクテルの名前と実物が一致するようになってきた。というのも推理小説を読んでいるとカクテルの登場する場面が多く、傍らにカクテル事典という本を置いて、あぁこんなお酒なんだと写真を見ながら味を想像している。

 30年程前タイトルは忘れたが、あるアメリカ映画の中で、そりゃぁもうイイオンナが風呂上りにバスローブをまとい、もちろん金髪だぜ。くどいようだけど、そりゃぁもうイイオンナなんだ。そのイイオンナがトールグラスでピンク色の飲みものをクゥーッと飲むシーン。とってもオイシソウなんだな。しばらくしてそれが「カンパリソーダ」とわかり、早速、酒屋さんでカンパリとソーダを買ってきた。

 まず、おいしく飲むには映画のように風呂上がりでなければならないが、バスローブなんてハイカラなもんがない。しょうがなく腰にバスタオルを巻いて、憧れのカンパリソーダをブレンド。BGMにダイナ・ワシントンの「What a difference day made」。うーんイイ雰囲気だあ。期待に胸膨らませて、ひと口。

 ん?なんだ?マズイ!

 カンパリとソーダの割合を変えて何回もつくりなおしてみたが、私の口には合わなかった。だまされやすいんですよ。特にイイオンナがからんでいるときには。

正しい水割りの作り方

 お酒、あまりツヨクありません。好きですが、たくさんは飲めません。味が変わると、なんでもおいしく感じるので、いろいろ少しづつ嗜みます。ビールは、よく飲みます。最近はアサヒプレミアム熟選。つぎに日本酒。最近のはおいしすぎて困ります。ついつい飲みすぎます。他にラムやブランデー、たまにウィスキーも。でも普段は水で割りません。水で割るのは、お付き合いのときだけ。今まで水割り飲んでオイシイと思ったことがない。せっかく飲むなら「よりオイシク」がモットー。

 ときには、オイシイ水割りに当たることも稀にはありますが、きっと体調がイイのか悪いのか、はたまた傍らのオネエサンがイイのか。ただ、ウィスキーと水の割合でかなり味が変わります。

それでは、本題に入りましょう。

正しい水割りのつくり方

ウィスキーの量をX、水の量をYとします。水割りの定義ですが、水割りとは「ウィスキーを水で割ったもの」、または「ウィスキーに水を加えたもの」、または「ウィスキーに水をかけたもの」。このいずれも正解です。

そこで式にあらわすと
「ウィスキーを水で割ったもの」すなわちX÷Y
「ウィスキーに水を加えたもの」すなわちX+Y
「ウィスキーに水をかけたもの」すなわちX×Y
この三つはすべて同じものなので

X÷Y=X+Y=X×Yという方程式が成り立ちます。この方程式に |X|>0 かつ |Y|>0 という条件を与えて、解いてみてください。どうせ、そんなの面倒だと言われるでしょうから、答えを出しておきましょう。

a) X=0.5 , Y=1 となり、X : Y=1 : 2 の比で表されます。

 もうお分かりでしょう。正しい水割りとは、ウィスキー1に対して水が2。これが数学的に証明された正真正銘の正統派の水割りなのです。しかし必ず居るんです。難癖、えっ、いや疑問をぶつける奴が。

「水割りには氷が入っているじゃないか、氷はどうしたんだ?」と。お答えしましょう。氷をZとします。そうすると、先ほどの方程式はX÷Y+Z=X+Y+Z=X×Y+Zとなります。各項共通のZは、消去できますから、結局もとのX÷Y=X+Y=X×Yとなり答えは同じです。しょせん氷は解けてなくなる運命なのです。

 やっぱり、こんなこと考えながら水割り飲んでもオイシクないなと、オイシクない水割りを飲みながら今これを書いてます。

江戸の名物とんかつ茶漬

とんかつ茶漬け ミスマッチ極まりない、このメニュー。4~5年程前から東京在住の友人から「東京にはウッメェーモンがあンだぜ。何っ処にもネェーナァー、あんなウッメェーモン。今度来たら、ぜしオゴッチャウヨ!なんたって俺っち、江戸っ子ヨ!」と言われ続けてきた。

 それが、このとんかつ茶漬け。「すずやホームページ」

 この江戸っ子、じつは愛知県出身。そして、奴のクチグルマに乗せられた新潟県出身の江戸っ子と二人共謀して逢うたびに私を連れて行こうと責めるのである。きっと誰もが同じ反応を示すと思うが、初めて聞いたとき「えーっ!そんなの気持ち悪いよぉ。カツの上にお茶かけるんだろ」と、私の第一印象もゲェーッ!

 そうこうしてるうちに、敵も攻め方をかえてきて「頼むでェ!一度でエエんや。だまされたと思って、なっ、お願いだから喰べてみてちょー!」と、江戸っ子らしからぬ言いまわしで泣きおどしに打ってでる始末。泣いてお願いされると断われないタイプなもんで(特にうら若き美女の場合は、なおさら)、行きました2年前、歌舞伎町の「すずや」。

 ちょうど昼時ということもあって、店内へあがる階段には長蛇の列。待つことしばし。メニューには普通のカツ・味噌カツ・串カツいろいろあるが、周りを見ると満員のお客サン、ミンナがとんかつ茶漬け。テーブルの上や壁には「とんかつ茶漬け」の由来から喰べ方までイラストで描かれたウンチク・マニュアルが。

 ついに来ました、待望の(誰も待ってないってば)とんかつ茶漬けとご対面!

 このフィーリング・カップル5対5のようなドキドキ感はいったいナンナンダ!

 ご飯、炒めキャベツ、味噌汁、漬物はお替わり自由だという店員サンの説明に、なぜか嬉しくなってしまった。もうここまで来ると、期待に胸膨らませて。なんたって初体験なんだから。(とかく初体験というものは、ナンだって嬉しいに決まってる)。ウンチク通り、最初は普通にいただく。「んっ!旨いやん」。衣に醤油ダシがしみたカツ。かといってベタベタ感はなくサクッとした歯ざわり。炒めキャベツにも味がついていてシャキシャキっと、うんっ、旨いやん。

 「なッ、なッ、旨いやろ?」と、二人の江戸っ子。

 そして、ついに、ついに残り少なくなったご飯の上にカツとキャベツを乗せ、お茶をかけていただく。

 「ん?・・・・・・・・」

 「渋みのツヨイお茶と、噛みしめると醤油ダシがジュワーッとにじみ出てくるサクサク衣と、しゃきしゃきキャベツの歯ざわりが絶妙の・・・」なんてことを、料理研究家なら云うんだろうが、そんなアリキタリのセリフでは表現できない。イヤ、できないどころか決してしてはいけない。そんな事を口にしたら、「とんかつ茶漬け様」に失礼だ。

 ということで、一発でハマってしまいましたねェ。以来、渋谷の「すずや」も含めて、東京へ行くと必ず通っています。

 どうです?ぜし一度、騙されたと思って喰べてみては?ウッメェーぞー。なんたって俺っち、道産子ヨ!

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