暑い暑いと云っていた今年の夏だが、一気に秋が来て、もうすでに山荘では雪虫が飛ぶ季節。水彩絵の具を薄めるような季節の移り変わりというボカシ効果もなくストンと秋になり、いきなり冬を迎えるという慌ただしさを感じている。62才になると、時間は時速62キロという早いスピードで流れる。歳を重ねる度に時間の流れが速くなり、季節の微妙な変化を感じる間もなく歩き続けているのかもしれない。
久々に晴れ渡り、気持ちの良い青空が広がる。ベランダに干した大根も雨よけのブルーシートを外し、おもいきり陽に当てる。このまま干し上がると、来週には漬けられそうな気配。今年も旨い玄米漬けが食べられる。毎年繰り返される秋の慣わしだが、こうして今年も続けられることに感謝。
感謝と云えば、毎年、長野から送られてくるカリン。今年も信州の香りを乗せて我が家へやってきた。1年に1度味わう贅沢な秋の香り。玄関を開けるとウットリする芳香が私を迎えてくれる。香りを言葉で表現するのは難しいが、優しく甘く爽やかな桃のようなマンゴーのような。この季節にだけ届く花梨は、天高く澄み渡る秋の空のイメージと重なり、清々しい気持ちにさせてくれる自然のアロマテラピー。これから2~3ヶ月は、この贅沢な香りが我が家の家族を幸せにしてくれる。今夜から、枕元に置いて甘い香りの夢を見ようと思う。
落葉松林でも冬が近いのを肌で感じるのか、焦るがごとくシメジ類が所狭しと群生している。アイシメジが終わりシモフリシメジの出番。これを採り始めるとカゴがイッパイで持ちきれなくなるので、次に持ち越し。今日の成果は、アイシメジとアカモミタケ、ラクヨウとムラサキシメジ、ジナメコ。今夜は早速、炊き込みご飯とキノコの味噌汁を頂いた。 香りで幸せを感じ、味で幸せを噛みしめる。北国の短い秋を満喫している。