ウケ狙いの土産物

 たまたま立ち寄った砂川サービスエリアに隣接するハイウェイオアシス。休日とあって大混雑の中、土産物売り場をブラブラ。こんなにも道産土産があったのかと驚くほど品数が揃っている。メジャーなものから、道産子の私でさえ初めて見るものもある。ただ、絶対に買わないだろうなと思うのが写真の商品。

ヒグマに鼻くそ うしのう○こ

エゾシカのおとしもの スープカレーチョコ

焼きサンマチョコ 「ヒグマの鼻くそ」や「うしのう○こ」に「エゾシカのおとしもの」なんてネーミングを考える奴も考える奴だが、それらしいイメージの商品を作る奴も、いったいどんな神経をしているのだろう。今の世の中、面白ければ売れるということなのだろうか。品もなんもあったモンじゃない。奇をてらった商品で、絶対に食べたくないのが「スープカレーチョコ」。カレー味のチョコレートって、いったい何なんだ?まったくイメージが湧かない。どう考えても旨いと思えないし、食わず嫌いだと罵られても一生喰わなくてイイ。

 え?なんでお菓子売り場にこんな物があるの?と、ビックリしたのが「焼きサンマ」。どうみてもサンマでしょ!というパッケージだが、中身はチョコレートらしい。まさか、サンマの味がするのかしら。まったく味が想像できない。恐い物見たさのウケ狙いの商品のようだが、どんな人が買ってゆくのだろう。

 ネーミングで印象づけて購買意欲を高めようというのが戦略だとしたら、実は私もワナにはまってしまった。先日、秋田空港の土産店で「若がえりまんじゅう」というのを見つけ、名前に惹かれて買ってきた。皮に葛を練り込んであるらしくモチモチの食感で、それなりに旨かったが別にあれ以来、若返ったようには思えない。

ヤマ桑の葉 健康は金で買わずに自分で手に入れろと、格好つけて摘んできたビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な山桑の葉。蒸して刻んでお日様に干したら、お茶の葉に見えなくもないが香りはやっぱり葉っぱの臭い。

 早速、急須で淹れてみた。おお!なんとキレイな緑色なんだろう。これぞ山の緑そのものという感じがする。ひと口含んでみる、ん?青海苔の味?え?海苔?海苔ってことは海?海ってことは生臭い?ん?

 飲めなくはないが少し癖があり、あまり旨いものではない。というか、ハッキリ言うと不味い。いくら身体のためとはいえ、毎日飲み続ける気にはなれない。こんな不味いものを毎日、文句も言わずに食べさせられているお蚕さんはエライんだなぁ!と尊敬してしまう。

 とはいえ、「血糖値を下げ、血圧を下げ、抗酸化作用や便秘解消」に効果があるデオキシノジリマイシンという成分は高血糖気味の私にとっては必須栄養素。なんとか美味しく頂こうと焙じてみた。部屋中に香ばしい香りが立ち込め、これはなかなか期待できそうな感じ。熱々の焙じたてを耐熱ガラスのポットに入れ、熱湯を注ぐと瞬く間に文字通りの茶色に抽出。

 どうせなら、飲み比べてみようと焙じたものと焙じないものを並べてみた。

ヤマ桑の葉を焙煎 自分で作るヤマ桑の葉茶

 似非バリスタの私に語らせてもらえれば、一言で言うと「桑の葉グリーン茶は沼の味、桑の葉ほうじ茶は池の味」。私の味覚に自信はないが、どちらも海藻っぽく泥臭ささを感じる。どっちが旨いかと聞かれると、どちらも不味い。「健康は金で買わずに自分で手に入れる」と豪語したが、もう少し旨いのがあるのなら、金を出して買ってもいいような気がしてきた。

夏グミ 夏グミ

夏グミ 夏グミ

グミのコンフィチュール いつ摘むの?今でしょ!というくらい、枝もたわわに実をつける夏グミ。肥料も与えず、手入れもしないのに大豊作。まったく手を加えないのだから文字通り自然農法。いや農法ですらない、ただの野生のグミ。無農薬であるのは間違いなく、そのまま摘んで食べられる。この甘酸っぱさは、コンフィチュールにピッタリ。摘んできた実を水洗いして、虫食いは捨て選別。沸騰した湯に入れ、浮いてきたものからすくってザルに入れる。ザルの下に鍋を置き、木べらで潰して果肉を漉す。こうするとザルの中に種と絞りかすが残り、鍋にはトロトロのグミの果肉が溜まる。砂糖を加え弱火で煮詰めレモンの汁を入れる。熱いうちにガラス瓶に移し蓋をして完成。冷えると、少し柔らかめのジャムになる。一年に一度、この時期にだけ味わえる絶品のコンフィチュール。甘さと酸味のバランスが絶妙で、この味はグミ以外では出せないと思う。

ヤマグワの実 もう一つ、ジャムにはヤマ桑の実。実が小さいので収穫が大変なこともあり、今年は葉を活用することに。摘んできた葉を水で洗って蒸し器で蒸す。このあと細かく刻んで乾燥させて揉んでお茶にする。いわゆる「桑の葉茶」。桑の葉にはビタミン・ミネラル・食物繊維など栄養素がたっぷりで、特にカルシウムは牛乳の約24倍、鉄分は納豆の約15倍だというが、お蚕さんじゃあるまいし葉っぱをムシャムシャ食べるわけにもいかない。しかし、漢方では滋養強壮・血行促進に用いられ、桑の葉にしか発見されていない「デオキシノジリマイシン」という成分が「血糖値を下げ、血圧を下げ、抗酸化作用や便秘解消」に効果があるという。また、血糖値が抑えられるので低インシュリン状態が続きダイエットにもなるらしい。そういえば、肥満のお蚕さん?や糖尿病のお蚕さん?には逢ったことがない。そんなに貴重な価値ある葉っぱなら、ただ枯らしてしまうのはもったいないので煎じて飲むことにした。「健康は金で買わずに自分で手に入れる」をモットーに今日も山荘内を散策する。

桑の葉 桑の葉

マタタビ

マタタビの花

 緑が深くなるこの時期、葉が部分的に真っ白になり遠くからでもよく目立つ植物がある。「マタタビ」です。花の咲く時期になると枝先の葉が白くなることから、葉影に隠れる花に虫を誘うための戦略と云われている。たしかに葉の影に咲く白い花は、小さく目立たない。白い化粧をまとったマタタビの葉は、まるで粉を吹いているように見えるが触っても白い粉はつかない。表面が光を反射し白く見せているらしい。

マタタビ 植物は少しでも多く子孫を残すため、いろいろな工夫を身につけてきた。受粉のため、いかに虫をおびき寄せるかというのは大きなテーマの一つ。目立つように大きな花を咲かせたり、小さな花を沢山咲かせて大きな花に見せ掛けたり、花の色をアピールしたりと、それぞれの戦略は個性的。いわゆる「虫がつく」という言葉で異性間の結びつきを表現するが、結局は植物も動物もひいては人間も如何にセックスアピールするかで子孫繁栄を競うのは同じ次元の話。貴方が異性の目を引くために化粧をしたりファッションで華麗に変身しようとする行為が、まさにマタタビの白い葉っぱ。ちなみに私の髪が白くなったのは、華麗な変身ではなく加齢による変化。

 今は、目立たず隠れて咲く小さな白い花だが秋には実をつける。「猫にマタタビ」の言葉通り、果実はネコの大好物で酔っ払い状態になることで知られている。マタタビ酸という物質を含むため、猫類のライオンやトラでさえ匂いを嗅ぐだけで恍惚状態になるという。なんとも羨ましいかぎり、よほど気持ちがイイんだろうなあ。私の知る限りでは、匂いを嗅ぐだけで恍惚感に浸れる物質に巡り会ったことがない。これが世に言うイケナイクスリや葉っぱなのだろうか。「人間ヤメマスカ?」の世界の話なら、猫たちもマタタビをヤリ過ぎると猫じゃなくなってしまう可能性がある。それってヤバイじゃん。

 マタタビの実は完熟すると甘くなるが、大抵は甘くなる前に収穫され塩漬けやマタタビ酒に利用される。疲れた時に甘い実を食べると「また旅ができる」というのが語源らしく、またアイヌ語のマタタムビ(マタ=冬、タムビ=亀の甲)が変化したという説もある。マタタビ酒は、滋養強壮、痛風、リュウマチ、冷え性、腰痛に効くというが、どうせ呑むならキウイ酒の方が旨いと思う。キウイとマタタビは同じ種に属する仲間。

マタタビの葉 マタタビの葉

 マタタビの実は秋だが、こちらは夏に収穫する木の実。昨年不作だった夏グミが色づき始めた。なんといっても甘酸っぱいコンフィチュールは、この時期にしか味わうことのできない絶品のご馳走。以前、グミ味のグミを作ったが、今ひとつ商品化に踏み切るほどのデキには至っていない。というか、グミという菓子自体食べたいとも思わない。もうひとつ、これから収穫時期を迎える夏の味はポリフェノールの宝庫、マルベリーと呼ばれるヤマ桑の実。黒く完熟すると触るだけで落ちてくる。甘酸っぱくて旨いが口の中が紫色になり、食べてすぐ歯医者へ行くとビックリされること間違いなし。あの有名な童謡にも歌われている。♪夕やけ小焼けの赤とんぼ、負われて見たのは、いつの日か。山の畑の桑の実を小籠に摘んだは、まぼろしか。

夏グミ 山桑の実


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