鹿、喰うべからず

 ほとんど毎週末、笹を刈って過ごしているが刈る作業は楽しい。一心不乱に草刈り機を振り回していると世間の煩わしさや迷いごとから解放され無心になれる。ただ、刈ることよりも大変なのが寄せて集めて捨てること。こんな大きな袋に詰め込んで力まかせに引っ張っていき1カ所に捨てる。これがなかなか重労働。引っ張りながら、ときどき思う「オレはバンバの馬か?」。はじめは一輪車でこまめに運んでいたが、それよりこちらの方が大量に運べるので効率的。いわゆるアレだ。エントロピーの法則という奴。結局、要するエネルギーは一緒。回数が少ない分、いっぺんに疲れがたまる。今日もアチコチ身体が痛い。

 満開になった姫リンゴの花が散り始め、樹の下にある蕗の葉は雪が積もったように見える。

 姫リンゴの花が終わると、エゾノコリンゴの蕾が開き始める。この実は小さく堅くて食べられない。野花南には相当な数の本数があり、これから白い花が盛りの季節。まるでリンゴ園に居るような感覚になる。

 グミの花も満開。秋には甘酸っぱい実をつける。グミの樹も沢山あり、秋には大量の実が採れる。グミの実は熊も大好物。季節になると熊が出没し、樹を揺する姿が目撃され猟友会が出動したこともある。

 樹が古くなったせいか、今年は恵山ツツジの花付きが悪い。大幅に剪定しなければならない。先を考えて余分なものを切り捨てる。スクラップアンドビルト。どんなことにも大切なようだ・・・

 鹿に踏み荒らされたジャガイモ畑だが、芽が出始めた。喰うなよ!鹿。大事な自給自足の糧なんだから

 桜桃(サクランボ)の苗を定植。大石早生・高砂・水門・佐藤錦の4種類。丈夫に育ってほしいところだが、鹿の被害が心配だ。来年、花が咲いたらミツバチの出番。タノミますよ。ハッチにマーヤ・・・

大石早生 高砂

水門 佐藤錦

鹿、入るべからず

 野花南山荘では、姫リンゴの花が満開。蕾はピンクだが真っ白な花が咲く。秋には小粒の実が大量になる。いちおう野趣あふれるリンゴの味と表現してみるが、酸っぱくて渋く旨くない。ジャムや果実酒にするとイイのだろうがやってみたことはない。花言葉は誘惑。「ユーワク」。エエ響きやなあ。誰かイイオンナに誘惑されてみたい・・・

 小雨の中、2番池と3番池の周りを笹刈りした。ここにサクランボを植える予定で苗木を用意してある。どうせ鹿に芽を摘まれるのはわかっているが、何本かのうち1本でも大きく育って実をつけてほしいもの。

 雨なので、いつものツナギの作業服ではなく完全防水の上下を着た。笹を刈りながら後ろ向きに進んでいたら、左足から池に落ちてしまった。完全防水のつもりが長靴の中までグッショグショ。落ちた瞬間「アブナイ!」と思い、草刈り機のスイッチを止めたのはイイが、とっさに頭をよぎったのは「早く上がらないとワニがくる」。こんな所にワニなんか居るはずもないのに、パニックに陥ると人間は何を考えるのかわからんもんだ。池から這い上がって可笑しくなり一人苦笑い。

 

 長靴の中まで水浸しで作業続行不能となり、帰り始めたところで不思議なキノコを発見。カメラに納めた。胸ポケットに入れていたカメラは水には浸からず不幸中の幸い。家に帰り「キノコ図鑑」で調べたが特定できず、たぶんクロサルノコシカケらしい。図鑑によると煎じても苦いだけで効果はないとのこと。それにしても不気味な様相・・・

 帰り際、ジャガイモ畑をのぞくと何やら動物の足跡が。近づいて確認すると畑に鹿が入ったらしい。いくつか種芋を掘ってみると無事のようだが・・・。やはり「鹿、入るべからず」の看板を立てときゃよかったなあ。でもウチの鹿は字が読めないしなあ・・・

 先日、上京の折、本屋に立ち寄り奥田英朗の「港町食堂」という本を買った。最近、ドキドキハラハラする警察小説にはまっている私としては珍しいジャンルの旅物である。東京から仙台へ行くのに新幹線を使えばイイと思うのだが、東京から名古屋へ行きフェリーで仙台まで向かうという、いかにも贅沢というか暇人の旅行である。これを読んでいて昔の船旅の記憶がよみがえってきた。

 現役で大学受験のとき、青函連絡船で内地へ。それまで修学旅行で連絡線に乗ったことはあるが、当然2等の座敷席。しかし、受験生であるからと甘やかされた私は「特等寝台」で津軽海峡を渡った。4時間あまりグッスリ眠り快適な旅を過ごし疲れることなく受験会場へ向かったが、みごとに散った。

 1浪で受験のときは、甘やかされることなく2等船室。2浪での受験にいたっては「受かるまで帰ってくるな」と内地へ島送り状態のまま。大学生になってから、たびたび連絡船の世話になった。名古屋から東京まで新幹線、上野から青森まで東北本線、今は無き青函連絡船に揺られ、函館から札幌、芦別へと長かったなあ。懐かしい旅の想いでだ。

 大学の夏休み、クルマを持っている神戸の同級生と一緒に北海道へ帰ることになった。名古屋港から仙台経由で苫小牧へ。これが逆ルートなら、吉田拓郎の「落陽」そのまんま。

 友人いわく「夏の北海道行きフェリーは、エエぞお。キャピキャピ女子大生でイッパイヤデ!エライ楽しいでぇ。エヘエヘエヘッ」。二人して、恋が生まれるかしらと鼻の下を伸ばしてフェリー乗り場へ向かった。あの日は雨だったなあ。

 小雨に煙る名古屋港のフェリー乗り場、入り口には大きな看板が立っていた。「歓迎!全国民謡の旅ご一行様」。ま、そんなものを見ても事の重大さには気づかず、乗船手続きを済ませた。ところが乗船するとキャピキャピどころか若者は私たち二人だけ。まわりはジイチャンバアチャンで混雑している。

 「エライ話が違うやんか」「ホンマヤなあ・・・」。座敷席に陣取るも「ちょっとニイチャン、スマンけどその棚から毛布とって来てもらえんかの」と声をかけられる始末。なにが女子大生イッパイや、なんもエエこと無く21時間も船に揺られて上陸した。

 別の機会に、やはり同じ友人が北海道へ来た。帰りは小樽から敦賀・舞鶴航路フェリー。私も同乗し名古屋へ帰った。出航は夜8時。夕闇落ちる埠頭には大勢の見送りの人。デッキから紙テープを投げ、下にいる人と結んでいる。フェリーのデッキは意外と高く、見送りの人たちは遥か遠く小さく見える。そこで私たちも売店で紙テープを買ってきて、見知らぬ女の娘二人に向かってテープを投げた。なんと受け取ってくれた初対面の女の娘達と手を振り合い、別れを惜しみつつロマンチックな波止場の別れを経験した。

 実は、そのとき私は小さな仕掛けをした。ショートホープの外箱を外し、そこに住所と名前を書いてテープに通し彼女の手元に落としたのだ。しばらくして名古屋のアパートに1通の手紙が・・・

 こんなオイシイ話は友人にはナイショ。ということで、2~3度手紙をやりとりし「次の冬休みに逢およ」と約束した。「あの髪の長い方の娘だったらいいな」なんてことを想いながら帰省した私は、札幌の喫茶店で待ち合わせた。お互い初対面なので何かを目印にしたのだと思う。その憧れの彼女が店に入って来て目の前に座った途端、私は急に用事を想いだしてしまった。というか用事を作ってしまった。「ゴメン、これから行かなきゃいけない所があるんだ・・・」

 夜目遠目に美しく感じた面影も明るい光で間近に見ると、かなり想像とはかけ離れていて、やはり夕闇落ちる波止場でデッキから眺める女の娘は、遠くから眺めるに限る。と気づいた。きっと相手も私を想像とは違うと感じたことだろう。早々に別れてムナシイ気持ちを味わったことが想い出される。

 この話をかの友人に打ち明けたところ「抜け駆けするからや」と、以来、私は腹黒い人間と評されている。

 教訓その1:夜目遠目に眺める港の女は、想い出だけにとどめること

この木なんの木

 山にいると名前のわからない木や草花がたくさんある。どこかで勉強しておけば良かったなあと後悔することしばし。図鑑と見比べるが写真から判別できるのは、ごく一部。特にキノコは危ない。図鑑に食べられると書いてあっても実際に本物なのか自信が持てない。感覚的に旨そうに見えるが、とても冒険する気にはなれない。だから、秋になると落葉キノコ(イグチ)しか採らない。これだけは子供の頃から採り続けているので間違うことはない。

 新芽の時にネコヤナギだと思っていた木が、花が咲くとコブシだと気づくなんてことはザラで、我ながらイイ加減な知識だと呆れてしまう。山荘には何冊かの図鑑が置いてあり、ときどき調べてみるが未だに「この木なんの木?」状態だ。

熊の糞

 今日も草刈り。最近ではカラ松の枝払いも始めた。

 最近、私の留守に熊が遊びに来てるらしい。たっぷりと熊の糞。留守の時ならいつ来てもイイよ。居るときには来ないでね・・・

 芝桜の魅力は密集するところにあるが、山荘ではマバラだ。早い時期に草と一緒に刈ってしまったらしい。

春を彩るムスカリの花

 笹を刈ってから20日あまり、いろいろなものが芽生えてきた。まず目につくのが笹の子。刈っても刈っても出てくる笹の生命力はスゴイ。

 この時点では、スズランかアマドコロか判断がつかない。

 いつもなら群生する芝桜だが、草刈りの時に一緒に刈ってしまったようで今年はマバラだ。

 ムスカリは、今が盛り。花はブドウの房を逆さにしたように見えるのでブドウヒアシンスとも呼ばれる。花言葉:寛大なる愛・明るい未来・通じ合う心、失望・失意。

選ばれし不幸者

 久しぶりの書き込みです。実は、突然ダイアルアップができなくなりしばらくネットにつながらない状態。原因がパソコン本体なのかモデムなのかルーターなのか突き止めるためイロイロ試した結果、どうやら「モデム」に原因ありと判断し、新しいモデムを送ってもらおうとNTTに問い合わせたところ、配線工事の業者が確認に来るとのこと。

 やはり餅は餅屋。いろんな機器を駆使して調べた結果、我が家に非はなく、なんと電話局内のADSL端子の不良と判明。例えば1000軒のADSL利用者がいると、それぞれに対応する1000個の端子が電話局にあるそうで、私の番号の端子だけが故障していたとのこと。そこで電話局内の端子を取り替え無事問題解決。このような故障は年に1回あるかないかだという。そんな高倍率の事故に選ばれし不幸な私でありました。

満開の桜・野花南山荘

 連休が終わりました。出掛けたのは1日だけ。あとは山仕事に明け暮れ、陽に焼け体力はつきましたが身体があちこち痛ーい。野花南は桜の季節。満開のもあればこれから咲くのも。

 

 草刈りと平行して耕耘機で畑を耕し、ジャガイモを植えました。今年は「インカのめざめ」と「メークイン」。秋が楽しみです。でも鹿に食べられないようにしなければ。

 昨日、山荘からの帰り道、農道でカーブを曲がると突然、目の前に鹿。危うくぶつかる寸前で急ブレーキ。国道ではキタキツネが横断中。山には食べ物が少なくなっているのかなあ。

案山子 - さだ まさし

 こぶしの花が咲きました。千昌夫の「北国の春」でも春を告げる花として唄われています。

 都会で暮らす男が実家から届いた小包を受け取り、早春の故郷や家族、かつての恋心を想い望郷の念を抱く唄。

 白樺 青空 南風
 こぶし咲くあの丘 北国の ああ 北国の春
 季節が都会ではわからないだろうと
 届いたおふくろの小さな包み
 あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

 雪どけ せせらぎ 丸木橋
 落葉松の芽がふく 北国の ああ 北国の春
 好きだとおたがいに言いだせないまま
 別れてもう五年あの娘はどうしてる
 あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

 山吹 朝霧 水車小屋
 わらべ唄聞こえる 北国の ああ 北国の春
 兄貴も親父似で無口なふたりが
 たまには酒でも飲んでるだろか
 あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

 もう一方、故郷にいる兄が都会で暮らす弟を気遣い、雪の中に取り残された案山子になぞらえメッセージを送る唄。さだまさしの「案山子(かかし)」。これは結構ジーンときます。息子達が内地で学生生活を送っているあいだ、こんな心境でした。よくカラオケで唄ったなあ。

 元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか
 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る

 城跡から見下ろせば 蒼く細い河
 橋のたもとに 造り酒屋のレンガ煙突
 この街を綿菓子に 染め抜いた雪が
 消えればお前が ここから出て 初めての春

 手紙が無理なら 電話でもいい 金頼むの 一言でもいい
 お前の笑顔を 待ちわびる お袋に聴かせてやってくれ

 元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか
 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る

 山の麓煙はいて 列車が走る
 木枯しが雑木林を 転げ落ちてくる
 銀色の毛布つけた 田圃にぽつり
 置き去られて 雪をかぶった 案山子がひとり

 お前も都会の 雪景色の中で ちょうどあの案山子の様に
 寂しい思い してはいないか 体をこわしてはいないか

 手紙が無理なら 電話でもいい 金頼むの 一言でもいい
お前の笑顔を 待ちわびる お袋に聴かせてやってくれ

 元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか
 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る
 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る

山は山菜の宝庫

 山仕事に疲れ、山菜採り。行者ニンニクに似たものが沢山生えているが、全くニオイがしない。旨そうだが何なのかわからないので採らずにあきらめた。アマドコロ?スズラン?

 コゴミを見つけたが、どうやらオニコゴミ。これは喰えないよなあ。

 しょうがないので蕗なら、そこら中にあるので採って帰り「油炒め」にして頂いた。春の香り。帰り際に空を見上げると、陽が沈む前だというのにお月様が・・・

橋の架け替え

 連日の山仕事では身体がもたないので昨日は休み。という訳で1日おいて今日は山仕事。野花南山荘にはいくつもの橋が架かっている。古くなると朽ちて渡れなくなる。そこで橋の架け替え。単純に板をおいただけに見えるが、ちゃんと支えにはブロックで固定してある。

 メイとララの渡り初め。ま。コイツらが渡ったくらいで落ちるようじゃどうにもならないが・・・

 別の橋は補強で済ませる。

 ちなみにグニャッとひん曲がっているハシゴのようなものは、雪の重みで変形したツル薔薇の棚。下のように変形してないものと比べると哀れな姿。

 桜は3分咲き

 モクレンは5分咲き

 先日、旭山動物園が開園した。今年の目玉は「エゾシカ館」だとか。最近、鹿が増えすぎて困っている。わざわざ動物園に行ってまでチヤホヤしなくてもいいのになあ。今週月曜、写真で紹介したチューリップ。見るも無惨に鹿に喰いちぎられてしまった。今年はチューリップの花を観ることができなくなってしまった。ま、山荘内で飼っているのだから、しょうがない。

 5日前のチューリップ

 荒らされたチューリップ畑

 

 

 ネコヤナギの花穂に似た部分が割れ、中からピンクの花が顔を出す。更紗木蓮(サラサモクレン)です。木蓮の花は紫、白木蓮の花は白、その雑種が更紗木蓮です。まだ蕾がふくらみはじめたばかりですが、満開になるとピンクの花盛り、上品な芳香を放ちます。木蓮は地球上で最古の花木といわれ、1億年以上も前からすでに今のような姿だったそうです。花言葉は「自然への愛・持続性」

 街中では、満開の水仙も山では、やっと咲きはじめました。

趣味は草刈り

 今日午後から4.5連休。ナニして過ごしましょうか。とりあえず野花南山荘で草刈り。今日はハカいったなあ(ハカイクは北海道弁「はかどる」の意)。キレイになると気持ちいい。ここんとこ趣味は?と聞かれたら、草刈りと答えよう。昔、趣味はと聞かれたら選挙と答えてた時もあったなあ。

 


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