薪にするには、比重の大きな木がいい。同じ大きさでもズッシリ重いナラやクヌギのような広葉樹は、火持ちがよく長い時間燃えてくれる。スギやヒノキのような針葉樹は着火性はよいが、あまり火持ちがよくない。山荘にも広葉樹は生えているが、割合からすると圧倒的に針葉樹が多い。それも、ほとんどがカラマツやトドマツ。他にアカマツやエゾマツなどもあるが、山荘内で一番多い風倒木はトドマツ。したがって、玉切りにして薪にするのは、ほとんどがトドマツ。ヤニが豊富で乾燥させると火力は強いが、比較的早く燃え尽きてしまう。同じマツでもトドマツよりカラマツのほうが比重が大きく火持ちがいいので、たまにカラマツも伐採し玉切りにして運び出す。
比較的細いのを伐ってきたが、年輪を数えると60本以上もある。樹齢60年を超える大樹、私が生まれて間もなく植林されたもの。薪にするには勿体無いと思うが、灯油を消費するよりエコになるかなと自分を納得させている。これ以上太いのも沢山あるが、さすがに薪割りが大変なので出来るだけ細いのを選んでいる。
薪を運んでくると、いろんな虫が一緒にやってくる。最近、山でもよく見るが名も知らぬ虫。蜂らしいが体長6cmくらいでデカイ、結構不気味。ネットで調べると「ヒラアシキバチ」らしい。
キバチやハバチの仲間は腰がくびれていないので、他の蜂とは区別できるとのこと。お尻にあるのは産卵管で、人を刺すことはなく木や茎に差し込んで産卵する。とりあえずは刺されることはなさそうなので一安心。
幼虫が木をエサにするのが木蜂、葉をエサにするのが葉蜂。キバチは産卵管を使って木の内部に産卵し、孵化した幼虫は木の内部をエサにして育つ。キバチ科には針葉樹をエサにする「キバチ亜科」と広葉樹をエサにする「ヒラアシキバチ亜科」に分類されるとのことだが、松林から連れてきたコイツはどうみても針葉樹で育っているような気がする。よくよく見るとヒラアシキバチとは異なり、複眼と複眼の間が黒くなっているので「トドマツノキバチ」であることが判明。
エノキで育つ「ヒラアシキバチ」、トドマツやカラマツで育つ「トドマツノキバチ」。似て非なるもの、昆虫の世界は奥が深い。