最近、ミサワホームのテレビCMに「Together again」という曲が流れている。大好きなカントリー・ナンバーなので、思わず画面に引きつけられてしまう。よく似ているが、オリジナルのエミルー・ハリスではないようだ。エミルーにしては、声の透明感と高音部の伸びが足りないように思う。調べると、Sayulee(サユリー)という日本人の唄らしい。いずれにしても、カントリーの曲が世に知らしめられるのは大歓迎。
ただ、このCMには違和感を感じる。幸せそうな家族の一家団欒の映像に名曲「Together again」は合わないと思う。もともとこの曲は、昔の恋人と再会して再び一緒に暮らし始めるという内容。「♪また、あなたと一緒になれたわ。もう涙は流さない。長く寂しい夜が、やっと終わったのよ。私の心のカギは、あなたの手の中」というもの。それとも、このCMは離ればなれになっていた「家族の再会」がコンセプトなのだろうか。
「再会」と云えば、すぐに浮かぶのは「♪逢ーえーなーくなって、初ーめてー知ったー」の松尾和子。監獄に入ったオトコとの再会を指折り数えて待ちわびる女心を唄ったもの。内容は切ないが、それでもいつかは再会を果たせるのだからハッピーエンドの物語。悲しいのは、竹内まりやの「駅」。二年ぶりに黄昏の駅で見かけた元カレ。声をかけることも出来ず、隣の車輌に乗って気づかぬ彼を見つめる。ラッシュの人波にのまれ消えゆく後ろ姿に哀愁を感じながら見送ってしまう。まるで、映画のワンシーンのような「再会」が目に浮かぶ。
世の中には、いろんな再会がある。シャンソン歌手金子由香利の「再会」は、とても積極的で魅力的。ニコレッタの「Je n'pourrai jamais t'oublier」という曲を矢田部道一の訳詞で唄っている。街で偶然再会した妻同伴の元カレに声をかけるという積極さ。どんなオトコでも一つや二つくらい脛に傷があると思うが、こんな出逢いってどうよ?別れた女は、久しぶりに逢うとイイ女に見えてくるから不思議なもので、その場で未練たらしく携帯番号をゲットするなんてのはオトコとしての評価が分かれるところ。世に受け入れられる名曲の数々では、未練を断ち切って想い出に生きるのがカッコイイとされている。再会してもリセットやリスタートなど、期待してはいけない。再会は再開にあらず。ん?このダジャレ、最下位だな。
金子由香利 / 再会
ゆったりと歩んでいるような人生にも、激しく恋に身をこがした日々があった。その日々を想い出させる再会だが、二人は再びスマートに別れていく。