初めて自分で買ったカメラが「コンタックス139クォーツ」。仕事で使うことを理由に「リングストロボ付のマクロレンズ」まで用意した。当時、周囲の同業者では「メディカル・ニッコール」が主流。ボディもニコンというパターンが多かったが、私の場合、仕事用というのは口実で本音は「カール・ツァイス Planar T* 50mm F1.4」というレンズが欲しかっただけのこと。このためにコンタックスのボディは必需品。50mmは標準レンズ。当然、広角や望遠も欲しくなるのは人情だが、仕事ではマクロと標準以外必要としないため、高価なレンズを買うのも気が引け結局、標準以外は「カール・ツァイス」でなく「ヤシカ」で揃えた。カメラバッグを持ち歩き、子供たちを撮るのに充分活躍していたが、コンパクトなキャノンIXYのAPS機をポケットに入れて歩くようになってから、しばらくバッグの中に眠っていた。
小振りでシンプルな形の「コンタックス139」は、数ある一眼レフの中でも一番スタイルがイイと思う。欠点は純正の張り皮が脆く、手汗の湿り気程度でもボロボロに剥がれてくること。最近、カメラに詳しい友人がライカのような皮に張り替えてくれたおかげで、まるで新品のように蘇り今は触っているだけで楽しい時間が過ぎてゆく。もう一度フィルムで撮影してみようかなとも思うが、フィルム代・現像代、加えて出来上がるまでの時間などを考えるとデジタルの方が断然便利。人間、楽を覚えると不便な時代に戻りたくないのは性(サガ)。というわけで、両方のイイとこ取りを模索。なんとか、銘玉 Planar T* 50mm F1.4をデジカメに利用できないだろうかと思っていたところ、なんと、オールドレンズをデジカメで使うためのマウントアダプターという便利なものがあるではないか。早速手に入れようと思ったが、肝心のレンズ交換式デジカメがない。カメラの重要な要素として写りもさることながら軽快さにも重きを置く私としては、より小さなモノがイイのだが、昔のレンズとの相性もわからず買って後悔もしたくない。ということで、とりあえず捨てても惜しくない程度の中古品を手に入れた。オリンパスPEN Lite E-PL3は、フィルムの役割を担う撮像センサーの大きさが35mmフィルムの半分。ちょうど昔のオリンパスペンがハーフサイズだったのと同じ感覚なので、焦点距離50mmのレンズは、35mm版に換算すると2倍の100mmになる。これは、写る範囲が狭くなり対象物がより大きく写るということ。同様に広角24mmのレンズは標準48mmになり、望遠70mm-210mmのズームレンズは140mm-420mmの超望遠になる。ここまで超望遠になると、いくらカメラに手ぶれ補正が付いているとしても三脚なしでの撮影は無理。もちろん、オールドレンズはオートフォーカスに対応している訳もなく、ピント合わせはマニュアル。露出も自動でなく結果的に、不便で操作性の悪い状況に自分を追い込んでいることになる。結局は自己満足の世界なのだが、カメラまかせのオート撮影では得られないナニかという幻を求めて、自由な心の中で遊んでいるだけなのかも。