ヤードバーズ、クリーム、ブラインド・フェイスと変遷を重ね、ザ・ドミノスで名盤「レイラ」をレコーディング。実質的ソロ活動開始となる「461 オーシャン・ブールヴァード」で、ボブ・マーリィの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカバー。「ノー・リーズン・トゥ・クライ」「スローハンド」などのアルバムを出し続けたエリック・クラプトン。その時々によって、アルバムのコンセプトや曲想に変化があったが、特に息子を失った悲しみや麻薬から立ち直り、映画「ラッシュ」のサウンドトラックとして発表した「ティアーズ・イン・ヘヴン」や「MTVアンプラグド」のアルバムでの変化は印象的だった。
ブルースが堪能できる「フロム・ザ・クレイドル」、高みに昇った「ピルグリム」、B.B.キングとの「ライディング・ウィズ・ザ・キング」などなど数えあげるとキリがないが、私が一番好きなクラプトンのアルバムと云えば「レプタイル」。
1. Reptile
2. Got You On My Mind
3. Travelin' Light
4. Believe In Life
5. Come Back Baby
6. Broken Down
7. Find Myself
8. I Ain't Gonna Stand For It
9. I Want A Little Girl
10. Second Nature
11. Don't Let Me Be Lonely Tonight
12. Modern Girl
13. Superman Inside
14. Son & Sylvia
キーボードにビリー・プレストン、ドラムにスティーヴ・ガッドを迎えてナマ音サウンド。素朴で柔らかく、クラプトンらしいブルース・フィーリング溢れた出来になっている。なによりも曲順を含めて構成がイカしてる。レコードの時代、アルバムはA面B面を途中で針を上げることなく通して聴くものだったが、CDになってからツマラナイ曲は簡単に飛ばせるようになり聴き方が変わった。特にレコードの片面は、せいぜい20分くらいで一気に聴くにはちょうどいい長さだが、これがCDになると1枚聴くのに60分はかかってしまう。だいたい途中で飽きてしまうのが常だが、この「レプタイル」は私を飽きさせることがない。
穏やかなガットギターの音色で1曲目が始まり、クラプトンの唄心満載のブルース・ナンバーが続く。ときにはブルージーに、ときにはジャージーに心躍らされ、10曲目の「Second Nature」にいたる頃には、心だけじゃなく身体まで大きく揺れはじめ、椅子から立ち上がりその辺を踊りまわる自分がいる。盛り上がりとともに迎えるエンディング「Son & Sylvia」では、高ぶった心をクールダウンさせるようにストリングスとプレストンのハーモニカが美しく、静かに幕を閉じていく。
私は、値段の関係で「輸入盤」しか買わないと決めている。ときには輸入盤と日本盤では、入っている曲の数に違いがある。これは、日本盤にはサービスとしてボーナス・トラックが追加される場合があるからだ。このアルバムの日本盤にも、トラック15に「Losing Hand」という曲が追加収録されている。これを「得した」と捉えるか、せっかくのアルバム構成が台無しで「余計なコトしやがって」と考えるかは、人それぞれ。輸入盤しか持ってない私にはコメントする資格はないが、このアルバムのコンセプトにノックアウトされた身としては、余計なことはしないで欲しいと思う。