今年は、札幌や千歳でも人里にヒグマが出没し、ニュースになることが多かった。冬眠前のヒグマが脂肪を蓄えるのに必要なドングリが凶作のためらしい。彼らにとっては厳しい冬を越せるかどうかの死活問題。エサを求めて山を下りてくるのは止む得ない。また、人間にとって危険だから、農作物に被害を与えるからといって捕獲して殺処分するのはカワイソウだとはいえ止む得ない。もともと山にドングリが大量に実りさえすれば、こういう問題が起きずに済んだはず。
そうであるなら、熊にはドングリを増やす知恵はないのだから、人間が考えてやればイイだけのこと。このドングリ不足「ナラ枯れ」によるものらしい。ナラ枯れとは、ドングリを実らせるコナラ、ミズナラ、シイ、カシ、クリなどが集団で枯れることで、カシノナガキクイムシという虫が原因。この5ミリくらいの小さな虫のメスがナラ菌(ラファエレア菌)というナラにとっての病原菌を運ぶ。木を枯らした翌年、羽化した成虫が枯れたナラから飛び出して付近の健全な木に穿入して枯らす。これを繰り返し順に山の環境を壊してゆく。
この被害は、ここ数年で過去に例を見ないほど拡大している。カシノナガキクイムシは昔から日本にいる昆虫で、ナラ枯れも古くから知られていたが、過去の被害は散発的で、これほど激しい被害を出すことはなかった。この虫が好む樹齢50年以上の大木は、昔は薪や炭として使われていたが、60年代以降、石油中心の生活になると伐採されなくなり、虫の繁殖に適した老木に成長した。また、公園整備が進み太い木が多くなった。地球温暖化の影響で、虫の活動範囲が広がったことなどが激甚被害の発生に関係あるようだ。
この被害により、国立公園や森林公園などの景観が損なわれる。また、ドングリが実らなくなりクマや昆虫の食料が激減するため、人里の農作物を荒らす被害が出る。樹の根まで枯れると傾斜地の土壌の安定や保水力が低下し土砂崩れや土石流をおこす。山間地の収入源であるマイタケなどのキノコの収穫量が減り、原木ナメコや原木シイタケのホダ木も供給できなくなる。
このような事態に対処するのは、国や行政の仕事だが、国土を守るために森林の生態系を保全するという理念を持たない政治家にこそ、一番の問題があるのかもしれない・・・
とはいえ、今の政治家にナニを云っても無駄なので、少しでもドングリが沢山実るように、林の中で日陰に生える小さなミズナラを掘り起こしては陽の当たる場所に移植している。
今は、山荘を囲む電気柵の中で畑を耕し、作物を作っては鹿に喰われ、結果、鹿を飼っていることになっているが、いつか、ドングリが沢山実って北海道中のヒグマが野花南山荘に集まってきて、我が家ではヒグマを飼ってるんだと自慢できる日が来るかもしれない・・・
天気がイイので、山仕事のあとは漬け物用の大根干し。昨年、欲張って二つの樽に漬けたが、食べきる頃には漬かりすぎてしまったので、今年は2斗樽1個で済ませようと、細めの大根36本を用意した。