命の値段

 3人の息子が社会に巣立ち、自分に与えられた使命も半ば終わった。年齢に節目を迎えたので、これからの人生を設計し直そうと生命保険を見なおすことにした。子供達が巣立つ前は、不慮の死後、あとに憂いを残さぬようにと多額の保険をいくつも掛けていたが、この歳になると月々の保険料が倍ほどに跳ね上がり、生活を圧迫するので大幅に減額した。その途端、月々の支払いが嘘のように安くなった。

 生きてるうちに使えるわけでなし、死んでから宝くじに当たったとしても嬉しくも何とも感じないだろうと相当安くしたのだが、新しい保険証券の額面を眺めていたら「自分の命の値段」を見るようで、なんだか情けなくなってきた。

 命の重さは誰もが同じはずなのに、掛け金の額で命の値段に格差が生まれるとしたら、リッチな人の命は高額で貧しい人の命には価値がないことになってしまう。

 命の値段を決める基準は、どこか別のところにあると思いたい。

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