先日、カリンを送って頂いた長野の知人から便りが届いた。自家菜園では、大根と青首ビタミン大根と聖護院大根の収穫時期だそうだ。羨ましいなあ。それだけ種類があったら、沢山の漬け物が漬けられそう。
便りの結びに「もうすぐ初霜の季節。土に感謝して終わり、寂しい季節になります」と書かれていた。土に感謝する心。美しいなあと思う。
畑で作物を育てると収穫の喜びを味わえるのはもちろんだが、楽しみは、それだけではない。土とふれあうと心が和らいでくる。私たち農耕民族のDNAのなせる業なのかしら。本職で農業を営んでいる人には苦労も多いのだろうが、私のようなお気楽農夫にとっては、農作業は楽しい。いわゆる趣味の園芸という範囲だからだろう。
土にふれると心がきれいになると言った人がいる。土と向き合うときは無心でいられるからだろう。そのうえ、土の香りは心をいやしてくれる。湿った土、乾いた土、コケや雑草、石ころなどあらゆるものが雑多に入り混じって合成された「ほわっと匂う土の香り」には、コンクリートやアスファルトじゃ決して味わえない何かがそこにある。まさに自然そのものの香りであり、生命の源である。
何も大げさに考えなくても、プランターひとつでトマトやラディッシュを栽培したり、鉢植えの観葉植物で土とふれあい、毎日変化してゆく様を眺めているだけで優しくなれる気がする。心が疲れたら、雲を眺めるか土にふれてみるといい。きっと、そこにある温かさに気づき、自然のパワーに驚かされるはず。
家にきたとき、高さ10センチもなかったパキラだが、今では、こんなに大きく成長した。まさに土に支えられ、土から命をもらっている。