「牛にコーヒーを飲ませると、コーヒー牛乳が出てくるんだ。イチゴを食べさせると苺ミルクが出てくる。じゃあ、フルーツ牛乳は?」と、幼かったウチのガキ供に謎カケしたら「フルーツを食べさせる」と答える。「アホ、そんなことあるわけないじゃん」と切り返し、家内からヒンシュクを買った。
「夏に一生懸命働き過ぎたので、冬になる前にアリは過労で死んでしまいました。アリが残した食べ物でキリギリスは楽しく冬を過ごしましたとさ」と、アリとキリギリスを結んだら、家内に怒られた。
世の中の厳しさを戒めようという本意もなく、ただのジョークなのだが、やはり子供には言っちゃイカンよなあ。そんな子供達が小さかった時期、私はJCだ歯科医師会だゴルフだと、ほとんど子育てに参加しなかったような気がする。あげくの果てに「ウチのお父さんは、青年会議所に勤めてるんだ」と、息子がヨソで言う始末。当時「家庭の平和と安全」もかえりみず「世界の平和と安全」を声高に謳っていた本末転倒な私である。
なにかしら社会に貢献していると自負していた私が「子供は父親の背中を見て育つもんだ」と声を大にして言うと、「いつも留守なのに、いつ背中を見るのよ。背中を見る時間もないじゃない」と、もっと大きな声で激しく応酬される。そうだよな、一理ある。と思いながらもイソイソと出掛けていた。結果、イイカゲンな性格の私が子育てに参加しなかったせいで、子供達はスクスクと素直に育ってくれた。
世の中には、放任主義という言葉がある。ネグレクトじゃなく過保護にも過干渉にもならず子供の自主性を育てるのが理想だと思うが、教育に素人の私にはナニが本当かわからない。でも、親として一つだけ自慢できることがある。33・31・28才になる3人の息子達には、今だに虫歯が1本もない。特に気を遣ったということはないが、小さい頃からフッ素洗口だけはさせていた。ただそれだけのこと。虫歯予防を叫ぶ歯科医の息子に虫歯ができたらシャレにならない。
ウチの子供に出来たことをヨソの子供達にも広めたい。虫歯のない子を一人でも多く増やしたい。という願いを込めて、8020推進条例成立後は全道的にフッ素洗口が普及するよう努力してゆきたい。