私の住んでる田舎には昔から、名物料理がある。子供のころ「幸楽」という中華料理屋さんがあり、その店のオリジナル「ガタタン」という食べ物があった。夜遅くなり、誰かが「ガタタン食べたいね」と言い出すと大きな鍋を持って「幸楽」さんへ買いに行き、家で熱々にして食べた。我が家では、いわば夜食という感覚だった。
このガタタン、「含多湯」と書いていろいろな細かい具が入ったスープ見たいなモノ。この店のメニューにパイチータン「白鶏湯?」という料理もあったが食べたことはない。店に入るとカウンターと1室だけ小上がりがあり、どこを触っても油でギトギトしていそうな雰囲気だったのを覚えている。だから、ガタタンは店で食べるモノではなく、お持ち帰りで我が家で食べるモノだった。
満州から引き上げてきた店のご主人が中国で食べた家庭料理をアレンジしたらしい。いろんな材料を細かくして、ごった煮にするのは中国の苦力(クーリー)が食べるモノらしいと聞いたことがある。
村井さんというご主人が体調を崩し店を閉めてから(今は故人)、我が家で作るしかなかったが、近年、市内で多くの店がメニューにのせ、今ではこの街の名物料理として復活している。ただ、どの店で食べてもあの頃「幸楽」で食べた味ではなく、我が家では今だに家庭で作っている。
それぞれの店には独自の作り方があるのだろうが、我が家のレシピを紹介すると、とにかく以下の材料を細かく切る(5mmくらい)。生のイカゲソ、豚肉、タケノコ、フキ、チクワ、ナルト、野菜は白菜、キャベツ、シイタケなどのキノコ類。要は何でもいいのだ。ただし、イカゲソだけは必須。これを大きな鍋に入れ、ごま油で炒める。そこへ鶏ガラスープをヒタヒタより少し多めにに入れ煮立てる。なければただの水でもいい(結構、ダシが出ている)。材料に火が通るまでに小麦粉を練って5mmくらいの太さに細長くしたものを包丁で5mmくらいの長さに切って用意しておく。鍋に塩コショウで味付けし、この細かい団子を入れて煮る。団子に火が通ったころに溶き卵をかき混ぜながら入れる。ラーメン丼に移して出来上がり。レンゲで食べる。
トロミがついたスープということで、ほとんどの店では水溶き片栗粉を入れるようだが、団子を作るときに打ち粉をしているので、これだけでも多少トロミはつく。だから、我が家では水溶き片栗粉を入れずに仕上げる。
寒い夜には、温まりますよ。実は昨日の夕食の献立でした。ブログ用に写真を撮るのももどかしく食べきってしまいました。旨かったなあ・・・