欲ふかき私は悪ろき者

よき友、三つあり
一つには、物くるる人
二つには、くすし(医師)
三つには、知恵ある友
(徒然草第百十七段)

 兼好法師が言うように、鎌倉の世から「物をくれる人はイイ人」なんです。

 よくわかりません。定額給付金が話題になっていますが、くれるというのだから貰えばいいのにと思うのだが、世間ではこの制度に批判的な人々の声がマスメディアから流れてくる。そんなに文句を言うなら貰わなきゃいいのに、文句を言っても結局は貰うんじゃないの?と思えてしまう。経済効果があるとかないとか、わかったような口を聞く人もいるけど「貰ったらどこかでいつか必ず使うんだろ」。貯蓄にまわすという人だって、一生貯金しているわけじゃないだろうし、どうせ「消費税が上がる前にあれもこれも買ってしまおう」っていう時には使っちまおうってことになるんじゃないかしら。

 まっ、世間には莫大な資産があって「はした金」なんて必要ないという人もいるだろうけど、ほとんどの人は貰えば嬉しいに決まってると思うんだけどな。でも、徒然草第百十七段の前段には、

友とするにわろき者、七つあり
一つには、高くやん事なき人
二つには、若き人
三つには、病なく身強き人
四つには、酒を好む人
五つには、たけく勇める兵(つわもの)
六つには、虚言する人
七つには、欲ふかき人

 とあるから、欲ふかき私は悪い人なのかも。

安定した暮らし

 はたらけど はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る

 石川啄木の「一握の砂」の中の短歌です。現代でいえば、ワーキングプア。一生懸命働いても低賃金で生活保護以下の生活すらままならない人たちは650万世帯も数えるそうです。聖域なき規制緩和の名の下に格差社会が広がり、経済アナリストたちは色々と意見を云うけれど有効な手段もなく絵に描いた餅ばかり。「痛みに耐える」というのは、富める者はより多くの富を得て、貧しき者はますます貧しくなるという意味なんでしょうか。

 博報堂生活総合研究所は今年、首都圏・阪神圏で生活者意識調査を実施しました。「欲しいものを3つ選ぶ質問」では、1位「お金」、2位「健康」、3位「安定した暮らし」。これからの日本は低成長社会。そうであれば、誰でもが安定した生活を願うのは当たり前のことなのかもしれません。650万世帯の中には、どれだけの歯科医師がいるのでしょうか。

 私の場合、贅沢は言いません。欲しいもの3つは「次期参院選で勝てる候補」「患者」「ブログのネタ」かな。いや、やっぱり「1等賞の宝くじ」「1等賞のロト6」「年賀はがきのお年玉1等賞」だな。

すすきのが億劫になる頃

 昔、あれほど居心地の良かったススキノも今となっては、雑踏をかきわけて歩くことが苦痛に感じるようになりました。非の打ちどころのない完璧な田舎者になってしまったのでしょうか。それとも、どこかに下心を置き忘れてきたせいなのか。

 そうは言っても、短いスカートの若いオネーチャンが傍にすわり「お客さんモテルでしょ」 と言われると「ソーナンカナ? ソーカモシンナイ!」 と、つい鼻の下がノビてしまうあの頃の自分に戻ってしまうのです。やはり、人間そうそう変わらないんだ。


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