夏の間は、葉が生い茂っているので気づきませんが、この季節、木々の葉が落ち始めると落葉樹の枝にまん丸いマリモのような緑のカタマリがついているのを見かけます。宿生木(ヤドリギ)です。ヤドリギは常用樹なので葉を落とした落葉樹にくっついている姿はよく目立ちます。ヤドリギは大きさ5mmくらいの黄色やオレンジ色の実をつけます。これが小鳥にとってたまらなく美味なのです。この実を食べた小鳥はお腹の中に未消化の種をかかえたまま遠くまで運びます。
ここからがヤドリギのエライところなのですが、種のまわりにはネバネバする粘着質のものがついていて鳥の消化管の中でも失われません。未消化のまま排泄された種はあまりにもネバネバしているので排泄された糞は、なかなかお尻から切れ落ちてくれません。そこで鳥は枝にお尻をこすり付けて、ねばつく糞をこすり落とすのです。そのまま枝に貼りついた種は寄生主の枝に根付いて成長します。
子孫を残すためとはいえ、植物であるヤドリギのこのたくましさには感動を覚えます。一生懸命生きているヤドリギの姿を見ていると、自分も頑張らなくてはと思うこの季節です。