屋外アンテナの設置により、画期的に受信状態が改善された我が家のFMラジオだが、最初の調整時に聴いた音が最高にクリアで分厚い音だったような気がする。その後、民放局の受信状態を改善しようとアンテナを水平から垂直に変えたり、場所を移動したりするうちに音が薄っぺらになってきた。設置してすぐは、高音が伸びやかで低音は重厚、一音ずつ粒だちが良く無音の静けさが素晴らしくCD以上のレベルに感じたのだが。

 この地域のFMが垂直偏波だと知らずに水平偏波用にアンテナを設置したのだが、結果的にそれが最高にイイ音だったことになる。正しい知識のないままインターネットの情報に流され、余計なことをやっちまったせいに違いない。「垂直偏波の電波を水平偏波のアンテナで受信すると、垂直偏波のアンテナで受信する場合に比べて20dB(100倍)以上減衰すると言われています。でも実際には伝搬経路によって偏波面が回転したり乱れたりすることから、それほど激しい減衰はありません。」という記事を目にしたことに始まる。こんな風に書かれると、アンテナを垂直にしたら「もっと音が良くなるんじゃないか」と思わない方がどうかしている。素直な私は、少しでも音が良くなるのなら多少の手間は惜しまずと、一度組み立てたアンテナをバラし垂直偏波用に立て直した。結果、良くなるどころか音に不満を感じるようになってしまった。

FMラジオ水平偏波用アンテナに またまたインターネットで「垂直偏波の電波は、水平に立てたアンテナでは全然ダメか?の問題ですが、もちろん受信できます。室内アンテナなどよりはるかに良好なはずです。垂直は垂直で受けた方がより良いというだけの話です」という記事を見つけた。

 要は「回りにまったく何にもない空間では、理論的に垂直偏波は水平偏波用のアンテナでは受信できないが、街中などいろいろ反射する空間では関係ない」ということらしい。なあーんだ、最初のままでヨカッタじゃん!ということで、またまたバラして再度立て直し。結局、音質も最初の状態に復帰。おかげで今、最高の音質で「由紀さおりが唄うスタンダードナンバー」を聴きながらブログを書いている。強電波地域に住む都会人には理解できないかもしれないが、電波の谷間の住人は少しでもイイ電波を捕らえて離さないために血のにじむような努力?を惜しまず試行錯誤を楽しんでいる。

電波の谷間のFMラジオ

 私の田舎は、周囲を山で囲まれ盆地になっている。いわゆる電波の谷間だが、「au」も「docomo」も繋がるし地デジも映る。問題はラジオ、マトモに聴けるのはAM・FMともにNHKのみ。特に鉄筋コンクリートの我が家では余計に聴きづらい。それでもオーディオラックには、昔、札幌で使っていたTrioのチューナーが収まっている。T型フィーダーという室内の壁に貼るアンテナで雑音だらけのNHKFMを聴いている。いつか、屋上にFMアンテナを立て「AIR-G'」や「NORTH WAVE」が聴こえるようにしたいなあと思っていた。旨くいけば10年ほど前、私がDJをやっていた隣の隣の街のコミニュティFMも聴こえるかもしれない。と、期待しつつ冬の間に材料を仕入れていた。

 屋上の雪もすっかり融け、絶好のアンテナ工事日和。
八木アンテナ部材 八木アンテナ部材

 魚の骨みたいな形の八木アンテナ。組み立ててみると、意外に大きく長さは3メートルもある。
FMアンテナ工事 FMアンテナ工事

 設置のあとの調整だが、横の長い棒を中継局の方向へ向ける。この状態でラジオを聴いてみる。今までと違って、全く雑音無くクリアに聞こえる。ただ、これはNHKFMだけ。他のFM局は、なんとか電波を拾うもののステレオにはならない。雑音も多く、聴きたくなるような状態ではない。きっと調整が悪いせいかしらと調整方法をネットで検索していると、重大な事実に気づいた。

FMアンテナ 今回、私が買った日本アンテナAF-7というのは、水平偏波用のアンテナとして売られていた。初めて知ったが、FM電波には水平偏波と垂直偏波という2種類があるらしい。水平偏波は、水泳のバタフライのような動きで水平に波打って進む電波。この電波を受信するアンテナは、よく見かける屋根の上のテレビアンテナのように地面と水平にアンテナ棒が並んでいる。対して垂直偏波は、へびのように左右に蛇行しながら進む電波。これを受信するアンテナは、地面と垂直にアンテナの棒が並んでいなければならないという。この水平偏波と垂直偏波、それぞれ送信中継局によって異なり一般的には水平偏波が多いらしい。私の田舎には四つの中継局がある。そのうちの一つ、たまたま私のエリアの中継局だけが、テレビ、FMいずれも垂直偏波。これは北海道内の中継局の中でもかなり珍しいケースであると書いてある。

トリオFMチューナーKT1000 なあーんだ、違うじゃん。アンテナを選ぶときから間違ってたじゃん。よもや、アンテナ買い換えかと思ったが、要は横向きのアンテナを縦向きにすればイイと云うことらしく、それ専用の金具は付いてないので、あり合わせの材料で修理して付け替え。アンテナ設置が終わり最終調整。NHKFMはクリアなステレオだが、他の放送局は「聴こえるけど」というレベルでFM本来の音ではない。それでも室内アンテナのときは、全く聴こえなかったのだからヨシとしよう。

 地形的に完全盆地のこの辺りは結局、電波の谷間にあって「ラジオ放送」は趣味の域を出ずユニバーサルサービスではない。需要の多い「テレビ」や「通信」だけがユニバーサルサービスであるのは、地理的な谷間のせいだけじゃなく政治力の谷間にあるような気がしてきた。

大人のオモチャ

 「大人のオモチャ」といえば、すぐにアレを連想してしまうエッチなアナタ。違いますって。私が言うのは気品溢れるイイ大人が優雅な時間を過ごすための温もりあるオモチャのこと。今から2~30年ほど前、まだ大人になりきれてない私は肌触りの優しい木製玩具に憧れていた。アチコチで探したが見つからず、結局、自分で工作するしかなかった。

 JCで忙しかった頃だが、イベントや飲み会や会議が終わり、深夜、家に帰ると一人黙々と木を削る。使う道具は鋸とサンドペーパーと木工ボンドのみ。ただひたすらに木を削りペーパーをかける。アタマの中はカラッポ状態。このときだけは自分の世界に浸れる。こうして出来上がったのがコリントゲーム。図面もなく、ただ思うがままに作ったオリジナル。ビー玉を指ではじいてコロコロ転がるとキンコンカンカラと釘をはじく音に癒される。しかし、1点100円で勝負をするときは癒されるどころか、かなりヒートアップする。1回戦持ち玉10個で5回対戦し、点差の分だけ支払われる。中には点数が2倍になる緑玉、3倍になる黄玉が1個づつあり、酒を飲みながら友人達とゲームに熱中して盛り上がることしばし。

木製コリントゲーム自作

 ボールの転がりをよくするためにトップにはアールがつけてある。この部分の制作だけで1ヶ月も要した。色違いの木材を1個づつ削り、互い違いに組み合わせてボンドで貼り合わせていく。

木製コリントゲーム自作

 出来上がってから何百回と玉を流し、入る場所の統計を取りそれぞれに点数を書き込んだ。だから低い点数に玉が集まるようになっている。

木製コリントゲーム自作

 次に作ったのが、テトリス。テレビゲームにもあるが、これは対戦型テトリス。ロシアの数学者が考案したゲームらしいが、自分たちのルールはオリジナル。これは結構、金が動く。勝負のつきかたによっては掛け金が最低100円から200円・400円・800円とが倍々にふくらんでゆく。今だに記憶に残っているが、ビギナーズラックの初心者に1度の勝負で51,200円も負けたことがある。悔しかったなあ。

木製対戦型テトリス自作

 そして、世界大会まであるバックギャモン。よく鞄型になった既製品が売られているが、それでは満足できず、これもすべて木工工作。ただ、チップを初めは木製にしたが軽すぎて手になじまず、ピンクのレジンと透明レジンを重合して作った。手触りもよくイイ感じ。

木製バックギャモン自作

 このあとオセロの製作に取りかかろうと思っていた。しかしオセロでは無敵と自負していた私が、どうしても一番下の息子に勝てず、癪なので作らずじまいになってしまった。

 今でもときどき、この「大人のオモチャ」を引っ張り出しては家族と勝負する。実は今夜、コリントゲームで家内に5,900円も大負け。家族であっても勝負事は、いつもニコニコ現金払い。クヤシーィ・・・

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