人間は忘れる生き物だから

 長い間、WOWOWに加入していた。加入当時は「アナログWOWOW」、デコーダーという機器を接続してBS-5chに合わせる。目的は映画やライブ。毎月届く雑誌の番組表から、これはと思うものをベータマックスに録画予約。いつの頃からかWOWOWもデジタル放送になったらしく、新聞のテレビ欄に「WOWOW・WOWOW2・WOWOW3」と3つの番組表が掲載されるようになった。我が家で視聴可能なのは「WOWOW」のみ。オーディオルームのブラウン管テレビはWOWOWデコーダーとビデオデッキ専用、VHF/UHFやBSのアンテナと繋がっていないのだからしょうがない。

 そうこうしている内に茶の間のテレビが壊れ、買い換えたタイミングで「WOWOWデジタル」に乗換えた。しばらくしてテレビを視る暇もないほど忙しく、家を留守にすることが多くなり、結局、観もしないWOWOWは解約することに。結果、一方的に流される番組を選んで観るより、観たい映画をレンタルで借りてくるほうが性に合っているということに気づいた。

 セミリタイアして時間に余裕ができ、今はamazonプライムとNETFLIXでアクション映画やサスペンスにハマっている。amazonの場合、以前観たことがあると「続きをみる」か「もう一度みる」と表示されるが、NETFLIXにはない。観はじめて途中で「あれ?これ、前に観た」と気づくのだが、観たという記憶だけで内容はほとんど覚えていない。だから、結局ハラハラしながらラストまで楽しむことができる。歳のせいなのか人間の忘れることができる能力のせいなのか、同じ映画を何度も楽しんでいる。

 人の記憶が次第に薄れてゆくのは、より幸福でいられるためだと思う。悲しいことやツライことを経験しても、時の流れとともに忘れ去り流されてゆく。いつまでもツライ想いを持ち続けていると、積もり重なり押し潰されてしまうのだろう。本来、人間は忘れる生き物なのだとか。しかも歳をとると、ちょっとだけ忘れるスピードが早くなる。そのうち映画のストーリーだけじゃなく、ご飯を食べたことまで忘れてしまうのかしら。それはそれで幸せな自分の時間を生きてる証なのかも。

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