花巻空港から盛岡市内に入った私たち一行は「直利庵」へ直行。空港から乗ったタクシーの運転手さんの話によると、わんこそば10杯で普通のかけそば1杯分とのこと。かけそば1杯5百円だから、予約したコース3千円分の元をとるには最低でも60杯は食べなきゃいけないらしい。「何事も初体験は気持ちイイ」というのが座右の銘の私にとっては期待に胸膨らみドキドキ。
生まれて初めての「わんこそば」は、想像とは少し違っていた。目の前に空いたお椀を積んでいくのかと思っていたが、食べた分だけマッチ棒を並べて記録しなさいと言われた。モノを喰いながらマッチ棒を並べるなんて落ち着かないし行儀が悪い。そこで向かいの人に合わせて食べていけば自分で数えなくてもイイヤと食べ始めた。「ジャンジャン」とのかけ声とともに投げ込まれる蕎麦は冷たいのかと思ったらナマヌルク、これが意外とマズイ。
隣のS監事とその向かいのN常務は、最初から知っていたらしく「鴨せいろ」と「大ざる」を食べている。それを横目に見ながら失敗したなあと思いつつ、注がれるままにお椀を空けたが20杯くらいでもう飽きてきた。誰がお金を払うのかしれないが、ご馳走になっている以上文句も言えずガマンして30杯は頂いたところでギブアップ。SとNは、セイロのオカワリまでして満足気。
生まれて初めての「わんこそば」は、私の座右の銘の期待に応えることなく終わってしまった。たぶん、残された人生の中で2度と出逢うことはないだろう。皆で「ご馳走様」して帰ろうとすると「一人3千円」とH課長が集めはじめた。「エー、自分で金払うのかよ。それじゃ3千円払ってでも途中で止めて、他のメニューを追加して喰やよかったなあ」と思ってみてもアトノマツリ。
夜、二次会で行った店のママさんに、その話をしたら「地元の人はアンナもの食べませんよ」と言われてしまった。そうだろうなあ...