この時期、野薔薇(ノイバラ)が咲き始める。山のアチコチでシブトク蔓を伸ばして成長する。棘が多いので歩いているとよく引っかかり、服を通して刺さるので結構痛い。刈っても刈っても生えてくる。園芸用というより雑草のたぐいだ。万葉の時代には、茨(うばら/うまら)と呼ばれ、詠われている。
「道の辺の茨のうれに延ほ豆のからまる君をはかれか行かむ」
(訳):道端の野薔薇の先に絡みつく豆のように、私に絡みつく君をおいて別れゆく・・・
防人(さきもり)として選ばれた丈部鳥(はせつかべのとり)という人が、「行かないで」と絡みつく妻との別れを惜しんで詠んだ歌