学生の頃、ときどき実家から荷物が届いた。大きな段ボールにいろいろ雑多に詰め込んであり、箱をあけるのが楽しみだった。靴下や下着が入っていたり、缶詰やリンゴやスルメや菓子が入っていたり。親の愛情を感じるというほど大げさではなく、なんとなく嬉しかった記憶がある。遠く離れた子供にアレヤコレヤ物を送るのは、実は親の楽しみなのだということを自分が親になってしみじみ感じた。
あるとき、大きなビニール袋いっぱいにキレイなセロハンに包まれたキャラメルが入っていた。手紙によると、オフクロが無水鍋で作った飴をオヤジが1個づつ切り分けセロハンで包んだらしい。それまでそんなハイカラな物を我が家で作ったのは見たことがない。当時、無水鍋を手に入れたオフクロが菓子作りに凝っていたらしい。そりゃあ、自慢のお菓子を息子にも食べさせたいと思うのが人情。
ただ、固いし歯にくっつくし甘すぎて周りの友人達には敬遠された。当然、私も一度には食べきれず、そのままにしておいたら、その存在すら忘れてしまっていた。なんたって名古屋の夏の暑さはハンパじゃない。ひと夏か、ふた夏過ぎた頃、たまたま仕舞っておいた缶を見つけ久々に口に入れてみた。これが驚き!なんとアンナに歯が立たないほどに固かったキャラメルがサクッと噛み切れてトロッととろけるように旨い。今でいう生キャラメルほどではないが市販のものよりヤワラカイ。きっと暑さに溶けては固まりを繰り返し熟成?されたのだろう。このときオフクロの奥深さを感じたような気がした。送られてきた瞬間の嬉しさと2年後の嬉しさと、まさに一粒で2度オイシイ。まるでグリコのアーモンドキャラメルだ。
そんな昔のことを想い出しながら、電子レンジで「生キャラメル」を作ってみた。意外と簡単にできる。一度だけ食べたことのある花畑牧場のよう。ていうか、ソンナモン食べてる場合か、血糖値上がるぞと言われるのだが・・・
いつか息子達に送ってやりたいと思うが、暑い内地に暮らすアイツらに2~3年も放っておかれたら、溶けてなくなっちゃうんじゃないかしら。
レシピ **********************
生クリーム50ml・牛乳50ml・砂糖20g・バター10gを耐熱ボウルに入れて、電子レンジで2分30秒加熱後、よく混ぜる。これを3回繰り返す。ちょうどよい固さになったら、トローっとなるまで練る。これをクッキングシートに流し、冷蔵庫で冷やす。あとは切り分けて完成!