身勝手な夢敗れても夢は夢

 知人にコンナ奴がいる。

 結婚するなら「メチャクチャ美しい人」で例えば、喧嘩したあとチラッと目を合わせると「あまりにも美しすぎて、すぐに許せちゃう人」。あるいは「スッゲェー可愛い人」で喧嘩のあと一言ふた言、言葉をかわすと「あまりにも可愛くて、すぐに許せちゃう人」と一緒になるんだと心に決めていた。ところが、世の中そんなにアマくない。結婚してまもなく、喧嘩のあと顔を見ると「よけい腹が立ってくる」。口をきくと「よけいムカついてくる」。こうして最初の夢はヤブれた。

 学生時代、「パパと呼ばないで」という番組のファンだった彼は、女房が早死にし残された娘と二人で健気に生きていくという運命を夢みた。しかし、最初に生まれたのは娘ではなく男の子。これでは女房に早死にされては困るので夢を修正。「長男は将来、医者か歯医者。2番目は男の子で弁護士か建築家。3番目は娘。嫁にやらず、ずうっと傍におき趣味を生かして暮らさせる。4番目は息子でプロのスポーツ選手」なーんてことを夢みた。最初と2番目は予定通り男の子、ところが3番目は娘ではなく男の子が生まれ、またまた夢ヤブれてしまった。

 このあたりから人生思うようにいかず夢叶わぬことに気づいた彼は、以来「身勝手な夢」みることをあきらめた。つもりでいたらしいが、やはり今だにクダラない夢をみ続けている。どんなにクダらなくても、ないよりマシ。人生おおいに夢みていたいもの。

 ちなみに、あくまで知人の話であって決して私のことではないですからあ。

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