以前、田舎のFM局でDJをやってました。番組で流したのは、いわゆるモダン・ジャズ。ジャズの歴史の中では、1950~60年代のビ・バップからハード・バップ、そして、60年代初めの頃からの、マイルスのモード・ジャズ。私は、なんといっても4ビートのスゥイングするハード・バップの大ファン。
1965年、アメリカの北ベトナムへの北爆以来、反戦歌としてのロックが支持を受け始め、そのロックのビッグ・サウンドに対抗するように、ジャズもアンプを通し始め、1970年代には、ロックやソウルを取り込んだフュージョンへと向かっていきました。また、60年代にはコルトレーンやエリック・ドルフィーのようなアドリブ追求型の天才も他界し、どんどんジャズの形態の方向性が変わってきました。
私に言わせれば、マイルスが「イン・ア・サイレント・ウェイ」あたりから、フュージョンを発展させていったことが彼の悪行なんですね。ウェザー・リポートやチック・コリア、クインシー・ジョーンズを当時は喜んで聴いていた私も、今となってはやはり、あの身体が熱くなるようなハード・バップから抜けきることができずにいます。
そして、1980年代以降にはロックも先鋭的ではなくなり、単なるエンターテインメントになってきます。と同時に、ジャズもハード・バップなものへと回帰し始めます。まっ、それだけではなくいろんな方向性を持ったジャズが出てきて楽しくはなってくるのですが、私にとってのジャズは、やっぱりハード・バップ!
というわけで、2000年代のジャズも、なかなか捨てたもんじゃないですねぇ。少し古いけどエディ・ヒギンズのアルバム(煙が目にしみる)の「It's a lonsome old town」、 ウーン、セクシーだなぁ。